↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮の守華  作者: 海莉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

2 宦官試験(前)

翌日、桃華は休みをもらい試験に向けて朝早くから化粧をしていた。


読み書きや剣術がいくらよくても性別を偽っていることがバレたら全てが台無しになる。

幸い、比較的手先が器用だった桃華は上手く男に化けることができた。

周りから見たら自分がどう写っているかわからないが、個人的には結構できた方なんじゃないかと思っている。

髪を束ね、肌を汚し、目つきを悪くしただけでも印象は大きく変わった。


準備を整えた桃華は、両親にバレないようこっそり裏口から出た。


 「っう…苦しいぃ。」


晒をきつく巻き過ぎただろうか。

桃華の外見は特別美人というわけではないが、他と並べば身長は低いものの目を引く程度には整った容姿をしている。そのため少しは我慢しないとすぐにボロが出てしまうのだ。


 (こんな格好でまともに剣など振れるのだろうか…)


まあ、なるようになるか。


ーーー


試験会場には思ってた以上に人が集まっていた。どうやら、みんな考えていることは一緒らしい。

少しすると、派手な衣装を纏った麗人が入って来た。


 (っうわ〜。すごい整った顔をしているよ、あの人。)


桃華は周りを見渡すと、何人かの男は頬を火照らしていた。嘘だろと引きそうになったが確かにあの顔なら仕方が無い。

切れ長の瞳にすっと通った鼻筋、紅を刺したかのような唇に透き通るような肌、まさに完璧である。

あれだけの容姿を持っていたら座っているだけで周りが貢いでくれそうだ。全く羨ましい限りである。


ざわついた空気を男は睨み一つで黙らせた。

顔が整っていると怒っても怖い。


 「私は、宦官試験を担当することになった子珏と申します。今回の試験、一人でも多く合格できるよう頑張ってください。」


麗人の挨拶が終わるとすぐさま試験が開始となった。


読み書きや常識は義母や親切な客人に教えてもらっていたおかげで桃華は難なく終えることができた。

問題は、次の剣術だ。正直この状態でどれだけ動けるか分からない。


 「最後の試験として、皆の剣術を見せてもらおうと思う。それぞれ、適当に近くの人と二人一組になって戦ってもらう。」


なるほど…全員と闘っていくのかと思ったけどどうやら一人としかやらないらしい。

逆に助かったな。この格好で長時間動きまわるのは正直きつい。

となると、相手選びも重要となってくるのだが…


辺りを見まわし相手を選んでいると、大柄な男に肩を掴まれた。


 「お相手してもらえるかな?」


恐らく、小柄な桃華を見てカモにしたのだろう。

だが、桃華とてこういった相手の方が戦いやすい。自分のことを舐めている相手ほど隙が生まれやすいからだ。


合図とともに開始となった。


 「僕には悪いけどこっちも生活がかかっているんでね手加減はできないよ。」


予想通り相手は真っ直ぐ突っ込んできた。桃華は左へと華麗に避け、相手の隙をついて自分の二倍位ある身長の男を一回転さして地面へと叩きつけた。思ったよりも勢いよくいったせいか、男は頭を強く打ち失神している。


全く、油断しているから足元をすくわれるんだ。


桃華が試験を終えた頃周りの組もぼちぼちと勝敗がついてきた。


 「ふむ、一応全員勝敗がついたようだな。では勝者のみ二時試験を合格とします。残念ですが、負けた方はまたの機会に頑張ってください。」

 「合格者の方は、最終面接を行いますので名前を呼ばれたらあちらの部屋へ入って来てください。」


頑張ってください、か。年々宦官試験の数が減ってきている中、その次とは一体いつになるのやら…


しばらくすると桃花の番が回ってきた。どうやら私が最後らしい。

一番最初に勝敗をつけたから私が最初かと思ったが…どういった基準でこの順番になったのだろうか。


 「失礼致します。」


桃華は綺麗に一礼をした。


 「まず最初に言っておきますが、試験自体は合格となります。この面接は、適切に人材を使うために行うものですから気楽にしていてください。」


 「…ところで、あなたはなぜここにいるのですか?」


さっきまでの笑顔はどこにいったのかと思うほど目の前の麗人の顔は真顔へと変わった。

いきなりなんだ?なぜって、あんたがやった試験に合格したからなのだが…

それとも、目的でも聞いているのだろうか?なんとも分かりにくい質問である。


 「えっと、私は自分で働いて少しでも実家にーーー」


なぜニコニコしているのだろう。顔が綺麗なだけあって不気味である。


 「いえ、そんなことを聞いているのではありませんよ。あなたは、自分が宦官に相応しいと思いますか?」


…?


 「はぁ、伝わらないものですね…」

 「そんな適当な化粧で誤魔化せると思いましたか?」


麗人の言葉に思わず息を呑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。