いっしょの人 その1
ブックマークありがとうございます!うまく切れないので、本日は一話のみ投稿です。
このガゼボの周りって、自然の森の中にいるような造りになってるのね。森の中の隠れ家って所かしら。
公爵家の使用人さんが、素敵なテーブルを用意してくれてますよ。
派手すぎず、それでいて気品あふれる素晴らしいセンスだわ。
こういうのも家の女主人が仕切るとか…マジか。出来る気がしない。
繊細なケーキスタンドにサンドイッチや小さなケーキ。木漏れ日も柔らかく白磁の食器や銀食器を照らして、緑がまた美しい。
正統派アフタヌーンティーですね。ホテルのアフタヌーンティーだったら、お幾らかしら…と考えてしまう私は、根っからの庶民。
ホントはもう少し早く、ここに来る予定だったんだけど殿下と揉めてたから。
ええ、揉めていたんです。傍から見たら違っても揉めてたの!
だって、テーブルセッティングしてくれた侍女さん達の目がさ、仲良しさんですねー微笑ましいわ~って言ってるんだよ…。
初めて皆さんに向けられた優しさが、こういうのって居たたまれない!
…自分で言い訳しながら「おまえ、あの女子と仲良いな~」って、からかわれた男子が「そんなわけあるか!」と逆ギレ照れ隠しする光景が頭に浮かびました。
そっか…自分の男女交際経験は小学生以下レベルか。
そうよね、見てるよね。
少し離れた所から、レオン殿下の護衛も私の付き添いも付いて来てたものね。
内容は聞こえてたかしら。
まぁそんな重要な話をしてなかったけど。王妃様が恋愛小説をお持ちだったという事や、殿下がそれを読んだという愉快な話が聞けたのは、面白かったんだけど。その動機については、心臓に負担がかかるので、ちょっと目を逸らしたいと思います。
まぁ、斜め横に腰掛けているレオン殿下は目を逸らすのを許してくれそうにないですが。
「ローゼマリー嬢、少しだけ下がるように家の者に言ってくれないかな」
うん、皆さん。お願いします。
ちょこっとこちらが頷くだけで、ささっと動けるとはマジ優秀。
レオン殿下のお付も同じように、殿下の視線で下がられましたね。
「“防音”」
「殿下、今のは…」
「防音の魔法だよ。音を総て遮断する程の力はなくてね。まぁ、コレくらい距離を置いて使えば、多少大きな声を出しても向こうには聞こえない」
「もう魔法をお使いになれるのですか!」
「うん、3歳の時から使ってるよ」
マジか?!私なんて、未だに魔法の魔の字さえ遠いと言うのに!
ホントは図書室とか行って魔法関係の本を漁ろうと思ってたんですが、マナー様がお許しにならなかったのですよ…。マナーが大半だけど今までしていた勉強の確認とか、1日がもうみっちり内容詰まってて、おまけに体力が無い。夜にはすぐにベッドで熟睡。自分の出来の悪さが悲しい。
「うーん、その様子だと魔法はまだ?」
「ええ…まだですわね」
我ながら怨めしい声が出てると思うけど、羨ましいものは羨ましいんだ!
「そうか…『ステータス』見ようとしなかった?」
「…!!見れるんですか!?殿下は見られるんですか?というか、私の見れるなら見たいです!ぜひ、お力をお貸し下さい!!」
土下座したら良い?見れるなら、喜んでやらして頂きますが!?
「ちょっと落ち着いて、ローゼマリー嬢。確かに話題を振ったのは俺だけどね?」
「すみません、つい。憧れのアレやコレが分かるかと思うと…」
「…驚きの食いつきぶり。気持ちは分かるよ。『スキル』とか魔法属性とかあったら見たいもの」
「そうですよね!どういう風に見えるのかとか凄く楽しみで。やっぱり『ステータスオープン』で見れるんですかね?なら」
「あ、待って!見れないから」
「え……見れない?」
「うん、見れない。考えてみて?俺達って『キャラ』の状態、能力が分かる『ステータス画面』を称して『ステータス』って言ってるけど、それって画面ありきの話だ。無かったら分からない。だからまず、どんなものか判断しないと…手を貸してくれる?」
「はい!手でも何でもお好きにどうぞっ!!」
明かりを点けたり消したりとか魔道具だし、屋敷で使われるのは知ってるけど、私自身は一切魔法を使う事なし!たぶん兄ちゃんも使ってない感じだったから、大人になってから使うものだと思ってたのに。これは早々に魔法の勉強をさせてもらえるよう、頑張らなければ!やる気が上がって来ましたよ?!
「………何でも……に…」
殿下、どうしたんだよ~!
早く頼むよ~~~!!
「…いや、うん、俺が注意してれば…?でも俺が問題……まだ……早い…教育……良いか…」
「殿下?」
「大丈夫、安心して任せてくれたら良いから」
「はいっ!よろしくお願いします!」
「もちろん、しっかり見るからね」
なんだか考えておられたけど、結論が出たらしい殿下が私の手を取って目をつむる。
「“鑑定”」
『ローゼマリー・クリスタル 人族(転生者)女 5歳 9/10 正常 』
「ふあっ!?」
「出た?」
出ました…というか、浮かんだ?って感じ。
おおー、3Dみたいに飛び出してる。手で触れないんだ。
レオン殿下が、うんうんって…ご満悦な表情で頷かれてます。
「出たものは一定時間過ぎれば消えるよ。消したい時はそう思えば消える」
「そうなのですね。あ、消えました。凄いです!ありがとうございます!!」
「どういたしまして。そんなに喜んで貰えて俺も嬉しい。それで、そろそろ君の転生者って所に注目しない?」
「…………え、っと、その」
「もう分かってると思うけど、俺も転生者だから。で、俺はこんな感じ」
再度レオン殿下に手を握られると、ポコンと先程見たものと同じような表示が、殿下の前に浮かび上がる。
『レオン・ダイアモンド 人族(転生者)男 5歳 13/13 正常 』
ホントに転生者なんだ…。そうなんだよね。今日お会いしてから会話していて、おかしな所が有りすぎたものね。向こうの話が、がんがん通じてる時点でね。あれ~?この人おかしくない?って、なるもの。
「…あの、いつから分かってたんですか?」
「はっきりいつからと言うと、今日って答えになる。君がちょっと普通じゃないって、分かったのは最初に会った時から。でも、転生者かどうかは確信出来なかった。今日は様子見だって言ったよね」
「そう仰ってましたね」
「うん、俺が君を城で“視た”時は、名前が2つだったんだ。正確には、2つになった。俺の前で、『ローゼマリー・クリスタル』と『アカネ・キリシマ』にね」
「それ……、それ私のです……前の名前、です」
「やっぱりか…これ日本人の名前だよなーって思ったんだけど、転生者とは出てこなくてね。さっきの俺の鑑定、見ただろう?はっきり出る事を知ってるから、こちらも断定できないと言うか。なのに君がその状態で帰ってしまったから、凄く気になってた」
私もレオン殿下とお会いした時に『日本』の事を思い出しかけたこと。それで混乱して泣いてしまったこと、その後倒れて以前の記憶を思い出した事をお話した。
「…すごく納得した。君が大変な状態になってるのは分かったんだけど、何も出来なかった。今日来れてホントに良かった…」
「心配して下さっていたんですね」
噂だけだけど、レオン殿下の1日は勉強も剣の稽古も凄く忙しくて、そんな中で邪魔とははっきり言わないけど、なんでわざわざ来るのよ?って思ってたのに。
「ありがとうございます…」
ほんとに。
悲劇ぶるのは嫌だけど、ひとりだなぁって思ってた時に知らない所で心配してくれてた人が居たなんて…ちくしょー泣かせる気か?
今度こそ鼻水出したるぞ?(脅し)
レ 「大丈夫、(君の事は)安心して任せてくれたら良いから」
ロ 「はいっ!よろしくお願いします!」
レ 「もちろん、しっかり(一生面倒)見るからね」
知らないうちにロゼ自分を売ってました。ぜんぜん安心できない…
書き溜め分無くなりましたので、隔日投稿になるかも知れません。よろしくお願いします。




