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初恋を踏みにじられたので、可愛い番を作ります  作者: 宇和マチカ
変えられた過去

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美しい物に囲まれた美しい私の輝かしい未来

お読み頂き有り難う御座います。御評価、ブクマ、誤字報告誠に有り難う御座います。

選民思想が高いようですね。

「大丈夫か?」


 13の時だった。その大きな手を差し伸べられた時、世界は輝き出して……漸くこの身に相応しい、華やかな望み通りの色が付いたように思う。

 間違いなく、運命だと思った。




 ファニー・ラシェマはそれなりの家格の貴族令嬢として育ち……粗野なもの、汚いものが大嫌いだった。

 使用人は我慢してやってる。だって居ないと困るから。それ位は弁えていた。


 こんなに美しく装い、貴族令嬢らしくしているのに、素敵な殿方は誰もファニーを崇めない。

 粗野な姉はあんなに楽しそうにしているのに、ファニーは似たような境遇の令嬢からくだらない話に付き合わされるだけ。気持ち悪い混ざり方をしたキメラ獣人の角を折るから押さえてて、なんて言われた時は吐き気がした。

 でも、仲間ハズレは嫌。仕方ない。


 偶に連れていかれる王宮のお茶会では第三王子ゴードンと侯爵令嬢ミューンの話でもちきり。

 幾ら王子でもあんな浮気者の汚らわしい男は嫌。早く結婚すれば……ああ、でも、あの侯爵令嬢も嫌。王子の威を借りて偉そうで鬱陶しい。


 あのふたりで何処か遠くの田舎へ追い出されて行けば良いのにね。

 流行りの観劇や持ち物を自慢され、無理矢理褒めさせられる嫌なお茶会も、その話題には心からの笑顔で賛成できた。


 ある日、平民のやることが趣味等と言う我が儘で粗野な姉に引っ張り出され、無理矢理庶民の街へ連れ出された。


 その際、醜い暴漢に襲われそうになった所を助けてくれた、勇壮な軍人に、確かな運命を感じた。

 自分は人だが、これは運命の……唯一無二の番では無いだろうか。

 間違いない。

 私を見る目は誰よりも優しかった。彼は私を愛している。そうファニーは結論付ける。


「年端も行かぬ怯えていた無力な子供を、あの方は偶々行き掛けに親切心で救ってくださっただけよ。

 沢山の方があの方に助けられているもの。それでいて見返りを求めない、素晴らしい方よね」


 そんな姉の言葉も、都合のいい所しか耳に入らない。

 素晴らしい方が、私に好意を抱いてる。ファニーはそう思うようになった。


 有頂天になったファニーは、勇壮な鮫の軍人との結婚を打診するよう父親におねだりをする。


「あの方はダメだ」


 それなのに、末っ子の自分に甘い父親が断固として言うことを聞いてくれない。

 気に入らなかった。

 どんなに泣こうが喚こうが、聞き入れられない。


 そして、第三王子ゴードンの女遊びが激しくなり……悪夢が起きる。

 ファニーは遠縁の家に嫁がされたのだ。


 相手の顔だけはマシだったが真面目だと聞いていたのに、ギャンブル好きで、汚らわしい男。そんな男の妻にさせられ……屈辱的な日々を過ごした。

 意外だったのは、ギャンブルなんて下賎の物とバカにしていたものの、まあ悪くはなかった。

 あの家が破綻したのは仕方がない。少しばかりファニーも夢中になって借金を増やしたかもしれないが、微々たる端金。ファニーに手解きした元夫が、全て元夫が悪いのだ。今ごろは牢獄か鉱山かで己の罪を償って居ることだろう。


 晴れてファニーは自由となった。若い内に彼の元へ嫁ぎたかったが、大人の貴婦人として寄り添うのも悪くない。

 あの方は軍将の地位に上り詰めており、益々ファニーに相応しいから。

 あの結婚は汚点だが、心の広い軍将はそんなこときっとものともされないだろう。


 それなのに、嘗てお茶会で見飽きた顔が軍将へと羽虫のように群がっている。

 イライラする。無理に入った海軍では、平民に大きな顔をされて無能扱いされているせいで、軍将には見向きもされない。

仕事が出来ない?此処に高貴で美しい私が居るだけで平伏さなければいけないような奴等が偉そうに!!


 ストレスを発散する為、ファニーは違法賭場へ足を運んでカードに没頭していた。

 高貴な令嬢であるファニーにはむさ苦しく汚く相応しく無いが、公的な賭場へは足を運べない。借金を踏み倒そうとした元夫のせいで顔を覚えられてしまい、ブラックリスト入りしてしまったのだ。


 だが、ストレスを発散したい。

 お金なら、実家の宝飾品を持ち出せば良い。離縁されて可哀想な境遇に陥ってからというものの、更に甘くなった父親は、ファニーがねだれば何でも買ってくれる。


 何時もなら護衛をけしかけるのに……流石に賭場には連れて来られない。

 しかし。

 賭場の門番と睨み合いになったその時、声を掛けられた。


「綺麗なお姉さん、お困りですか?」


 綺麗な顔の、ピンク色の髪の男だった。

 薄汚れては居るが、柔らかく物腰が良く……平民にしては悪くない。


「賭場なら他にもあるよ?」


そう、小汚ない男の誘いに乗ってやれる位、汚さにも目を瞑ってやっても良い位。

刺激的で、スリルに満ちていて……楽しかった。


「俺の守備範囲、合法な範囲だけだと思った?ざーんねんでした」


私の部屋が……美しく誂えさせた私のドアが!!

原型も残さないくらいにボロボロに!

どうして!?

何故、使用人共は、私を守りに集まらないの!?


誰なの。

何なの、この……美しい化け物は……!!


「先ずは1匹目ね?」



ファニーのお家は有名ですので、ノコノコ帰っちゃいけませんよね。

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登場人物紹介
キャラクターが多くなって来たので、確認にどうぞ。
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