豹変した教師と忘れたい名前
お読み頂き有り難う御座います!誤字報告誠に助かっております!
教師にカンニングの冤罪を掛けられたシュラヴィです。
「君は我が校きっての落第生だ!!オマケにカンニングなどと!!」
シュラヴィは訳が解らなかった。普通に何時も通り登校したら意味の分からない事で罵倒され、生徒指導室へと連れ込まれる。
多少頑固だが、気のいい教師である筈の彼が別人のようだ。一体何が起こっているのか。混乱しながらも、シュラヴィは怒鳴り付ける教師に食って掛かった。
「何の話ですの!?わたくしは実力で努力しましたのよ!」
「嘘を付け!!この紙は何だ!!君の鞄から見つかったのだから君のものだろうが!!」
教師は額に青筋を立ててシュラヴィへ真っ白な紙を突き付ける。
白紙が一体何の証拠になるのか。全く訳が分からない。
「わたくしに覚えは有りませんし、何でそんな紙が不正になりますのよ!?」
「煩い!このインクを掛けてみろ!」
何故か、怒り狂った教師はシュラヴィへ瓶に入ったインクを押し付けてきた。
白紙にインクを掛けてどうすると言うのか。
「はあ!?何でインクを掛けるんですの!?」
「とぼけるな!」
「やめてくださる!?クェーッ!
誰か!!誰か助けてくださいまし!!ご乱心ですわーっ!!」
シュラヴィは詰め寄る教師から逃れる為、治り掛けた手を無茶苦茶に振り回す。
怯んだ拍子に、大声で叫びながらやっとの思いで連れ込まれた生徒指導室を抜け出した。
流石に異変に気付いたのか、ザワザワと騒ぎが広がる。他の教師も駆け付けてきたようだ。
「どうしたんですかドルワン先生!?
一体何が……何故ひとりでキャリエル君を尋問なさっているのです!!」
「煩い!私はひとりでも生徒を正しく導ける立場なんだぞ!!其処の愚か者は退学だ!!私を突き飛ばした!!」
「白紙にインクを掛けろとか……まるで意味が分かりませんわ!!わたくしはカンニングなんてしておりません!!」
「煩い!!愚かな落第生の癖に喚くな!!私が全て正しいんだ!!」
「どうなさったんですかドルワン先生!?痛っ!?」
「シュラヴィ君!危ないから教室へ戻りなさい!!」
血走った目で暴れだす教師に、流石におかしいと思ったのか他の教師が束になって押さえ込もうとする。だが、何処にそんな力が有るのか……今にも振り払ってシュラヴィに殴りかからんとする勢いだった。
「わ、わたくし……助けを呼んで参りますわっ!」
シュラヴィは走り出した。
そして、一階の職員室へと続く廊下へもう少し、と言う時……。
「巻いた赤毛、見つけたわー!小娘」
「ギ……グエッ!?」
いきなり見知らぬ女に腕を捕まれた。
しかも、過去に折られた古傷が残る腕を、女とは思えない力で握り締められる。
シュラヴィはあまりの痛みで気を失いそうになった。
「い、痛……!!な、だ……!!」
「早くこっちに来なさいよ!全く、何でこの私がー!あんな平民に使われるなんて……!!でも、高く売れるなら仕方無いわー!」
この派手な女は一体誰なのだろう。
腕の痛みで朦朧とするシュラヴィは引き摺られるように、校舎から連れ出された。
「あ、この子ですこの子です。良かった」
何処かで聞いたことの有る声が聞こえる。先日、シュラヴィに声を掛けてきた……人好きのする顔の……。
「間違いないのねー!?」
「ええ、ちゃーんと手配が掛かってたんですよ。
手違いで行方不明になって、誤解していた……エセテ公爵の」
まさか。そんな、有り得ない。そんな、嘘。
もう、追い払って……貰って居た、はずなのに。
一番聞きたくない名前がシュラヴィの耳に届いたその時。
グサリ、とシュラヴィの首に痛みが走り……彼女は気を失った。
「ジュラン……さ……ま」
そしてその日、シュラヴィ・キャリエルはメメル校から姿を消した。
ポンコツ要素が目立つシュラヴィですが、見た目は目立つ美少女なので、その容姿が仇となったようです。




