殿下がやってきた その3
庭師のお爺ちゃんにお願いして、この季節ならではの見所の場所を教えてもらっておいて良かったわ。現在単なる解説マシーンと化してます。
お爺ちゃんの受け売りしかしてないと言われても良い。バレ無ければ良いの。
とにかく説明に集中しないとマズイのです。
いやもうねぇ、原因はレオン殿下なのよ。
今のレオン殿下だと私と背は同じくらいなのよね。ちくしょー可愛い。
腕をお借りして歩き出したんだけど、距離が近いし良い匂いがするし。
見れば見るほど素晴らしい造形美。ほっぺたツヤツヤだし、睫毛がばさばさで…。
唇は春の新色ですか?ってくらい発色良いし。色付きリップなんかいらないよね。
おっと、こっち向いた。
「そんなに見つめられると照れてしまうな。僕の顔好き?」
「はいっ、とても!」
「…」
しまった…、居酒屋店員並みの良い返事をしてしまった。
なぜ脊髄反射で答えてしまったのよ。
歩き出してから、ずっと抑えてきたからかしら。
無理は体に良くないわ。でも隠さないといけない欲望だってあるんだからぁ!
頑張れよ、私のネコ~!
殿下は怒る?いや、紳士だから、お相手は紳士ですから(希望)
きっと上手く流してくれるはずなのよ…。
そろ~っと、顔をみたら、おぉ?
「殿下…お顔が…」
真っ赤です…。
パッとエスコートしていない手で顔を隠されて反対を向いてしまいましたが、しっかり耳が赤いんですけど。
別の意味で、ヤバイ。心臓にキました。
鼻血案件。犯罪者とか呼びよせそうです。ショタ万歳?
「ローゼマリー嬢も、顔赤いよ?」
「すみません…」
ちらりと流し目で、報告しないで結構。自分で分かってますので。
二人して赤面してるって、この空気を何とかして下さい。
「コホン…良い天気ですねー」
私のポンコツ~話題転換でも、もうちょっと何かないのか。えーっと。
「まさに散歩日和ですし…殿下とご一緒できて嬉しいですわ」
「……そ、そうだね。俺も嬉しいよ?!こういう時は“ホンジツハオヒガラモヨク”って言うんだっけ?」
「いえ、その場合、天気は関係ないそうです…よ?」
「……あぁ、“コクゴ”が駄目なのばれる…いや、きちんと婚約する時に言えば良いのか?“ダイアン”なら自分で言っても良いのか?“ナコウド”に言ってもらうんだっけ?」
「…えっと、あの、レオン殿下?」
いきなり苦悩しだしたわ…壊れました?
一人称も変わってしまって、おかしな事言い出したし…。
さっきからチョコチョコ聞こえてくる言葉は、なんでしょうか?馴染み深いんですがココでは使われていないというか、伝わらない言葉では?
肩を持たれたかと思うと、くるんと回されて殿下と向き合う形へ誘導されてしまう。
そのまま、そっと両手を握られて、真正面から真剣なお顔と見つめあった。
「あのね…本当は今日君に会いに来たのは、どうしてるか知りたかっただけなんだ。でも今は違う。ローゼマリー嬢と婚約の顔合わせをやり直したいと思ってる。俺の独断だから公爵も誰も知らない。勝手に“オミアイ”状態だね」
「お見合いですか」
「うん、はっきり言わない俺が悪いな。ゴメンね、焦りすぎた」
「焦った、ですか?」
「そう、一目惚れした子が可愛い人だって分かって浮かれてたら、その人が俺に好意を見せてくれたので、更に浮かれてしまいました」
きゃっ!みたいな感じで恥らうのも、似合いますね。
でもですね、ひとめぼれ、かわいい、うかれる。
おまけに好意だと…?
一番私に縁遠い言葉たちですが、どこからそんなモノ持ってきた?それ人違いだと思います…。




