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041.事務魔術-1

猫神様の逃亡譚。事務魔術です。

026.事務魔術、027.事務魔術《異世界》をお読みになってからの方がお楽しみいただけます。

 私の名前はエクス・ヴィヴィアン。20歳、男性。


 20年前、地球より転生してきた転生者だ。

 私の転生を担当してくれた猫神様より賜った《事務魔術》を手に、今日も商業ギルド本部での事務仕事に勤しんでいる。


 下級貴族の三男に生まれ、家を継ぐ可能性はなかったが、今世の両親も私を大切に育ててくれた。実家で基本的な教育を受けた後、13歳で独立して、ここマイクローン国王都の商業ギルド本部に就職した私が、この本部で働き始めてもう7年になる。

 

 商業ギルド本部での業務は多岐にわたる。


 商業ギルド内での各種事務手続きはもちろんのこと、国へ報告する為の決算資料の作成や、他ギルドの事務手続きのフォローもある。

 特に冒険者ギルドは、冒険者の登録・脱退手続き、依頼の受発注、完了報告、指名依頼の発送手続きなど、非常に事務手続きが多いにも関わらず全く事務系の人材が育っておらず、日々多くの事務作業が商業ギルドに回ってくる。

 もちろん冒険者ギルドにも職員はいるのだが、アウトロー達をあしらうためのコミュニケーション能力を優先した結果、事務系の人材は後回しになっているようだ。

 前世で言うと、外回りの営業マンばかり増えて、営業事務が少ないといった状況のように思う。


 そんな多忙な商業ギルド本部において、私は救世主的な扱いを受けている。

 それも全て《事務魔術》のおかげだ。


 《事務魔術》には、文字の複製(プリンティ)に、計算(カリュク)図表作成(イマディ)などの機能魔術、回数繰り返し(フォアライ)条件繰り返し(デュランテイル)などの制御魔術、他にも空間座標指定魔術(リエンジ)などがあり、その万能性から業務のほとんどをカバーし自動化できる。


 今や私は、国内10都市の商業ギルド並びに冒険者ギルドの事務手続きを担っている。

 これで8:00-18:00勤務なのだから驚くべき生産性だ。


 もちろん、優秀なのは私だけではない。王都の商業ギルド本部に勤められる職員は、選び抜かれた精鋭中の精鋭がそろっている。

 私の所属する業務部魔術課は、その名の通り、魔術を駆使して各種業務を実施する商業ギルド本部においても特殊な部署である。


 上長は、元王宮の宮廷魔術師だったインディ・レクト課長。60歳。白髪と切れ長の目がセクシーなナイスミドルだ。

 平民初の宮廷魔導士としても有名な人物である。

 残念ながら魔力量と瞬間出力が劣っていたことで、平の魔術師止まりだったが、その制御能力は王国一と言われており、王族の魔術教師も担当していた程、その腕は評価されていた。

 火水風土の四属性を操り、私が就職するまでは彼が業務の大半をこなしていたそうだ。


 上長以外のメンバーは2人。共に女性だ。

 先輩のヴィー・ルーク35歳と、私と同期のスー・ミーフ20歳である。


 二人とも中流貴族家の出身の四女と三女。

 魔術の才能があったことで魔術学校に入り、卒業後、商業ギルド本部に就職した。彼女たちも四属性使いで、休日はその魔術の才能を活かして、冒険者ギルドで冒険者として小遣い稼ぎをしているらしい。

 話はそれるが商業ギルド本部は副業OKである。かく言う私も、休日はある仕事に勤しんでいる。これはまた別の機会に触れたいと思う。


 インディ、ヴィー、スーの三人は、四属性を活かして事務作業を行っている。

 手順としては、風魔術で浮かせたインクを、水と土魔術で操り文字を形成、紙に落とした後、火魔法を使って乾燥。はい出来上がりだ。

 ヴィーやスーは大体3種類の文書を同時に作成できるし、インディに至っては平均10文書、繁忙期はその倍の20文書を同時に仕上げる。

 定型の文書ばかりではないし、もちろん計算や描画、文字色や大きさの変更が必要な個所もあるにもかかわらず、同時並行でこなしている彼らの頭はどうなっているのか不思議に思う。

 私の《事務魔術》は、先に処理や手続きを記述しておいて、後は自動実行するだけなので、私自身の脳には彼らほどのスペックはない。

 彼らにしてみれば、その方がおかしいとのことらしいのだが、いずれにせよ優秀な彼らの役に立てて、感謝までしてもらえる今の境遇には感謝しかない。

 

 

 そんな忙しくも楽しい日々を送る私のところへ、ある日突然、猫神様がやってきた―――――――

 

3話程続きます。次話は深夜1時頃アップ予定です。

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