いっしょの人 その2
「殿下は、いつから前世を思いだされたのです?ひょっとして、生まれた時からですか?」
「違うよ。3歳の時に倒れて熱を出してからだね。混乱したけど、こっちの、“レオン”の記憶がしっかり残ってて、転生したんだな~って分かった」
「魔法を使い出したと仰ってたのは」
「たぶんローゼマリー嬢の思ってるとおり。思い出して『ステータスオープン』をやった!で、見れなかった!」
「ぶはっ!」
レオン殿下、ドヤ顔で失敗自慢しないで下さい。お茶を吹くところでした。
バカワイイな…。
まさかの殿下が転生者という事で、お茶を飲みながらの暴露大会になっている。
「それは私もしたかったんですけどね~。結局出来ずじまいでした」
「読んだラノベを参照に色々試したんだけど、何かの情報を見ようと思ったら鑑定か調査しかないみたい。まぁ、そこから鑑定を使うようになった。俺もまだ魔法に関しては基本知識を勉強中だから、実際の呪文とかほぼ知らないから本当はあるかもね」
「それでも凄いですよ。“ローゼマリー”は魔法なんてまったく興味ないですから、何も知らないんです。私としては魔道具のランプでも感動ものなんですけどね。このティーコジーだって火系魔物の毛で作られた布を使ってるので、温度を一定にする品物なんだそうですよ?」
ティーポットに被せてある上品なクリーム色のソレを見る。使われた素材って火ネズミかしら。だったら、かぐや姫が泣くわね~なんて凄く想像が広がるわ。
「へぇ~これそうなんだ?俺も日常で魔物系の物が出てきたらテンション上がるの、凄く分かるよ。皆はそれが普通だから、感動を分かってくれる人が居なくて。その魔物がどれだけ珍しいかで盛り上がるけど、俺としてはオークでもミノタウロスでも凄いんだよ」
「えっ!?あの異世界と言えばの食材をお食べに…?」
「ふふふふ~食べました!というか、君も確実に食べてるんじゃないかな」
「私が知らないうちにオークをいっちゃってると?」
「いや、ミノの方」
「その言い方は別の物になってそうですが…いつのまにミノタウロスなんて。ダンジョンでボスやっていそうな魔物ですわよ?」
「確かにダンジョン産だけど、群れで生活?してるらしいから、冒険者が獲ってくる高級食材なんだよ。向こうだと黒毛和牛A-5ランクのサーロインか牛ヒレ?」
「わぁ…分かりやすい」
ほんと前世では縁のない、お高いのだけは分かる表現をありがとうございます。
もしかして、レオン殿下って転生前でもお金持ちのボンボンか?あっちでもこっちでも美味しいもの食ってやがるの?
「そうですか、殿下は毎日毎日、和牛A―5を食べておられるんですね…」
「待って!誤解だよ?!確かに王族だから良い物は食べさせて貰ってるけど、養殖魔物も居るから、普段はそっちだから!きちんと節約と言うか過剰に贅沢してません。血税大事!」
殺気立った私に気付いたのか、背筋を伸ばして、ぶんぶん首を横に振られてる。
「あっちでそんな高い肉なんて食べた事ないから、味は比較できないから。高級食材だけど貴族ではそれなりに出回ってる素材なんだ。クリスタル公爵家なら間違いなく食材に使われてると思うよ」
「…そう言われると舌でとろけるような、美味しいお肉があった気がします。さり気に魔物肉いってたんですね!?」
殿下にちょっとイラってしたけど、たしかにお肉美味しいのよ。お子様のうちからとんでもないな、グルメになる!って思いながら食させてもらってますが。前世の記憶が戻る前はそれが普通という贅沢を私もしてたんだ。
「たぶんソレだと思う。料理で豚肉使う感じっぽいのだとオークはジェネラル級だったら、もしかして使ってるかも。グリンブルスティっていう、高級魔物豚がいるからそっちかも知れない」
「ジェネラルオーク!グリンブルスティまで…神話や伝説が胃の中へ…」
「それだよ、まさにその反応!今日は良い食材だって出されて、高いお肉だって事より毎日の、その魔物が出てたの?っていうのを語りたいんだ」
「確かに!」
同士よ!とばかりに、がっしり両者で握手をする。
まさか食事からそんなファンタジーしてたとは、異世界で生きてるって凄く実感した。
「気付かないうちに日々ファンタジーだったんですね~」
「そうだね~。でも俺はローズマリー嬢の方が、この世界について詳しいんじゃないかと思ってるけど?」
「どうしてですの?」
何言ってるのかな~殿下の方が断然物知りじゃないですか。私なんて、魔法やら魔物やら何も知らないよ?
「だって『悪役令嬢』なんでしょ?君は」
あ、そっちの設定すっかり頭から抜けてたわ…。




