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031.茨〇県《異世界》

茨〇県の2話目になります。

《とある異世界にて》

 

 ある国の北の端、その更に奥に、全く人を寄せ付けない魔境と呼ばれる森があった。その森の中には、茨の結界に守られた妖精たちの楽園があるという。

 世界で唯一、魔境を踏破した大冒険家にして至高の錬金術師ウォルドア・イェローゲートにより、

 ソーン・キャッスル・ガーデンと称せられるその妖精郷は、1000年の栄華を誇り、人界からは考えられないまるで夢のような世界が広がっていたと伝えられている。


 妖精との契約により、ウォルドアは多くを語ることができないが、その代わりに妖精よりいくつかの宝物を賜っていた。

 いずれも伝説級の品々ばかりだが、中でもソーン・キッスという妖精郷産の果実は世界を変えた。程よい酸味と強い甘味の味わい深い果実であることはもちろんのこと、錬金術の重要な素材でもあったのだ。


 そのままポーションに混ぜるだけでも、高い効能を発揮したが、何より錬金術の至宝《賢者の石》の核となる素材である可能性が高いらしい。「らしい」というのは、未だ《賢者の石》錬成に至った錬金術師がいないからだ。ただ、賢者の石に限りなく近い《赤い水》の錬成には、かのウォルドアが成功している。


 ウォルドアに続けと、ソーン・キッスの実を求め、多くの錬金術師が魔境に挑んでいるが、帰ってきた者は一人もいない――――――――

 

 

■■■■■

 

 

 「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、おはよーーー!今日もイチゴ大量だよーーー!」

 

 

 私達がこの世界に転生して、早いもので50年の月日が流れた。最初は戸惑っていた家族のみんなも、今では随分この世界になじんでいる。それにしても猫神様はよく考えてくれたものだと思う。


 私たちが転生した種族はトンボサイズの小人に翅のついた妖精族だった。転生先をこのか弱い種族にすることで、スキルに回す力を捻出してくれたみたい。


 ()に与えられたスキルは、《妖精女王((ティターニア))》。人界と天界の狭間の世界《隠り世》に、妖精郷と同族を作ることのできる、妖精の神様みたいなスキルだ。

 ちなみに私以外の家族は言語と常識以外のスキルはもらっていない。猫神様からは、4人分のコストがかかるとんでもないスキルだと何度も言われた。最後は猫顔なのに、はっきりわかるくらい疲れた顔をしていた。大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


 このスキルを使って、私は地元茨〇に似た妖精郷、その名も「ソーン・キャッスル・ガーデン」を作りあげた。まんまだね。でもすごいんだよ。

 某海辺の聖地を想像するだけで、太平洋まで出来上がったときはほんとにびっくりした。あの海がどこに続いてるかは、作った私にもわからない。

 お父さんの郷土愛は流石の一言で、かなり細かいところまで記憶してたから、ダメ出ししてもらって少しずつ直してたら、妖精郷が完成するまで10年もかかってしまった。

 偕〇園にひ〇ち海浜公園、笠〇の陶芸の森、でっかいイ〇ンだって作ったよ。スーパーひ〇ちにつ〇ばTXだって走ってるんだから。

 ちなみに私たちの大きさに合わせて、全部1/10スケールになっている。海はどこまでも続いてるけど。


 次の20年はそこに住み人たちを少しずつ思い出して生み出していった。全部は難しいけど、家族のみんなが仲良かった人たちはカバーできたと思う。

 彼らとは、元の人たちとは別の人として接するっていうルールは、家族全員で決めた大切な決まり事だ。

 世界作るより、妖精生み出す方がやっぱりしんどくて、こっちは倍の20年かかった。


 それから更に20年、みんなで元の、いいや、元よりずっといい暮らしを作り上げてきた。


 5年前に、この世界の人間がやってきた。どうやら空間の裂け目から落っこちてきてしまったらしい。

 落ちてきた衝撃で記憶もなくしてるみたいだったから、適当な名前つけて、土産持たせて人界に帰しておいた。人間が妖精郷に長くいると妖精になっちゃうからね。


 人界に帰った彼は、どうやら有名人になったみたいだ。妖精郷の入口近くの森に放ったのがいけなかったのか、それから人間がちょくちょくやってくるようになってしまった。

 記憶をなくしてない人間と接するのははじめてで、ちょっと警戒もしたけど、みんなイチゴが欲しいだけだったみたい。

 せっかくだから全力でもてなすことにした。イチゴだけじゃないぞー、梨の豊○に、豚のロー○ポークに、お魚、お米、お野菜などなど、出来うる限りをお見舞いしてやった。

 そしたらみんな帰りたくないっていうもんだから、妖精女王のスキルで妖精化を早めてあげた。今はスプリガンとして、ソーン・キャッスル・ガーデンの大事なガーディアンになってくれている。いずれ妖精攫おうとするやつとかくるかもしれないしね。


 最近、お父さんは茨〇の魅力は異世界にも通用するんだなんて言って、かなり自慢げだ。

 ソーン・キャッスル・ガーデンだって言ってるのに、ちょっとうざい。 

 

 

《とある神界にて》


 ある日、ウニャーバックスコーヒーにイチゴが届いていた・・・確かに《隠り世》と天界は概念的に近いが、こう簡単にものを送ってこないで欲しい。

 今回の件は、結果的に大量の住民(妖精)を増やす結果になり、妖精たちもそれなりに異世界神に信仰を捧げているそうで、クライアントからも特にお叱りはなく、むしろ感謝された。

 だから、なおさらこういう贈り物などは不要なのだが―――――――《(モグモグ・・・)旨いな・・・》

 


 茨〇県  ―終わり―

「いばらキッス」は、平成24年(2012年)12月に品種登録されたイチゴの茨城県オリジナル品種です。傷や病を治す効能はないと思いますが、私は日本で一番おいしいイチゴだと思ってます。


私の尊敬する、らる鳥さんが新しい連載スタートしてます。タイトルは「錬金術師の過ごす日々」。ぜひ検索ください。お祝いと応援の気持ちを込めて、錬金術の記述を本話にも入れさせていただきました。


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