こうして崩壊が始まった その5
楽しい出会いの後、この件を国王様へ報告する為、事前打ち合わせをしましょうという事に、なったのだけどね。
レオ様を守るように契約を変えて下さいって、お願いしたのに却下になった。
そして、お願い聞いてくれるって言ったのに!うそつきー!と、初めてレオ様と喧嘩しました。
いきなり喧嘩?何故?って、思うかもしれないけどね…。
まぁ、説明させて頂くとね、溜まってた…なるんだろうなぁ…。
竜との契約を聞いてから…違うわね、ホントはもっと前から不満に思ってたの。
レオ様は自分の事を全然大切にしない。
今回の事だって、知らないうちに手を回してたのよ。
多分、レオ様が言ったとおり『ゲーム』では、潰れた闇ギルドが係わったテロや犯罪が起こっていたんだから、今後の事を考えたら凄く良いことなんだと分るわ。
ただ、本当にレオ様は忙しいのよ。
朝起きてから夜寝るまで、私が知らない部分でも分刻みのスケジュールのはず。
その合間を縫って探してくれたのに、何も知らなかった。
それって普通の生活もしながら、調べてたりしてたのよね。
無茶し過ぎなのに…私ばっかり気にかけて守ろうとする。
私だって、彼が大切なのに。
竜なんて凄い協力者が出来たなら、自分の為になるよう契約してくれたら良いのに。
どうして“私だけ”守る、なんて言うの?
私よりも、もっと色んな事がありそうな、自分の安全を考えて欲しい。
それでお願いを聞いて欲しいって、言ったのよ。
卑怯だとは思ったけど、私の事ばかり優先するレオ様だもの。
「もちろん!」って言ってくれたんだけどね。
「んー…それはロゼのお願いなんだけど、ちょっと聞けないかな」
そのまま色々言ったんだけど、結局、駄目だって言われて、切れたわけ…。
ずるいだの、酷いだの…泣きながらレオ様を詰ってしまっていた。
ただ、興奮が収まって冷静に見れば、これ単なるヒステリーだよね…。
自分勝手な気持ちの押し付けじゃない?
私が自分の何もやってない事に対して、レオ様に当たっただけ。
おまけに行動把握したいって?うわー重っ…。
今更だけど、私そうとう重いわ~ゴメンよ、レオ様。
コレだから乙女ゲームでも、共通ルートから個別ルートいけないんだよ!
選択肢があっても、自力ではノーマルエンドしか出せない女なんだもの…。
正しい男女交際の仕方とか距離とか、誰か教えて…。
心の中で穴掘ったよ。自分をザクザク地面に埋めたい…。マジ、埋まれ。
「…ゴメンね。心配してくれたんだね」
「…レオ様が悪い訳では、ありません…私が、勝手に怒りました。我が侭言って、ごめんなさい、私だってレオ様が大事なの。あなたを大切にしたいの」
くずくず鼻をさせながら、訴えたよ。子供じゃん!まぁ体は子供だけど…。
「…あ、じゃあ、抱きしめていい?俺、ホントそれで元気になるから。その、ロゼが大事だって言ってくれて嬉しい、心配かけたのは反省するけど。今はロゼを抱きしめたい。お願い」
金の髪をぐしゃりとかき乱し、顔を赤くして、レオ様が訴えてくる。
お願いなんて初めて聞いたよ?
「そ、そんなことで良いなら、いくらでも…!」
こっちから抱きつくよ!頼むから、自分を大切にしてよ~!
抱きつけば、お互い小さく細い。それでも私よりしっかりした体。
柔らかくて、子供特有の体温の高さに胸が締め付けられる。
そうなんだよ。
例え前世があっても、やっぱり子供なんだよ。
なのに私の我が侭の為に、資料を探し遠くまで視察に行き、彼らを助けてくれた…。
「レオ様、いつもありがとうございます。大好きです」
「……っ!ロゼが、ロゼが…」
「あの…?」
「好きって、俺、どうしよう?!」
いや、こっちの方が、どうしようですよ?いきなり、どうしたんですか?
まさに青天の霹靂…世紀の大発見?みたいな感じを出してますが、なぜそんな驚いてるのかな?
「嬉しい、ホントに!ロゼが顔とかじゃなくて、初めてだ。俺のこと好きって言ってくれた!!」
「え?」
「聞き間違いじゃないよね?!」
「えぇ…もちろん?」
鬼気迫る様子で詰め寄られても、あいかわらず麗しいっすね。さすが美少年!
じゃなく…。
「あぁ~嬉しい!ロゼ、俺もだ!」
「はい…?」
初めて?そうだっけ?あれ?え、出会ってから、私、言ってない?
いやいや、待とうよ。だって、好きなのは随分前から…。
レオ様と出会って、3年経ってるよ?その間、一度も?ええ~?
おかしいな…いや、結構言ってたよ?好きだな~素敵だなぁって…。
でも…口に出してない…気もする。
そうだよね、告白…してない…ね?
ひょっとして心の中で漏れてただけ…?
妄想おつ?
………うそぉ~!最低じゃない!!
私の葛藤も知らず、レオ様は嬉しい!大好き!を連呼しながら、私を抱きしめたまま、ぐりぐり肩に顔を押し付けていた。




