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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
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殿下がやってきた その1 



文字通り新たに生まれ変わった私ですが、次の日からまず親しくなる為に挨拶運動から致しましょう!ってことで、挨拶から始めたんだけどね。皆さん返事は返してくださるんですが、表情が死んでます。

朝食を食べたあと給仕の子に「美味しかったわ」と、言ったら「申し訳ありませんでしたぁ!!」って全力で謝られましたよ?

労うことさえ、恐怖されるんかい…。これ、新たなパワハラにならんだろうな。

うむー、屋敷中の人間に嫌がれるって、思っていた以上に辛いなぁ。

悪役令嬢より恐怖の大王とかに役柄が変わってそう。

全員に対して愛されキャラを目指してる訳じゃないので、ある程度普通ですよーって分かってもらえると、こちらもありがたいんだけどね。

年頃の若い子が傍つきメイドで、友達にもなってくれるのがラノベだと定番なんだけど、私の周りって全員ベテランって感じなのよ。子供の面倒をみるから、しっかりした人達を選んでいるのかしら。

他の家がどうなってるか知らないけれど、14くらいの若い子は母親の周りにいるみたい。ふーむ、教育指導中ってところでしょうか。


誰か居ませんかね?チャレンジャーな方。

未経験OK。年齢性別不問。アットホーム(を目指している状態)な職場です。試験(私に慣れる)期間アリとか広告打ってみますか。詐欺になってしまいますかねぇ…。

マジで老いも若きも誰だって、どんとこい!っすよー?仲良くなろうよ~!



なんて、思ったのが悪かったのかしらね?



「こんにちは、クリスタル嬢」


王子様が目の前に居られるのは予定外なんですけど。







どうしてか私が元気になったと知ったレオン殿下が、お見舞いにくるとかいう話が出てまいりまして。

元気になってるんだから見舞いじゃないよね?

残念な性格を見舞いに来るとかいうの?

家庭教師の先生に教わって、きちんとレオン殿下にお礼の手紙も出したんですよ。

内容的に謝罪が8割の手紙ですが、間違いなくお見舞いの手紙の返信だったんですが。なにか不都合がありましたか?


お父様にも殿下の申し入れは予想外だったらしい。

前回お会いした際に失礼をかましてる我が家としては断るという選択肢は無いのだろうけど、正直断りたい…。それが総意だったりする。

これ家族全員の思いが一致したの初めてじゃね?

凄いわ。困難は人を結びつけるのね~。なんて逃避してる場合じゃない。


慌ててマナーの先生にお出迎えの仕方を叩き込んで頂きました。

転生前の就活でお辞儀とか座り方とか教わりましたが比じゃない。甘かった。

真面目にやった次の日、筋肉痛になったんですよ?

指先一つまで神経を張り巡らせなさいって、先生はどこかの大女優ですか。

私は仮面をかぶる気はないのです!

あまりのハードさに、つい口からポロリと仮面発言をこぼしたら、にっこり笑われました。「仮面ではなく地顔にすればよろしいのよ?」と。淑女怖いー!



付け焼刃でもなんとか先生に合格を頂いて、迎えたその日。天候は晴れ。

爽やかな空気の中、近衛兵に囲まれた2頭立ての立派な馬車が我が家にやって来たわけです。




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