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後宮の守華  作者: 海莉


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5 真実(後)

処刑、か。しかも自分の家族が人を殺そうとしただなんて確かに言えなくて当然だ。


 「…ごめん。さっきは頭ごなしに叫んで。確かに私の家族が人を殺そうとしたなんて言えないよね。」


 「!?それは違うわ!きっと何かの間違いなのよ。」

 「あなたのお姉さんとは何度か会ったことあるけど決して他人を貶めるようなことはしない子だったわ!それに、あの子は昔から体が弱かったの。毒なんて持ってたらあの子自身が危ないわ!」


毒殺をしようとしたのか。

でも、いくら身内が庇ってくれようと事実は変わらない。


 「信じていないって顔ね。」


 「それは…。というか一家処刑となったのなら、私はなぜ生きているのでしょうか?」


 「あなたの家族が全力で隠したからよ。記録上、あなたは生まれてすぐ病死したことすると言っていたわ。そして、隠し場所に選んだのが当時仲が良かった私の家というわけなの。」


隠す…このことがバレたら義父義母も処刑されるだろうにそんなリスクを負ってまで私を育ててくれたのか。

お金を稼いで恩を返そうと思っていたが返せそうにないや。

いろんな感情が込み上げてきたせいで桃華の頬には一滴の涙が流れている。


 (もう、訳がわからないや。でも、一つだけ今決めたことがある。)


 「義父さん、義母さん今まで私を育ててくれてありがとう。」


 「何を今更。昔も、これからもあんたが私の家族ということは変わりないよ。」


 「でも、一つだけ謝らないといけないことがある。私、後宮で真実を調べてみるよ。」


今どうこう言っても仕方がない。何が本当か嘘か後宮にいけば分かる事だ。もし、それが真実だったら取り返しのつかない事になるかもしれない。でも、その時は全力で逃げればいい。

最初の一歩を踏み出さなければ何も始まらない事を桃華はよく知っている。


 「!?」

 「危険だよ!あんた、それがバレたら自分も処刑されるってことわかってんだろうね!」


 「わかってるよ。でも、本当の事を知らないと何も始まらない」


 「…はぁ、もう好きにしな。言っても聞かないんだろう?」

 

 「うん。」


 「でも、皇族には気をつけな。あの件は、皇族が関わっているらしいから」


まあ、話の流れ的に十中八九そうだろうな。本当にしろ、嘘にしろ皇族は怪しい。


 「わかった。」


 「話すのがこんな日になってしまって申し訳ないね。」


申し訳ないのは私の方だ。自分がここまで厄介者だとは思いもしなかった。

今まで育ててくれただけでもありがたいのに、私の勝手な行動のせいでまた迷惑をかけてしまった。


 「私の方こそ、巻き込んでごめん。」


 「いいんだよ。子供ってもんは、迷惑をかけるものさ。」


 「っさ、辛気臭い話はここまでにして朝ごはんにしましょ。どうせ、当分帰ってこれないんだろう?」


 「うん。」


話に区切りをつけた桃華たちは、料亭での最後のご飯を食べた。

気のせいか、いつもより美味しく感じる。


 「そういえば桃華、準備はしているのかい?」


 「うん、昨日終わらせた。」


一応、準備はしたが場所が場所なだけあって持ち込める物は少ない。あの、子珏とかいう人のおかげで侍女の身でありながら刀の持ち込みは許されたが基本的には武器になりゆる物は持ち込むことはできないらしい。

もし、持ち込まれたもので妃に傷でもついたら私の家族みたいに殺されることとなる。

全く、後宮とは安全なようでおっかない場所だ。

 (慎重に動かないとな〜)


 「何、難しい顔をしてんだい?」


 「いや、なんでも。」


朝食をたべ終えた桃華は義母たちに挨拶を済ませると後宮へ向かうため家を出た。

いざ、歩き出すと流石の桃華も緊張のせいかいつもより歩くペースが遅い。

覚悟を決めたつもりだったのに…

ゆっくり歩いていたつもりがいつの間にか門の前まで着いてしまっていた。


門の前まで突っ立ていると宦官らしき男に声をかけられた。


 「お前が、桃華とかいう娘か?」


なんか感じが悪い。敵視されているような?


 「はい。そうです。」


 「子珏様からお前を案内するよう言われた。着いてこい。」


なるほど、あの麗人の使いか。


 「お前、性別を偽って試験を受けたそうだな。心優しい子珏様だったから良かったものの本当なら罰せられているぞ。」


 「そうですね…感謝しています。」


何が心優しいだ。狐みたいなやつの間違いだろ。

別に、子珏様に対して恨みはないがああいう人をはめるような話し方をするやつはあまり好きじゃない。


 「っふん。ならいい、お前は任せられた仕事を全うしろ。」


さっきから何なのだろうか。喋り方にいちいち棘がある。

私はこの男に嫌われることをしただろうか。

…まあ、会うこともほとんどないだろうしいいか。


その会話を最後に話す事はなかった。


瑶華妃がおられる花碤宮までは意外にも遠く、着くまでにかなりの時間がかかった。

 (これは、いちいち移動するのがめんどくさそうだな。)


 「ここが、お前の働き口となる。しっかりやれよ。じゃあ。」


え、紹介も何もしてくれないの!?普通するもんじゃない?

使いの男は花碤宮に着くなり、引き返して帰ってしまった。

 (嘘だろ…絶対あいつ仕事できないな。)

今度会ったら、あいつの上に言いつけてやる。

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