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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
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貴公子はひねくれる その3



美少年に怒られるのが、ご褒美です!と言える人になりたかった。

きっとそれなら今の時間は、さぞや素晴らしい時間。

天国だったろうさ。


けれど前世で、女の子に“雌豚ちゃん”なんて平気で暴言吐いちゃう、大変口の悪い美形キャラが好きだった友に言いたい。

あれはアニメだから!現実だと心が折れるぞ!と。


グレアム様はそんな事を言っては居ないよ。

あくまで上品、美少年の嘆きである。

けど、圧力っていうのかな?「愚民が…!」と言われてる気分なの…。

これが生物(美形)としての格の違ってやつですか?


「…ところで、先ほどから貴女が探されているのは?」


やっと、お小言から抜け出せますか?

この機会を逃してはならないよ!


そんな訳で、精一杯説明させて頂きました。

最終的に説明より、こんな事したいんだけど、何か知らんかね?に、なってしまったけどね。


だって兄ちゃんが、グレアム様が凄く優秀だって言ってたんだよ。

兄ちゃんのお友達情報からだけど。


この世界って、幼稚園とか保育園なんて無いから、子供同士が知り合うのは、親類のパーティーとかしかないんだよね。

赤の他人が知り合う機会は、親が知り合いだからとか、ホントに人の繋がりで知り合うしかないのよね。

そう考えると王立学園って、見知らぬ大勢の同世代が初めて集まる場所なんだよ。おまけに親元を離れての寮生活。

いきなり恋に落ちたり、はっちゃけても仕方ないかも。


まぁ前世の学校だって、縁も何も無い人を学力なり色んな事で集めて繋ぐ訳で、思いがけない人と友達になれたりする場所だし。

その友達をきっかけに色々デビューしたりする訳で。

真面目だけだったヤツが、オタクの道へ爆進するとかね。

ほんと不思議だよね。いつの間にか帰れない森に入り込んでたのよ。

おかげで夏の祭典や色んな事を知る事になったなぁ。

田舎だったからね、物販やネット環境も悪くて切ない思いもしたね。

というか、そんなのあるとは知らなかったもの!

知ってからネットのフル活用が凄かった。

オシャレや女子力を磨く事より、漫画やアニメに払った時間と金額を考えると、ちょっと人生、道を間違えたかなぁ…なんて思ったりもするけど、後悔はない!

自分を作り上げた情熱は、嘘じゃないから!

…だから駄目なんだ、なんて心のツッコミは知らない。

オタク友達の皆、元気かな。今は何にはまっているのか…。

はまって無いなんて考えもしない所が、業が深いわ。


そんなオタクの感傷を他所に、グレアム様は侍従さんに司書さんを連れて来させ、そのままてきぱき指示を出し、本を選んでもらい始めた。


けど、それは…。

私が知りたいと思ってた事が載っていそうな本なんだけど…。


「貴女では遅すぎます」


「遅いですか?」


確かにアレかな?コレは?って、フラフラしてたのは認めるけどさ。

そこまでかい?


「それとも何時までも目的の本が探せないまま、ここに居たかったのですか?」


「とんでもありませんわ。お陰で早く良い本が見つかりました。私がお手伝いするどころか、逆に手伝って頂けて、助かりましたわ」


「気にしなくて良いですよ。初めての僕がお手伝いする事になるなんて、とっても貴重な体験をしましたから」


紳士淑女って、回りくどく表現するから、それに対して裏の意味を考えなさいって教わったんだけど。

これは、ものすごくドストレートじゃない?恩にきろやって、言ってるよね。


でも確かに助かったしなぁ。

口は悪いけど、ありがたいよ。

だって仕事で嫌味は言うけど仕事はしないって上司より、断然良いもの!

捕まって嫌味を聞いてる時間がもったいない。

そんなに言うなら、ご自分がされたらいかがですか?それか具体的な指示を下さいよ!と何度言いたくなったか。

こっちは条件絞る為に聞いた事さえ、任せたよね?とか言って、どうでも良いみたいな指示出しといて、最終的にこんなの駄目と言われて、やり直し。

何度も途中確認したでしょうが!ホウレンソウしたよね?!

あぁ思い出したら怒りが…。

でも疲れてくるとさ、そんな怒る気力も湧かなくなるのよね。


いかん、暗い事を思い出してしまった。


「何かお礼をしたいのですが、今更ですがお手伝いしましょうか」


「それよりもこれらは貴女が考えた事なのでしょうか?」


「私だけではなくレオン殿下とお話して出てきた事ですの」


正直に言えば考えるどころか、前世見たことを在ったままを言ってるだけね。

1人で考え出したって言うより、2人で考えたって言う方がね、下手に私だけとか言って、どうしてそんな発想が出て来たか聞かれたら困るからね。


「父上に聞いたのですが“そろばん”を考えられたのは、貴女なんですよね」


「えぇ、まぁ子供の頃に積み木で遊んでいた時に、ちょっと」


はい、そろばんね。出しちゃいました。

城に来た時に、エリック様とレオン殿下とで政務の計算機について話をしてたのよ。見せてもらったら、異常に大きくて何だか複雑だったのよね。

レオン殿下は暗算で正確に早く計算できるから(前世と比べて、格段に頭が良くなったと言ってた)、コツとか何か良い方法を話してたんだよ。

魔道具とかで電卓とか作れそうだけど、仕組みとかわからない。

ホントに日常に使ってたものの大半が、分からない物で出来てたんだよね。

それはともかく、もし作れても高くなるかもしれないなぁ。

見せて貰った大きな計算機も、お高いらしいし。

手軽に数が欲しいなら、こんなのどうでしょうか?って、紹介してみたの。

小さい頃に塾に行って覚えてたから。

四則計算出来て、作ってしまえば持ち運びも簡単に出来るし。

正確に大きな数の合計を出すとかだったら、かなり速いと思う。

日本のあの木枠に珠が並んだものだと使いやすいけど、作るのに手間が掛かる。だから粘土板に溝を彫って、小石を入れた物で計算方法を説明して、持ち運べる小型の物が欲しいなら、こんな感じで…そろばんの形状を喋ったんだよ。

そうしたら、さっそく作られ便利で計算しやすい。それに現状の計算機より安価だと広まって、文官さん達がマイそろばんを持ち始めたのよね。おまけに、マイそろばんを入れる袋を奥さんや恋人に縫ってもらうと仲が良くなるとか、それがステータスみたいになってるとか。愛妻弁当か。可愛いよな、文官さん達。

そんな感じで、城でそろばんが広がったわけなのですよ。


ですが、それが何ですかね…。


「面白い事を考えられますよね。今回説明してくださった事も、凄く面白いです。だから僕も計画に入れて下さい」


「まぁ…協力して頂けると?」


「せっかく素晴らしい考えなのに、クリスタル公爵令嬢にお任せしていては、進まないと思ったので」


「…確かにアメジスト公爵令息様は、とても端的に物事を把握して下さるので助かりますわね」


協力してくれるのは嬉しいよ。

けど、もう少し私に対する忌憚(きたん)無きご意見の刃を緩めてみないかい?


「こちらの話は、先ほど申しましたがレオン殿下と一緒に考えての事ですの。ですので、まずレオン殿下に、アメジスト公爵令息様が協力して頂く旨を、お話させて頂きますわね。ちょうどこの後、お会いする予定ですの」


「それは都合が良い!僕も殿下にご挨拶させて頂いても良いですか?」


もちろん良いですよね!って、圧がかかってる。

お礼を返せって?

分かったよ。そんな圧かけなくて良いから。


レオン殿下とのお茶会はまだ時間があるから、殿下の下にお知らせを入れてもらって、探してもらった本のどれを借りるか読んでみましょうという事になった。


頭が良くて、しっかりしてるグレアム様の協力は、凄くありがたいけど、レオン殿下と2人のお茶会が無くなったのが悲しい。


気軽に連絡取り合えるツールが無いんだもの。

スマホをずっといじって、彼氏の連絡待ちしてた後輩の気持ちが、今分かった。

竜さんや、透明マントより携帯を作って欲しいです。




Pt。ブックマークありがとうございます。励みです!

ブックマーク200越えてました!幸せすぎる川* ̄д ̄*川


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