ふえた… その3
前世は凄い勢いで流行廃りが入れ替わってたから、良く思っていた事があるのよね。
もっと早くに出会っていれば…と。
人との出会いに対してだと、オシャレな口説き文句みたい。
もちろん違うよ?オタクだからね!ゲームや、漫画ですよ。
ゲームもアニメもチェックを逃せば、あっと言う間にシーズン終了とか、すでに周回終わって、次の新作にいってるとか…取り残されてるわけよ。遅れた分、ネットの情報やサイトは充実してるんだけどね。
積みゲーとかもやっぱり波がある訳で、「コレ、好きだわー!」って思った時には、リアルタイムだと遅かったとか…。今更それに盛り上がってるの?って感じで…。化石を発掘する気分でファンサイト探したり、グッズ探したりしてたのよ。時の止まる部屋とかマジで欲しかった。その度に思ってたわけですよ。
早くに気付いていれば、出会えていればと…。
ただ今回は、出会いが早すぎると思うわ…。
ちびルビー、ちびオパール、ちび…頭は大人並みだけど、性格と体がお子様なアメジスト。そして、ちび(こっちはまさしく、どこかの名探偵と同様な)ダイアモンド。
ちびーズが、わちゃわちゃ目の前に居る。
これは…ファンディスクのパッケージ撮影か?
公式の新作書き下ろし?設定集に子供時代を追加?
ゲームの裏側から見てるみたい。
「いきなりで驚いたよね。本当は手紙で彼らの事を知らせるなり、紹介したいって説明しに行こうと思ってたんだけど」
「だめー、レオン様だけ美味しいお菓子食べるんでしょ?ずるいのー」
「それはあるな!俺達だって、話を聞くだけじゃなくて食べたいよな~。すっげー美味いんだよな?」
「2人とも黙りなさい!レオン殿下がお話になってる最中でしょう!」
「グレアムだって、婚約者様に会いたい~って言ってたくせにー」
「なんだ、グレアムもかよ。なら素直に菓子を食いたいって言った方が良いぞ?我慢は良くねぇ」
「あなた方は、少しは我慢と言うものを覚えなさい!ローゼマリー嬢が驚いておられるのが、分からないのですか?!」
わぁ~とってもカオス。この少しで関係性が見えるわ。
しっかり者の長男、食べるの大好きの真ん中、自由奔放な末っ子。
レオン殿下は保護者かな?
「ははは、元気良いよね」
「えぇ、本当に」
まだ「あー、勝手に名前呼んでるー!」「勝手ではありません。許可を頂いたからですよ。当然でしょう」「仲良くなったら、菓子もっとくれるのか?なら俺も呼ぶ?」「じゃ僕もー」「紹介もまだでしょう!」なんて収まる事無い3人に、レオン殿下がパン!と掌を打ったら、あら不思議。ぴたって、収まったよ。
「今日は約束したとおり、婚約者を紹介するよ。彼女がローゼマリー・クリスタル公爵令嬢だ。俺の大切な人だよ」
ほほー、“俺”と言ってるって事は、結構仲良くなってるんだ。
「お初にお目にかかります。ローゼマリー・クリスタルですわ。本日は皆様にお会いできた事、とても嬉しく思っております」
「グレアムはもう挨拶を済ませてるからね。じゃあルペス、どうぞ?」
「はーい。初めまして、オパール侯爵家のルペスです!レオン様から、婚約者様が、すっごく可愛くて優しくてー大好きだって聞いてますー!仲良くしてくださいねー」
ふわふわの水色の髪に、くりくりした大きなオレンジの瞳。可愛い顔に白い肌もあいまって、宝石と言うより、マシュマロとかパステル調のお菓子みたい。メルヘンな存在感だわ。現実で、きゅるん♪なんて音がついても可笑しくない人を始めて見たよ。成長したら可愛さが残ってるけど、ホワイトオパールと言っても可笑しくない美少年になるんだけどね。
と言うか、どさくさにまぎれてレオン殿下は彼らに何を言ってるのかな?!
「じゃ、次は俺だな。こほん……ルビー伯爵家が一子、ウルヴァと申します。名高きクリスタル家の姫にお会いできて光栄です。騎士を目指しています!」
おぉ!これは親御さんの躾かな?さっきまで元気に騒いでたのに、挨拶になるとピシって、決めてくれましたよ、ウルヴァ君!姿勢が綺麗だね。
燃えるような赤の髪に、ピジョンブラッドの瞳。勝気そうだけど、無邪気さを合わせてるから、やんちゃなお子様って感じ。元気な笑顔がまぶしいよ!サッカーとか外を走りまわるのが好きそう。一番背が高くなる設定だったけど、もうすでに同じ年のレオン殿下やグレアム様より大きいね。あ、ルペス様は1つ下なんだよ。
レオン殿下やグレアム様が綺麗系だとしたら、ウルヴァ様はワイルド系なんだよね。見た目はね…。まぁ成長したら見た目に沿う大人の男性になるのかもしれないけど、『ゲーム』は成長途中だからね。ワンコとして親しまれてました。今のまま、大きくなった感じ。いや、やる時は、ちゃんとかっこ良かったから!
「ご挨拶ありがとうございます。どうぞ仲良くして下さいませ。よろしければ、ローゼマリーとお呼び下さい」
もうグレアム様に名前を呼んで頂いてるからね。
ここで赤と水色だけ家名で呼んで下さいとは言えないわ。
「ローゼマリー様、よろしくねー。ねぇねぇ、僕は“ルー”って呼んでー」
「俺も“ウル”って、呼んでくれ!」
君ら、いきなり愛称呼びか?
それ『ゲーム』の好感度だったら、メーター半分以上。7割くらいは親しくならなきゃ呼ばしてくれない名前だよね?個別分岐条件の一つだったはずだぞ…。
どうしていきなり好感度が、爆上がってるのさ?
そんなメルヘンハムスターとフリフリ尻尾ワンコで来られてもなぁ…。
どう捌くか考えてたら、レオン殿下から笑顔の圧が出た?!
「言っておくけど“ロゼ”って呼べるのは、俺だけだからね」
「は~い…」
「うぉ…レオン様が怖ぇ…」
「当然ですね。2人とも調子に乗りすぎですよ。あと、言葉遣いも改めなさい」
犬を飼ってた友達が、悪い事をした直後に叱らないと分からないとか言ってたけど、まさしくそれだわ。
目の前で、小動物達が躾けられてるよ。
「レオン殿下が、お2人をお名前で呼ばれてますので、私もそうさせて頂いては、駄目でしょうか?あと言葉遣いですが、公式の場で無ければ構わないと思いますの。私が来るまで、皆さんは、くつろいで喋って居られたのでしょう?」
くつろぐというか、ぶっちゃけて喋ってたんじゃないの?
「よろしいのですか?先程の様に、かなり乱暴ですよ?」
「ありがとうございます。お友達として認めて頂いた証と思えば、嬉しゅうございますわ」
「優しいー。名前は仕方ないかぁ」
「レオン様が呼んでくれたら、呼んでも良いのか?」
「ふふっ、そうですわね。ですがこれから出会う大切な方の為に、取って置くのもよろしいかもしれませんよ?」
小さな子が友達になろうぜ!って一生懸命手を上げてるみたい。お揃いの何かを揃えるとか、名前を砕けて呼ぶとか…なんだか可愛いなぁ。グレアム様がすごい気遣いの人になっちゃったのは、この2人の所為でもありそうだけど。苦労してる割に、楽しそう。
「えー、俺にそんなの出来るかなぁ」
その気持ち分かるわ~。
私も恋なんて出来るかなあとか思ってたもの。2次元しか興味ないし、忙しいのもあって諦めてた。それが今やレオ様が好きで、両思いになれちゃったんだから。私は転生しなければ無理だったけど君は大丈夫だから!多分。バッドエンドがあったのを思い出すけど。
ひとまず落ち着いて席に着いたので、本日邸から持ってきたロールケーキを早速、頂きませんかね?侍女さん達が上品に盛り付けて頂いたので、生地の美しい黄色とクリームの白さに果物の色が映えるわー。
「これがクリスタル家のお菓子ですか…美しいですね」
「すごい甘い匂い、果物一杯だよー」
「旨そう!」
「本日は“ロールケーキ”をお持ちしましたの」
ここは焼き菓子や、しっかり日持ちがするケーキが多いから、この柔らかくてクリームと生の果物を使ったケーキなんて、凄い贅沢品なんだよね。
「この果物は温室という場所で、育てたものですか?」
「そうなのです」
じつはレオン殿下と2人で、防音みたいに場所を区切って、空気の層を一定の温度で安定させれないかと2人で魔法を考えたのよね。
ほらここはクーラーが無いから!
自分達の周りを涼しくしたり、暖かくしたり出来たら良いなぁとの取り組みで始めたんだけど、結界の概念を使ったからか移動出来ず、ある程度の大きさの物を張るしか出来なかったんだよ。温度もがっちり固定になってしまって、微妙に使いにくい。
移動式個人エアコンとしては失敗だったんだけど、室内はわざわざ結界で空間を区切る事をしなくても良いけど、外でならコレを魔道具に出来たら温室になるんじゃないの?となった訳ですよ。
「まだ小規模だけど、今の所は上手く行ってるからね。耐久性や性能の記録がもっと取れたら、大規模にしたいね」
ビニールハウスや、ガラスの温室よりは設備費用が安い所が異世界だよね。ビニール無いからね。ガラスも手作りだから高い!
あと小型のモーターも作って(理科の実験よ、ありがとう)、ハンドミキサーを作ってもらったからね!おかげで我が家の厨房と王家の厨房は混ぜるブームが来ているのよ。
ですので、今日は柔らかなスポンジが自慢のロールケーキなんだよ!
さぁ、召し上がれ。
Pt、ブックマーク、読んで下さる方、ありがとうございます!
暇つぶしになれば幸いです。




