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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
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殿下がやってきた その4

本日、2話目。



屋敷中に暴虐(パワハラ)をまく幼女、歩く恐怖、それが私…そのはずなんですが。


とんでもない美少年に「一目ぼれしました」と熱く告白されるって、アリですか?

信じられん。

ここしばらくの間、皆に恐れられていた体験が根付いてしまってるから。

いえ、ホントは告白なんて始めてされたからですよね!前世含めての、初ですよ?!



告白…こくる。白状する?意味ってなんだっけ?コクンって、吐く?

あ、それなら分かる。

今、動揺して、緊張で吐きそう。心臓を!君、ドコドコうるさい。

ひょっとして心臓破裂して断罪パーティー待たずに死ぬのかしら?

スピード解決ですね!なんていってる場合ではないです。



「あぁ、ひょっとして婚約詐欺ですか?!」


「どうしてそうなるの?」


「え、いやいや、だって私ですよ?私、『悪役令嬢』ですよ?殿下から、断罪されちゃう人ですよ?なんで、そんな告白とかされちゃってるんでしょう?あの、冗談ですよね?」


そう、冗談だよね。もぅ~やだなぁ?お偉い方の冗談は、胃にくるんだよ。特に笑えないヤツが来た時は、いかにスルーするかが、腕の見せ所で…。



「冗談は、言ってない。俺は、貴女に会いに来た。一目惚れしたのも、本当。恥ずかしくて勢いで一気に喋った。それが冗談みたいに聞こえたら、許して欲しい」



どうしよう、マズイわ、レオン殿下の眼が語ってるもの。


嘘じゃないって、真剣だって。逃げずに聞けって。

好意を隠さずに見詰めてくる、ダイアモンドのような瞳。

こんな、想いが詰まった視線を、言葉をどうしたら良いのか分からない。



「っ……」


「え?!泣くほど嫌?」


「ちがうのっ…」


だって、気にしてない振りしてたけど人の視線が怖かったのよ。

中身はアラサーだから大丈夫!図太いからって思ってたけど…実際図太いけど。

今まで酷い事をした人達に対して向き合うのに勇気が必要だった。

“ローゼマリー”がした事は私がした事で、違うなんて言えなくて。

露骨な嫌悪とかじゃなくて隠しても目に浮かぶ拒否感に、これから皆に分かってもらえれば良いとか思いながら、つらかった。誰にも弱音も愚痴も言えなかったし。

それでもしんどい事は、じっと耐えれば良かったのよ。



でも優しさとか好意なんて方面に防御策は築いてないの!

素通りなのよ、攻撃が。

それなのにこれでもかってくらい、力押しで理解させてくるし。

かつて喪女の男性および恋愛に関しての収拾能力の無さを舐めるんじゃない!

弱ってる所にコレはない。まっすぐ過ぎて泣くわよ…。


あ、ハンカチですか。ありがとうございます。そっと渡してくれるのが紳士だね。結構、紳士が崩れてますけれど…。


「失礼致しました。ハンカチは綺麗にしてお返しさせて頂きます」


今回は、涙ポロ、ポロリで終わったわ。やったね、黒歴史リターンならず。というか、動揺し過ぎて代わりに色々言葉をポロリしちゃったんですけど、どうしましょう…。



「別にハンカチはかまわないよ。うん、なるほど…よし。俺も少しだけ落ち着いた…と思う。座って話せる場所あるかな?」


「あちらに、ちょうど案内させて頂こうと思っていたガゼボがありますの。そちらでいかがでしょう」


「では、そちらまで貴女をエスコートする栄誉を頂けますか?」


「ふふっ…よろしくお願いしますわ」


結局二人ともネコ被ってたのね…なんだか力が抜けちゃったわ。

今まで殿下に対して異常なほど緊張してたのに、不思議な気分。

お顔を見ても、確かに整ってるなぁって思うけど、先程までのギクシャクしてたのが嘘みたいに自然。レオン殿下の笑顔は、もっとステキに見えるのに。

ドキドキしてるのに凄く自然に話せてる。


「良かった、ローゼマリー嬢が自然に笑ってくれるようになって」


「私、そんなに不自然でした?」


「まさか!上品で綺麗な笑顔のお手本みたいだった。あの笑顔もステキなんだけど、俺は今みたいに少しだけ砕けた笑顔が好き」


ひぇー!とびっきりの笑顔って、こういうものなんですね。

殿下が凶器。笑顔が輝いてる。

心から好きって気持ちが溢れてて…ほんと手加減して~!

真っ赤になってるのが分かるからぁ。



「…殿下、その、私はですね、あまり好意を向けられるのに慣れてなくて…」


「俺も慣れてないよ?」


嘘つくなって、思いが目に出た私を見て笑われてしまった。


「地位が、地位だからね。それは王子として好意は寄せてくれるけど、俺自身だけとなるとね。本当に身近な人たちだけになるし。可愛い女の子とは違うでしょう?」


「可愛…もしかして、私をからかって遊んでおられません?」


「君が可愛いのは事実だから、そこは諦めて。でも…コレでお相子だと思うよ。ローゼマリー嬢の方が先に俺の事、“好き”って言って、心臓止めようとしたんだからね」


「それは!」



「あの時、軽く冗談のつもりだったのに、満面の笑みで“好き”って返された俺の気持ち、分かる?ホント、崩れ落ちるかと思った…おかげで浮かれ過ぎて馬鹿になるし。もう地が出てしまったから諦めるけど。実はもっとスマートにかっこよく口説く計画だったんだ。母上の恋愛小説とか読んで予習したんだよ。それが、あっという間に潰れた」


「すみません…」


「うん、分かってくれれば結構。…俺も嬉しくてどうして良いか分からなくて、醜態さらしたし。お互いなれてないから、これからは二人で慣れるようにしようね」


あれ?なんか私が悪いみたいに話がまとまりかけてる?

というか、話ずれてるよね。




ガゼボに着いたから、とりあえずお茶にしますけど誤魔化されてないからね!




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