047.犬と飼い主の人外転生-4
遅くなりすみません。来年もマイペースで更新させていただきます。
《Side. トート》
(どうやらワンコは猫神様と一緒に眠ったようだ・・・・・・)
父母の後ろをついていく道すがら、本体から伝わってくるバイタルを感じていた。
(神様と一緒に寝るなんて不敬なんだろうけど、猫神様大変お疲れのご様子だったし良い判断だと思う。多分ワンコのことだから、単純に自分が眠かったんだろうけど・・・・・・)
「この辺りで良いか。」
父の言葉にはっと我に返ると、家から少し離れた空き地にまで来ていた。背の高い木々の葉に覆われており、月明かりも届かないが、下からヒカリゴケの優しくも少し妖しい光に照らされて、両親の姿もぼんやりとだが確認できる。
「別に猫神様に聞かれても良かったのだが、余計な心労をかけるのも躊躇われて、な・・・・・・」
そう切り出した父も、やはり猫神様のご様子には気づいていたようだ。
「ライカンとハルピュイアの件は、ハルピュイアが王女を人質に出すことで決着した。ハルピュイア側の世代交代が起きない限りは同盟は続くだろう。問題はケンタウロスだ。ハルピュイアの偵察隊から得られた情報によれば、奴らの集落に巨人族が出入りしているようだ。」
ケンタウロスは気性が荒く、近親の種族以外と友好的な関係を築かない。
最大派閥である彼らににじり寄る少数種族はこれまでも存在したが、ケンタウロスはそのことごとくを侵略し虐殺してきた。
巨人族などという、個の武力で彼らを害しうる存在を迎え入れれるとは到底思えない。父母も認識は同じようで、その表情は非常に固いことからも深刻さがうかがえる。
「ライカンとハルピュイアが結んだことがきっかけになっているのかもしれないが、あまりにタイミングが良すぎる。
消耗している二種族を滅ぼすために、以前から準備していたと考えるのが妥当だろう。ライカン王も同じ認識のようだ。現在は消耗した群れの再編成をしながら、ハルピュイアとの連携を図っている様だ。
現状は我らの参戦の必要性はないと考えているようだが、件の巨人族の動向如何によってはどう転ぶかはわからないだろう。仮に参戦することになった場合は、私たちだけで向かう。お前はワンコと猫神様を守ってくれ。」
父母が伝えたかったのはこのことか・・・・・・確かにワンコに話を聞かれたら絶対ついていくの一点張りだろう。僕も勿論父母を守りたいが、まずはワンコを守らなければいけない。
「わかりました。ですが、ワンコも馬鹿ではありません。二人の様子がおかしいことはすぐに気づくでしょうし、猫神様もいつまで滞在されるかはわかりません。
主戦場がどこになるのかはわかりませんが、我らに有利な海上からの援護が可能でしたら、その場合は参戦することをお許しください。」
両親はしぶしぶといった様子だったが、何とか納得してくれたようだった。
これで、ワンコがどうしても行くって聞かないときに宥めることもできるだろう。後は、できれば猫神様の滞在中の参戦にならないことが望ましいだろう。
「それで開戦はいつごろになりそうなんですか?」
「ライカン王はおそらく半年後だと予想している。ケンタウロスもここまで早くライカンとハルピュイアとの同盟締結が進むとは考えていなかったのだろう。全軍の終結にまだ時間がかかるようだ。」
半年か・・・・・・猫神様の滞在が長引くようなら、ケンタウロスの件、早めにお耳に入れた方が良いかもしれない。父からのライカンから連絡があればまた共有するとの言葉で一旦解散となった。
部屋に戻ると、感じた通りワンコと猫神様は眠っていた。一見すると、猫神様がワンコに伸し掛かられているようにも見えなくはないが、その呼吸は穏やかでゆっくりとお休みになられているように見える。猫神様とワンコの、寝息のハーモニーがかわいらしい。
前世は猫アレルギーで猫は変えなかったんだよなーなどと益体もないことを考えながら、二人を起こさないようにその体の下へ自分の首を潜り込ませた。しっかりと支えられていることを確認してから、かぎ爪のついた四本脚で踏ん張って、彼らをベッドへと運んでいく。ワンコは割とどこでも寝てしまうので、この作業もお手の物だ。
猫神様ごとワンコをベッドに乗せた後、起こさないように猫神様をベッドの空きスペースに横たえた。猫神様は全く起きる様子もなく変わらず寝息を立てている。余程消耗していたのだろう。
なんとなく監査の話をされているときも不自然さを感じていたが、ひょっとしたら何かトラブルに巻き込まれて逃げてきたのかもしれない。ケンタウロスが巨人族と組むなどという事態とも何か関係があるのかもしれない。
そうだとすれば猶更お力になれたら良いなと思いながら、僕も眠りについた―――




