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初恋を踏みにじられたので、可愛い番を作ります  作者: 宇和マチカ
此れは愛へ繋がる試練

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獲物を狙う狼の影、ちらつく

お読み頂き有難う御座います。

コンラッドがデート中みたいですね。

「やれやれ、動いたか」

「あの、宰相様?決行の日取りのお話ですか?」

「乙女ロジェル、デート中に余所事をついボヤいたボクが悪かったが酷くないかね!?」


 フリックへの贈り物を探しに、商店街へとやってきていたミューンは、知った声に眉根を寄せる。


 薄いグリーンを基調とし、爽やかに店内を纏めている素敵な喫茶店。爽やかなカスタードが美味しいレモンタルトと、つやつやに煮詰められた飴掛けが美しいオレンジパイが有名なその店は、ミューンが、フリックと来なきゃ!と目を付けていた店だ。

 テラス席に陣取る嫌な男を見つけてしまい、機嫌は最下層まで落ち込んだ。その横にはちょこんと煤色の髪の少女が所在無さげに腰かけている。


 有り得ない。

 よりによってこの男と、異性を誘う店の趣味が被るなんて有り得ない。

 かなりイラッとしたが、ケーキに罪はないのでテイクアウトにして買ってこさせて家で食べよう!とミューンは使用人を表の店舗にやり、自分は然り気無く通り過ぎようとした。


「デデデ!?デート、ですか?私のような庶民上がりに想い出作りを本当に有り難う御座います」

「ゴードンやはり潰す」

「何ですって!?」


 ミューンは通りすぎようときた急ぎ足を急停止させ、ひっくり返りそうになる。

 付き添いの侍女が何事も無かったかのように寄り添い、体勢を整えさせ、埃を払ったので転倒せずに済んだ。


「ミューンではないかね。何をしているのかな、こんな所に侍女連れで仰々しい」

「アンタこそ何やってるのよ!」

「えっ!?き、……綺麗な方……」

「まあそう?正直ね貴方」


 少し跳ねた煤色の髪に、チャコールグレーの眼差しを持つ少女。

 ……成程、この子が例の男爵令嬢か。こんな性格ダメな男に気に入られて何て気の毒な、と白けた目でコンラッドを見た。


「ミューンは幼い頃は可愛らしかったが、悪態で塗られてる顔ばかりみているから原型を忘れたね」

「アンタは昔から性格が歪んでいるのよ!全く!!そんなことよりも、さっきボヤいたことよ!」

「……ミューン、君地獄耳ではないかね?あまり立ち聞きは誉められたことではないよ」

「立ち聞きの総本家が何言ってるのよ」


 間諜を潜ませているのは何処の大臣もやっている。ミューンは鼻で笑い飛ばした。


「取り敢えず聞かれたからには仕方ない。だが見ての通りデート中でね」

「早く解放してあげなさいよ。前途洋々な乙女を邪悪なオッサンが束縛するなんて重罪だわ」

「失礼ではないかねミューン!!私は君より半月若いんだよ!」

「どうでもいいわよ図々しい!!……んん?」


 何故かミューンが、コンラッドのデート相手にガン見されている。視線に気付いたミューンが首を傾げると慌てて椅子から立ち上がった。


「何かしら、えーと、男爵家のご令嬢」

「あっ、ハイ!!ロジェル・ワルトロモで御座います!失礼ながら、レストヴァ子爵令息の婚約者のご令嬢であらせられるドレッダ侯爵令嬢でしょうか」

「まあ、ええそうよ。私はフリックの婚約者なの!ふふっ!」


 ドレッダ侯爵家の令嬢として挨拶された事しかないミューンは、その挨拶に目茶苦茶機嫌を良くしていた。逆にコンラッドは嫌そうである。


「……乙女ロジェル、こんな通行がてら喧嘩を売ってくる当たり魔ミューンに礼を尽くさなくて良いのだよ。私が許す」

「ええ!?で、ですが!宰相様」

「ラッドと呼びたまえ。何故ならこの場で私が一番地位が有るのだからね!」


 然り気無く渾名呼びをさせようとしている幼馴染みの様に、ミューンはゲンナリした。


「道端なんかで地位を誇示するオッサンって、嫌だわ。折り紙付きの屑ね。いいこと?職場の地位で偉そうぶる男と結婚してはダメよ。DVされたらお近くの警備騎士に私の名前を出して縋るのよ」

「えっ!?で、ですがそもそも私」

「ミューン!!書状は書いてあるから急ぎで届けさせよう!!」

「そうなの?全く、無駄時間を喰ったわね。ワルトロモ嬢、失礼するわね」

「へあっ!?は、はいい!」

「早く剣歯虎君の元へ帰りたまえ!」

「言われずとも!よ!」


 何処から湧いて出たのか宰相の侍従に指示を出したのを確認して、ミューンは踵を返した。どの道、油を売っている暇はない。

 もう直ぐ帰ってくるフリックを出迎えなければならないのだ。


「……ゴードンは早めにと、いえ、あのフラれた段階でお父様に泣きついて……無言でご退場して置くべきだったわね」


 ハーピー族の情報も、未だ読み切っていない。幸い、スオリジェの想いびととやらの出所は昨日。シャーゴン王都に出てくるまでに十日以上掛かる。囚人はお金がないので蒸気飛行船にはとても乗れないし、安価な王都行きの船は貨物船と違いスピードが遅い。


「急に忙しくなって来たわね。全く!ああもう!」


 馬車の中、ミューンはこの前完成した若草色の剣歯虎ぬいぐるみを撫でて精神安定を図るのだった。

剣歯虎ぬいぐるみは出来てたみたいですね。

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キャラクターが多くなって来たので、確認にどうぞ。
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