鳥籠の中で編まれる計画
お読み頂き有り難う御座います。
ちょっと不穏ですね。
「お初お目に掛かります、アルリウエナと言います」
「言いにくいな。リューンって呼んで良いか?」
「ふふっ、御随意に。旦那王子様」
その娘は一番年若く、一番おとなしく、一番押し付けがましく無かった。
そして、名前が彼女に似ていて、翼がまるで彼女のような亜麻色をしていた。
だから、ゴードンは選んだ。
此処から出る伝の道具として。
それだけだった。
「王子妃に与える、ティアラもくれてやれないな」
「お姉様達にお渡しするのですか?」
キイキイと高音で耳障りながらも、未だ抑えがちに喋る彼女は少しだけマシだった。
「『遠吠えの空』って言う宝石を受け継ぐんだ」
勿論、この娘にくれてやる気は無かった。あのティアラを被せる番は決めている。今は、小癪な仔虎に構っているが、あんなペットにもならない小僧は気にするべくも無かったのだ。
正式にミューンを妃にしてから、飽きるまで飼わせてやればいい。どうせ、図体がデカくなれば飽きるだろう。
「あら、知っています。かつては、この浮き島で採れましたから」
「え、そうなのか」
脳筋ハーピーに諭され、ゴードンは目を丸くした。遠くの島で採れるが、もう殆ど採れず昔の採掘物に頼っているとしか覚えて居なかったのだ。
まさかこんな忌々しい島で採れたものだったとは。
ゴードンは複雑な気分になっていた。
「あ!賢しげに申しました、御免なさい」
ゴードンを立て、他の娘達のように、押し付けがましくガナリ立てない、この娘なら。
便利に役立つのではないだろうか。
「なあ、リューン。お前、俺の妃としてティアラを被りたくないか」
「?」
幼い頃から武器を取る手はタコが厚く張り、ゴツゴツしている。
小さなその手に少し吃驚する心を抑えつつも、ゴードンは笑った。
未だ未成年の少女を騙すその行為に、少しだけ罪悪感が無いでもない。
だが、此処に押し込められて玩具のように集られる処遇への恨みがそれを越えた。
「俺の妃として安心したく無えか?姉ちゃんと俺を共有しても良いのか?」
「私が安堵する日は、勝ち取らないとやってきません」
陸から荷物が届く日は、二週に一度。
その日は明日、早朝。
「俺はお前を、親に紹介したい」
「親……?」
キツい顔立ちの中の丸いギョロ目は、ゴードンが付き合ってきた誰よりも麗しく無かった。
暫く考え込む少女を、固唾を飲んで見守る。
「ああ、成程、成程。試練ですね」
引っ掛かった。
ゴードンは内心ほくそ笑んだ。
やはり、夢見がちな子供を騙すなんて容易いことだった。
別に他のハーピーでも良かったが、一方的に喋るばかりで会話にならない。
「俺の親は大地にいる。なあ、少しだけで構わない。俺と逃げてくれないか」
「逃げる?」
「王宮で俺と暮らそう」
勿論暮らす気など無い。
自分を推す派閥に任せれば、こんな小娘くらい直ぐ始末出来るだろう。
ゴードンは、リウエナの羽を取り唇を寄せた。
硝煙の匂いがする。だが、触り心地は悪くない。
ゴードンは今日もナチュラル上から失礼です。




