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040.猫神様の昇進

こちらはプロローグになります。2話目はありません。

《とある神界にて》

 

 

 私は、地球の異世界転生担当職員、一応、神だ。


 ある事情から猫の姿をしている。今日は、エジプシャンマウ。美しい光沢と手触りの良い被毛、その毛に浮かぶ「スポット」と呼ばれる斑点模様が目を引く。体能力が高く、走る速さは約48キロ、イエネコの中で最速である。


 今は、上位神に呼びだされて移動中である・・・・・・


 上位神の神域に呼び出されるのはこれが初めてだ。クレーム検討会は、私の神域で行っていたし、用心深い上位神は、上位の超位神にも自分の居場所を明かさない。簡単に捕捉されないように、ダミーの宇宙まで用意する念の入れようだ。


 そんな神域に呼び出されるということは、何か重大な事態が発生したということだ。このところクライアントの評判も上々で、大きなトラブルもなかったと思うんだが。即消滅させられる危険も考慮して少しでも早く動ける体を用意した・・・・・・猫だけど。

 

 いくつかの惑星と宇宙を経由して、上位神の神域にたどり着いた。

 目の前には、50mを越そうかという程の大きな観音開きの扉が見える。

 

 

 そんな巨大な扉から現れる、上位神の名はウラノース。

 

 

 地球のWikiによると、ウラノースは「全宇宙を最初に統べた原初の神々の王とされる。果てしなく巨大な体躯を持ち、無数の銀河系が鏤められた宇宙を常に身に纏っている。ウーラノスとはギリシア語で 「天」 の意味で、天そのものの神格化である。」と記載されている。

 全宇宙は、彼が生み出した全宇宙に限定されるが、概ね間違っていない。妻もいないし、残念ながら男の大事な部分も切り落とされてはいない。本当に残念だ。

 

 50mの大きな扉が、音もなく左右に開かれていく。開かれたその向こうは真っ暗の虚空で何も見えない。扉はついに180度回転し、ぽっかり空いた虚空に扉の羽が生えているようにも見える。

 

 その虚空からウラノースが出現する。


 まず足が見えた。巨体を支える足もまた巨大で、猫姿の私など小指の爪の先ほどもない。


 次に体が見える。相変わらずの巨体だ。神に筋力なんて必要ないはずなのに、まるで彫刻のように鍛えられた美しい肉体を誇る。その肩から腰にかけてかけられたストールのような布は、彼が創造した宇宙群だ。

 恒星が煌めき、彗星が流れる。超新星の爆発が一際鮮やかに現れ、ブラックホールの歪みや吸い込まれる光の模様が美しい・・・・・・これが全て私を威圧されるための装飾じゃなきゃ、素直に賞賛できるんだけどな。


 たっぷり威圧されながら、ウラノースから声がかかるまで伏して待っていると、しばらくしてようやく声がかかった。

 

 

 『・・・・・貴様を上位神へ格上げすることになった』

 

 

 「・・・・・・は?」

 

 

 お叱りの言葉を賜ると思って待っていると、かかってきたのは意外にも昇進の話だった。

 どうやらこのところの人材派遣が想像以上に好評だったようだ。

 複数の柱からの度重なる推薦に、とうとうウラノースも首を縦に振らざるをえなかったらしい・・・・・・ということをたっぷり嫌味交じりに説明された。

 私の昇進用に神力を割くのがよっぽど不快らしい。

 

 

 『誠に遺憾だが、これより神力を授ける。謹んで受けるように。』

 

 

 いよいよ授与という段になって、ようやく話しかけられる間を得た(ずっと流れるように嫌味を言われ続けていた)私は、気になったことを聞いてみた。

 

 

 「あの・・・・・・地球の転生業務はどうなるんでしょう?あ、後、謹慎の解除は?」

 

 

 『継続に決まっておろう。評価されたのは、地球の人材派遣で、猫のお前だ。他の柱にも、貴様はパステトの係累が神化して至った新興神と説明しておる。』

 

 

 「(私の経歴、詐称されてるどころか、存在が抹消されている・・・・・・)で、では上位神としての仕事は?」

 

 

 『重ねて遺憾だが、私の宇宙にあるいくつかの惑星の転生をお前に任せてやる。まあ精々1,000といったところだが。私から星を賜れることを泣いて感謝するんだな。』

 

 

 「(無茶だ・・・・・・地球だけでもいっぱいいっぱいなのに、1,000とか消滅待った無しだ・・・・・)あ、あの・・・・・・」

 

 

  さも格別な高配であるかのように言い切ったウラノースは、食い下がろうとした私を苛立たし気に睨みつけた。

 

 

 『なんだ?不服などなかろう?いつまでも私の神域にとどまられてもうっとおしいからな。さっさと受け取って失せろ。』

 

 

 「(まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい・・・・・・・・・・・・あ、、、)」

 

 

 今思えば、あんまりな状況に追い詰められ、私は冷静な判断が下せる状況になかったんだと思う。


 気が付いたときには、上位神の神界に背を向け、脱兎のごとく駆け出していた。

 私の力が乗ったエジプシャンマウの足は、光速を超え、惑星を超え、空間を超え、時間を超えた―――――――

 

 

 この時から私の逃亡生活が始まった。

 

次回からは、3章「03.猫神様の逃亡」。猫神様が人材(転生者)の世界をめぐります。


続きが読みたい短編のお話あったら是非コメント下さい。

参考までに活動報告に、各話のユニーク人数まとめてます。



ウラノースのような肉体美を持つキャラクターが出てくる、もちもち物質先生の「今日も絵に描いた餅が美味い」おススメです。

ストーリーが面白いのはもちろんのこと、描写の表現がとても詩的で美しい。キャラクターの発する言葉一つ一つがとても優しく、そして考えさせられます。

https://ncode.syosetu.com/n7921gj/

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