殿下がやってきた その2
本日2話目です。
家族総出でレオン殿下をお出迎えしたのですが、なぜか現在たった一人で応対中です!
クリスタル公爵家の総力を持って歓迎させて頂いたんですよ?
応接室へ案内して、お礼申し上げて、お茶やら菓子を振舞っていたんですが、私だけで庭を案内することになりました。
兄ちゃんも一緒に行こうよ!というか、代われ。
必死のアイコンタクトも虚しく送り出されてしまいましたわ。恨みますわよ。
「今回のこと、公爵に無理を言ってしまって申し訳なかったね。クリスタル嬢とゆっくり話してみたかったんだ」
「いえ、我が家に殿下をお迎え出来るなど光栄ですわ」
庭に出てから口調をくだけて話していいか聞かれましたので、もちろんと答えましたが。
ゆっくり話したかったって、あの醜態を見て何を話したいんですかね?
一応恥じらいの心も持ってますので、居たたまれないのですよ。
(こんな綺麗な子の前で鼻水出したなんて、とんでもない黒歴史!)
今日の殿下は光沢のあるダークブルーのお召し物。色的には地味なのに、髪の金色が映えて上品さを引き立てている。ロイヤル感、すごい! もうね、2度目だと言うのに根性入れないと見ほれちゃいます。
綺麗に刈り込まれ整えられた庭は、観光地にでもしたいくらい美しい。
その中を軽やかに歩く殿下…このままCMに使えるわ。
「クリスタル嬢は始めて会った年の近い子だったんだ。周りは年上ばかりだからね。普段何をしてるのか。凄く興味があったんだ」
「普段ですか…」
“ローゼマリー”の時はお菓子食べてドレスを着まわしたり、勉強をサボったり?そんな所で、記憶が出てからは殿下が来るっていうのでマナーとかマナーとか…。恐怖体験が思い出されるわ。
「お恥ずかしながら、最近はマナーを中心に勉強しておりました。その、先日お目にかかりました際、大変失礼いたしました」
せっかく直接お詫びを申し上げる機会だからね…習ったとおりに深々とカーテシーをするんですが、この体勢キツイ。…太ももに来ます。
「ご招待頂きましたのに王族の方々の前での無礼の数々、お許しくださいませ」
「手紙でも謝ってくれたよね。もう謝罪は受け取っているよ。僕個人としては、何も問題ない。少し驚いたけど可愛い女の子が泣いてるんだ。放ってはおけないだろう?でも、本当はとてもしっかりしたご令嬢なんだね」
「…ありがとうございます。殿下にそのように言って頂けると、マナーを頑張って勉強したかいがありますわ」
「クリスタル嬢、顔が赤いようだ。照れてしまったのかな?」
「殿下…」
えぇ照れてますよ。ちょっと分かってるなら顔覗き込まないでよー。
中身アラサーな人間ですが、こんな可愛い男の子にお世辞でも褒められたら照れるわ。くそぅ~チビレオめ。大人をからかうんじゃありません!と言いたい。
「せっかくなんだ。貴女の事を教えて欲しい。あと名前も“レオン”と呼んで欲しい」
「さすがにそれは…」
「では、代わりといっては変だが貴女の名前を呼ばせてもらえないか?それくらいは許して欲しいな」
「それでしたら…」
「ローズマリー嬢、感謝する。さぁ、貴女の愛らしい声で案内を頼む。素晴らしい時間と言うものは、すぐに過ぎてしまうからね。行こう」
腕を曲げて…これはエスコートって、やつですね。ありがとうございます。
しかしレオン殿下って、こんなキャラだったけ?もっと堅いはずで…。
いや、貴族男子たるもの女性を褒めるべし!みたいなマナーとかあるのかも知れませんが。
もしそうなら全員がこんな感じですか?エレガントってやつ?
凄いわ、本物紳士…。似非淑女なんて太刀打ちできません。
マナー頑張ったんで、それはもう頑張ったのでお願いします!
どうかこの時間だけで良いのー!化けの皮が剥がれませんように!
隠れたネコが2匹。




