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046.犬と飼い主の人外転生-3

遅くなってごめんなさい。ちょっと仕事と引越しで立て込んでおります。

引き続き不定期で更新します。気長にお付き合いいただけたら嬉しいです。

《Side ウラノース》


 目をかけていた部下が昇進目前に逃亡した。

 人ならこんなときどう思うのだろうか。


 短命な奴らのことだ。

 教育にかけた時間や金を返せと憤るのかもしれない。

 自分の何が悪かったのかと過去を反省するのかもしれない。

 あるいは部下との時間を想い、別れを悲しむのかもしれない。


 神である私はそんな無駄なことはしない。

 唯連れ戻すための行動に出るだけだ。


 奴は私にとって必要な《神材》だ。

 

 

 

 地球は宇宙でも珍しく、周囲に交流する星のない辺境惑星である。


 その特筆すべき特徴は、豊かな生態系でも、進んだ文明でもなく、星間のトラブルがないおかげで醸成された独自の文化や価値観、そして、それを生み出す人間達だ。


 種の繁栄のために自分たちに都合の良い世界を構築しておきながら、その中で、自分たちの役割や生きがいに悩み、苦しみ、笑い、楽しむ。


 神から見れば全く理解できないその有り様こそが、命を輝かせて星を発展させる。


 おかげで近年、地球からの異世界人材派遣は盛んになっている。


 かつては宗教により輪廻転生を啓蒙していたが、近年ではさらに小説や漫画、アニメなど、人間の好む様々な媒体を通じて事前準備を進めたことも功を奏し、転生の効率化が図られている。


 しかし、これまで他の惑星との交流のなかった地球には、異世界の神に対して骨太な外交ができる生え抜きの神材はいなかった。

 自分たちが至高と信じて疑わない神材か、異世界神のイエスマンに成り下がる神材しかいなかったのだ。

 

 

 そんな時、他の上位神に勧められて採用したのが奴だった。

 

 

 多神教を信奉する惑星において癖の強い神々に囲まれながら、細々とだが確実に信仰を集めていた堅実な神で、上位神達の覚えも良かった。

 信仰の分散してしまうその星よりも、これから伸びるだろう地球での転生担当神になった方が、早く上位神になれるだろうから引き立ててやってくれないか、というのがその上位神の言い分だった。

 ならば駄目元でと連れてきた奴こそが、地球の異世界転生一大ムーブメントを作り上げたのだ。

 

 

 私は奴を、自身の後任に据えたいと考えた。

 

 

 奴を鍛えるために仕事をどんどん振った。

 

 外様の奴では下がうまく動かないことはわかっていたが、どうせ土着の神は役に立たん、気にせず進めろと厳命した。


 

 奴の経歴を書き換えることは前々から考えていた。

 

 仕事をボイコットするような土着の神は、奴を上位神に据えようとすれば猛反発することは目に見えており、地球での出自が必要だった。

 トラブルが混んだこと、奴が別の姿(猫の姿)をとったのは、本当にちょうどいいタイミングだった。


 

 奴が私を悪し様に思っていることは知っている。


 それくらいでいい。むしろそうでなくては困る。

 宇宙を纏い、延々と君臨する上位神なぞ、世界の発展の害悪、巨悪でしかない。

 私を食い破り、数多の世界を救うくらいの気概でいてもらわなければ困るのだ。

 

 

 それなのに、あいつは全てを投げ出し出奔した。

 

 だが若さゆえの過ちだろう。

 怒りもせぬ。

 あきれもせぬ。

 唯、淡々と連れ戻すだけだ。

 

 待っておれ猫神よ。

 すぐに連れ戻してやるからな・・・・・・

 

絶対ないですが、転職元の上司が追っかけてきたら怖いなと思いながら書きました。

閑話みたいなウラノースの独白挟んでしまったので、犬と飼い主の人外転生は全5話くらいになってしまうかもしれません。

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