立つ前に断つべし その3
説明回が続いてます。
ある設定が出てきますが、話には出てきません。
こんな国だよって事で…。
「さっきのロゼの疑問なんだけど…先祖代々一途なんだよ。その人って決めると、ただ純粋に愛し続ける。他に心を寄せる事はない。その人が何であろうが、ね」
にこりと、私を見詰めながら「もちろん俺もだよ?」なんて、言われると照れますよ。こう幸せにする笑顔を振りまかれると、嬉しいよね。
ついこちらも顔が緩んじゃう。幸せを噛み締めるって、こういう感じか。
「はぁ…純粋とは…モノは言いようですね。ローゼマリー嬢、我が国の王族方は、皆様、漏れなく非常に、恋愛に関して貪欲なんですよ」
ただレオン殿下の言葉を納得出来ない方も居たようで…諭すようにエリック様に言われたんだけどね。
ううむ…なぜエリック様とお父様が、なんとも言えない顔してるのかな?
陛下とレオン殿下は、親子で似た表情…お澄まし顔。
この温度差は、なんですか?
「おかげで我が国は、種族や結婚に関して寛容だろうが」
「ご先祖様が、種族や性別関係なく結婚を出来るようにしたからね」
ん?薄い本だと前か後ろかで熾烈な争いが起こる、×発言が出たんですが
「…もしかして結婚は同姓でも可能なんですの?」
「そうなんだ。異種族でもね。他の国では認められてない所が多い」
まじかい…その可能性は考えてなかったよ。
だって一応ここ、王政の血統世襲な社会なんだよ?いいの?
レオ様が言ってた、何であろうがって…そういうこと、だよね。
男同士か、女同士か分からないけど、王族でその道に進まれた方が居たと…。
前世でも国によってはアリだったけど…異種族でもOKな分、ゾーン幅広いし。
トップがあえて茨の道に進む国か。…やるな。
でもさ…。
「よく血筋が絶えませんでしたわね…」
「ローゼマリー嬢は臣下の苦労を分かって下さるのですね。まぁ、かく言う私のアメジスト家も、エルフの女性に惚れ込んだ当時の王弟の1人が、臣籍降下し起こした家ですが」
「まぁ、エルフの血を引いておられるとは知ってましたが、そうだったんですの」
「我が家もだ」
「え…」
「獣人の戦士に一目ぼれした王女が嫁ぎ、騎士家になったのが始まりだ」
「…お、お父様、その話、初耳ですわよ?」
「ああ、だから、今言った」
今言った、じゃないでしょうー?!
他人事だと思ってたら、まさかのご先祖様がガチケモナーだった!
いや、戦士に一目ぼれだから、筋肉フェチかも知れないけど。
こんな事、『ゲーム』で影も形も出てこないよ?
「その時は群雄割拠の時代だったからな。まだこの国も小さく、人族と亜人の距離も離れていた。夫となった騎士が自分の一族をまとめ、人族の王家に協力し守護神と呼ばれるほどの働きで、周囲の脅威を遠ざけた」
「えぇ、人族と獣人が協力するなど、考えられない時代だったのです。その多大な功績でクリスタル家は王女が嫁いだ事もあって、騎士爵から公爵になったのです。王族の異種間結婚の走りでもありますし、ある意味、融和政策の先駆けです」
おいおい、王女様行動力ありすぎ!
戦乱の世に身1つで嫁に行って、種族の間を取り持ったの?
惚れたといえ凄いね!
つーか、一体、何の獣人なんだい?
もの凄く強かったのは分かったけど。まさか首狩り兎とか言わんよな。
「あの、私やお兄様もそうですが…肖像画の当主の方達も獣人の特長である耳やしっぽが、まったく無いのですが」
うん、目の前のお父様に、ふかふかケモ耳が付いているのを想像するのは厳しいので、あえて外してみた。
熊耳なら似合うかな?
駄目だ。ごめん、お父様。ネイチャー系動画で脅威の生き物として出てくるレベルだわ。癒しが皆無。
「クリスタル家は建国初期から続く、古い家柄ですからね。王家から何度か姫が嫁がれてますし。獣人の特長が出なくなって久しいのです。完全に押さえ込まれたのでしょう」
「押さえ込まれたとは?」
「実は異種族間は子供が出来にくいのですが、例外がありまして。それは男性より魔力が大きい女性がお相手だと、妊娠する確立が高くなる事が分かっています。それでも普通くらいですが…。獣人も魔力がありますが人族より少ないですし、おまけに王族は魔力が多いですからね。そして生まれてくる子供ですが、魔力差があればあるほど、魔力が多い側。つまりこの場合、王女の種族特性を引き継ぐことが多くなります。私などは分かりやすい例ですよね。エルフは圧倒的に人族より魔力量が多いですから、今でも風の精霊と契約出来るくらいです」
「だから血は引いていても、耳やしっぽは出ないのですね」
「ロゼがケモ耳かぁ…可愛いだろうな。しっぽもイイ…」
うっとり見つめて下さいますが、何も出ませんからね?ほぼ人だって分かったし。
おかげで普通に魔法が使えるんだね。
獣人特性が出てたら、魔法は身体強化系一択だったはずだもの。
「ところで先祖である獣人は、どの種族なのでしょうか?」
「虎だ」
「もう少し自分の先祖なのですから、丁寧に教えて差し上げなさい。正しくは白虎族の族長の息子だった方ですよ。容姿は銀髪で眼が薄い青。美しい尾と耳を持った偉丈夫な方で、大柄だったそうです。今のクリスタル家の容姿の特長は彼からですね」
屋敷に居る使用人さんや、騎士でごついなぁ、迫力あるなぁ…なんて思う獣人さん達の一角じゃないか…。そうかぁ、お仲間でしたか。
あの耳と尻尾は素敵だけどさ、お父様や先祖の方々が強面なのは、それでだよね。
私が目つき鋭いのも、ひょっとして?
なんてこった…。どうりで可愛いとは程遠い訳だ…。
「そうでしたか…教えて頂き感謝いたします。話を逸らしてしまい申し訳ありませんわ」
「いえ、ローズマリー嬢は真面目に聞いて下さいますからね。こちらも、ついお喋りになってしまいました。まぁ、それでも何となく分かられたと思いますが。王族の方は愛した方と…どのような方であれ、添い遂げようとするのですよ…」
エリック様の憂いたお顔、大変麗しいのですが、肝心の王と王子に利いてないよ?
一番聞けやって人達なのに、それが何か?って顔してるし。
こんな話聞いたら『ゲーム』の“ローゼマリー”が何もしなくても、“レオン”がヒロインを本気に好きになった時点でアウトだよね。婚約無くなるよね…。
タラレバだし、私じゃないけど…ちょっと胸が痛いよ。
「魔力が大きい事も、種族に関係なく有利になってるのでしょうね。中々老けませんし…。ある王族は40越えてから結婚し、子供を5人もうけられたと記録にありますから。ただ臣下としては安定した治世の為にも、直系王族の方々が少数というのは恐ろしいのですが」
「多すぎて兄弟間で争うよりましだろう」
「カルマ帝国の後宮では、肉親の血を血で洗うのが日常のようですからね」
「それに、余はもう2人も王子が居るぞ!」
「たった2人とも言えますがね…」
そうなんだよ。
レオン殿下と私が会った翌年、第二王子ヒュース殿下がお生まれになった。
ミニミニレオ様なんだよ。もう、凄い可愛いの!
城に行った際は、抱っこさせてもらったり、一緒に遊んだりしてるけど、ぷにぷに甘い匂いがして…。
今はおしゃべりも滑らかになって、「ねぇたま」って呼んでくれるんだよ?!
鼻血吹くかと思ったわ。
色々考えてるみたいで、手に持ったものをじっーと見つめてたり…。存在が癒し。
一日ずっと見ていたくらい、とにかく総てが可愛い。
レオ様も天使だったけど、弟のヒュー様も天使!
ヒュース殿下が生まれてから『ゲーム』では、レオン殿下の紹介って“第一王子”としか出てきてなかったな…って、気付いた訳で。
だからご兄弟が居たか、正直分からない。
年齢の事も考えると、もしかして続編?とか思ったんだけど。どうなんだろう。
「心配するな、余も王妃もまだまだ若いからな。楽しみにしておれ」
ふふん、と自信満々に威張られる陛下に、深いため息で返事をされるエリック様。
頑張って下さい、宰相様。
「とにかく…ビジューエル王国は獣人、エルフ、ドワーフ、虫人や人魚達。亜人と呼ばれる固有文化があり、知性を持っている方々を受け入れた治世を周辺国より、いち早く敷いてきました。その根本は、王家の何でもありな恋愛体質の所為なのですよ…。始末の悪い事に、それで融和政策が上手くいって、現在は種族の特性を認め生かす、素晴らしい国になっているのですがね」
「始末が悪いは言い過ぎであろう」
「陛下、未来を見据え、異種族間の問題解決を考えた末の決断ならともかく、自分達が惚れた相手を恙無く住まわせる為、その行動の果てなのですよ?」
「ハッ、良いではないか。始まりや過程がどうであれ、結果は上々。余はこの国が誇らしいぞ」
「ええ、私も宰相として、この国に住む者として、誇らしい気持ちを持っております。ですが、少しは伴侶以外の為に、やる気を出して頂きたいのです」
「王族は惚れた相手の為に動くと、より働くから。諦めて欲しいかな」
「まったく…殿下も紛れも無くダイアモンド家の特性を引き継いでますよね!」
なるほど、お父様始め王家に近しい高位貴族は、長年の積み重ねで分かってるんだろうな。だから法はあっても、1度も側妃が出来た事がないんだ。
というか、うちの王族…ちょっとヤバイ気がする。
ちなみに王族が異種婚姻により出来た他の家
・シトリン公爵家…ドワーフ
・プラシオライト侯爵家…人魚
・モリオン辺境伯…狼獣人
いずれも恋愛結婚…。
結果的に山や海など、その場所に対応する種族達と婚姻してるので、資源にしろ防衛的にもビジューエル王国強いです。
周辺国からは、やっかみも入って節操無しと言われてます…。
まぁ、趣味広いよねw
次こそ、話が進むはず(;^_^A
よろしくお付き合い下さい。<(_ _)>




