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初恋を踏みにじられたので、可愛い番を作ります  作者: 宇和マチカ
変えられた過去

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一角獣の気性は荒く

お読み頂き有り難う御座います。誤字報告非常に助かっております!

フリックから連絡を受けたミューンはとある場所に向かいます。

 シャーゴンの裏通りに有る裏稼業ネットワークの酒場。

 急ぎの仕事が片付き、一息ついたその時不機嫌な侯爵令嬢が乗り込んできた。追い返そうとしたジュランだったが、後で面倒だと思い直し話を聞く。


 ……聞いた価値は有った。まさか、自分のお膝下でこんな大それた事をやらかすバカが居るとは。

 内心の焼け付くような苛立ちを隠し、ジュランは聞かされた事を纏めた。


「伝統有るメメル校にてカンニング騒ぎが起きた……。

 しかし、何故か調査していた教師は発狂。その異変を通報しようとしたら、やけに素早く都合良く軍人が駆け付ける。

 安堵した学校側は、発狂した教師を任せようとした。だが、何故か逃がした筈の生徒……翼竜ちゃんが拐われてしまった……か。

 うーむ、一気に喋っちゃったけど、ナレーションやれっかな、俺」


 ミューンは白けた視線を戯言を幼馴染みに向けた。

 何故かミューンの幼馴染みは絵本作家やらナレーターやら、畑違いに憧れる傾向が有るようだ。

 性根を直さないとお子様向けはとても無理過ぎると何度も突っ込んで来たので、睨むだけにしておく。


「アンタの転職先なんてどうでもいいわよ。でも、理解が早いのはマシな部類ね、ジュラン」

「茶化すなやいミューンちゃん。一応俺は此処等の裏稼業のトップなのよ?」

「把握出来てる人数の中では、でしょうが」

「はみ出たいタイプは何処でも居るからねえ。

 カタギさんも後ろ暗いタイプも一定数出ちゃうのさ。でも」

「御託は要らないわ結局何なのよ」


 悲しげに睫毛を伏せるジュランは、兄と同じく大変絵になる。女の子がキャーキャーと騒ぐ美貌は、ミューンには胡散臭げに見られただけだった。


「んー、番詐欺とか本人に言われない内に、俺が助けに行った方が良さそうかな」

「不憫だものね、あの爬虫類の子。それで、何?一角獣らしく……ポイ捨てするの?

 それはそれで通報案件ね……。空軍に伝手も出来たことだし……先ずはアルルローラ軍将閣下へご相談かしら?」

「初物好きなのは兄貴の方でーすー。ポイ捨てする一角獣とか、マジ先入観に囚われすぎ。個体差とか性格の違いが有るっての」


 ジュランは1枚の写真を机の上に置いた。

 可愛らしい水色のエプロンワンピースをお揃いで着たピンク色の髪の女の子ふたり、手を取り合って写っている。

 カメラ目線の上目遣いが狙っててあざといな、とミューンは思った。


「何、この女の子達。姉妹?」

「今回の容疑者……いや、首謀者のおひとりロレットちゃんが左ね。4年前のお写真」

「あら、女装男子なの?」

「いんや、この時はガチの女の子の雌個体。おっぱい有るでしょ」


 確かに、服のシワや光の加減かも知れないが、僅かながらも胸の膨らみが見てとれる。


「まあ、写真とは言えあからさまなセクハラね。通報しようかしら」

「いや、写真で他にどーやって服着たまま雌雄を確かめんだよ」

「それもそうね。でも、性別まで変えられるの?非常識ね」

「そーゆー魚が居るんだよ。一番デカイ個体がハーレム作んの」

「まあ、不埒ね」

「逆ハーな種族も居るらしいし、獣人って奥が深いねえ」

「……獣人の中でも異端なアンタが言うと一家言有るわね。それよりも」


 ニマリ、とオレンジ色で塗られた唇を歪めて嗤った幼馴染みは大変美しく嫌味で憎らしかった。


「そんなに悔しがる位なら、優しくしてあげれば良かったのに」

「んー?そー見える?」

「普段出してない角が出ていてよ。相変わらず凶悪な大きさね」


 ジュランはミューンの言葉に珍しくも呆気にとられ……額に手をやって、慣れた硬い感触に苦笑する。気が付かなかった。余程頭に血が上っていたようだ。


「そりゃ、気に入らねーやつを刺し殺す為の角だからね」

「まあ怖い。それで?

 ジュランの可愛い爬虫類の子を拐った実行犯、ファニー・ラシェマをどうやって吊し上げるの?

 メメル校の監視装置の隙間は小賢しくも潜ったようだから、此処みたいに証拠は何も残って無くてよ」


 ミューンはボロ樽に偽装した監視装置にチラリと目をやった。

 法務大臣の娘は犯罪に関わるものに詳しいのである。


「学校は牢獄じゃねーからねえ。監視装置ばっか置いたら破産するしな。

 そっか、ファニーちゃんね……。ネラの件で兄貴があんだけお礼したってのに、懲りないよねー」

「首領、軍将の元へ魚が泳ぎだしましたっす……って、何で角出してガチギレしてるんすか」


 どうやら、ジュランが角を出すのは、ガチギレと同義らしい。そう言えば結構昔は出してたな、とミューンは思い出したのだった。


「ん?裏稼業の流儀ってヤツ、マジ嫌いだけど。今回は適応しよっかな。

 何てったって俺、悪者だから。

 過去を変えられて悔しいか知らないけど、現在を大事にしないとね」


 ……そして、この笑顔と角が出た時には中々の被害が起きることも。

清らかな乙女好きでは無いようですが、気に入らない連中を串刺しにする気性は持ち合わせる一角獣ジュランです。

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登場人物紹介
キャラクターが多くなって来たので、確認にどうぞ。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 実はジュランさん、少し絆されてます? バカな子ほど可愛いって。
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