048.犬と飼い主の人外転生-5
かなり短めです。また近日中にアップします。
《Side 猫神》
ワンコに寝かしつけられた次の朝、気づいたらワンコのベッドで横になっていた。
トートが移動させてくれたらしいが全く覚えていない。
これがもし、トートではなくウラノースの眷属の巨神だったらと考えるとぞっとする。
この場を急いで去ろうと思ったが、この体はまるで鉛のように重く、ぴくりとも動かなかった。
そして、私はその後3か月をワンコのベッドの上に横たわったまま過ごした―――
最初の一週間は、いつ巨神がやってくるかわからず不安な毎日を過ごしていた。
私はこんなにも奴を恐れていたのかと自分でも驚くほどの恐怖心だった。
その内トートたちも、流石にこれが監査ではないと気づいたのだろう。
「大丈夫ですよ。異変があればすぐに知らせます。今はゆっくり休まれてください」
そんな声をかけてくれるようになった。
そしてその言葉もらった後は、ただ甘えるようにだらだらと時を過ごしてしまった。
神に至ってからは、時間など瞬きのごとく過ぎていき、生物の営みなど目にも留まることはなかった。
生物の世界にこの身を横たえて何もせずにいても、また同じように時間はあっと言う間に過ぎていく。
神界との違いは、巨神への不安と、どこか何かに置いて行かれるような焦燥感であった。
彼らは日々の営みを紡いでいるのに、私は何もしていない。何も変わらない。
流れる水すら私を置いていく。
自身が世界に何の影響も及ぼしていないことが強烈な劣等感、嫌悪感となって私を襲っていく。
それでもこの体は動いてくれなかった。
動こうとすると、ウラノースの姿と罵声、のしかかる仕事、笑い飛ばしていたはずの部下の陰口、色んなことが思い出されて結局動くことはできなかった。
新陳代謝のないこの体は、そんな状態に拍車をかけた。
3か月が過ぎようやくベッドの上に腰を掛け外を眺めることができるようなった頃、トートが真剣な面持ちで話しかけてきた。
「想定よりも事態が早く動いてしまい、ご報告遅れてしまい申し訳ございません―――」
そんな謝罪の言葉から始まったトートの話の内容は、<ライカン・ハルピュイア連合>と<ケンタウロス・巨人連合>の衝突と、このスキュラ一家の参戦についてだった。
巨人と聞いて背筋が粟立つのを感じながら、慎重に話を聞くと数体の巨人がケンタウロスと行動を共にしているらしい。その特徴を聞いたところウラノースの眷属であることは間違いなさそうだった・・・・・・。
(彼らを巻き込んでしまった――)
あまりの後悔に頭を真っ白にしている私にトートは言った。
「猫神様はご心配なさらずこちらでゆっくりしていらしてください。奴らを倒してすぐ戻りますので、ご安心ください!」
そして止める間もなく彼らは、動けない私を残して戦地へと赴いて行ってしまった。




