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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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97/104

81 メスケモと鬼人との友好7

「どうして、ダメなんでしょうか?」

 僕の代わりにフェディが聞いてくれた

「うちの姫様はこう見えて品行方正、物腰も柔らかく、何より可愛いでしょう! それにいい匂いがします!」

「いやそう言うことじゃないんだわ。同盟を結びたいなら力づくで来い。それがここのルールだ」

「要するに力比べで認めさせろってことね」

「そう言うことだ。裏に闘技場があるからそこでやろう。いっとくが俺は強いぞ。まあ娘たちほどじゃない・・・けど・・・」

 キンゲツ王は見ただけでも強いって分かる。たぶんフェディと同じかそれ以上だ

 冒険者をやっていなくても強い人ってのは結構いるもんだ

 僕の父さんと母さんみたいにね

 でもキンゲツ王より強いっていう姫たちっていったい・・・

「分かりました。必ずあなたを認めさせてみせます」

 トウゲンの闘技場は年に一度の格闘技世界大会でも使われる由緒ある場所

 現チャンピオンは虎獣人のお姉さんなんだそうだ

 鬼人族もたくさん出てる大会だけど、そのお姉さんにはかなわなかったらしい

 キンゲツ王や娘の姫たちは出ない。優勝というか、トウゲンが無くなっちゃうかららしい

 何年か前まではトウゲンの侍大将が出てたらしいけど、あまりにも強くて連勝し続けたから参加しなくなったみたい

 でも、そう言った強すぎて参加できないほどの人達がこのトウゲンにいる

 キンゲツ王、その実力はいかに

 僕は気を引き締めて鎧を脱ぐ

 この闘技場でのルールだ

 鎧は付けず武器もなし

 拳や脚での純粋な殴り合いこそ至高と、初代トウゲン女王のムラサキさんが定めたらしい

 キンゲツ王も準備は万端だ

「全員でかかってくるか? そっちの二人と、なんだその、ぬいぐるみか? それと指輪か。お前らは魔法職だろう? 強化してやれ。お前らには手は出さん。強化だけ認めてやるぞ」

 星詠み族のことまで、ばれてる? 何か見えているのかな?

「いえ、それには及びません。参加するのは僕だけです」

「フハハハ。いいぞ、それでこそだ」

 僕とキンゲツ王は闘技場に立って向き合った

 ギンカ王妃が試合開始の合図を告げた

 パーン

 一瞬だった

 僕はお腹を思いっきり殴られて後ろに吹っ飛ぶ

「ぐふっ」

 息ができない

 油断はしていなかったし、キンゲツ王の動きは見ていた

 それなのに急に視界から消えて、気づいたら殴られていた

「こ、の」

 体勢を立て直す

「もういけるか? 次行くぞ」

 パンとまた音が聞こえる

 背後で気配がしたから振り返ってガードすると、そのガードをすり抜けて顔面に拳があたった

「ぐあ」

「遅い」

 ダンと足を地面に踏み込んで、キンゲツ王は体にひねりを加えて僕のみぞおちに掌手を入れた

 メキメキと骨がきしんで、一部が砕ける音がする

「ガハッ、う、ぐ、ハアハア」

「弱いな。これがビーストの姫か? 弱すぎる」

「まだまだ! チャージ!」

 一段階力を上げる

 キンゲツ王の動きが見えるようになった

 ガードが間に合い、バシィとキンゲツ王の拳を受け止めた

「ほお」

 キンゲツ王は笑う

「まだいけるか? 少しだけ強く打つぞ」

 ガードした腕の上から王は体をひねって突き出した

 ものすごい衝撃が体を通って骨が悲鳴を上げ、内臓にダメージが

「く、まだだ! アクセル!」

 さらにもう一段階力を上げてその攻撃にも対応した

「ふむ、まだいけそうだな。いいぞ、乗って来た。覇拳!」

 今気づいた。この人まだ武術を一切使ってない

 本当にただ素早く移動して殴ってるだけなんだ

「うがああ!」

 ガードしたけど両腕がゴキリと音を立てて曲がっちゃいけない方向に曲がる

「あ、ぐう」

 何とか倒れなかった。でも手が・・・

「あきらめるか? その手じゃ戦えないだろ」

「まだです。足がある。ブースト!」

 筋肉がミシミシ言っているけど、僕は折れた腕をだらんとさせたまま蹴りで王に応戦した

「フハハハハ! いいぞ! いいぞ! 鬼流格闘術、鬼雅!」

 舞うように、美しく、それでいて力強く

 僕の胸、お腹、頬、二の腕、太ももなど、当たれば動きが悪くなる部位を的確に狙われて、僕はとうとう倒れた

「これじゃあまだまだだな。出直して親父でも連れて来い」

「姫様!もうおやめください!」

「そうよネネコちゃん! そこまでして今戦う必要なんて」

「いいや、まだ・・・。まだできる! ラストスパート!」

 僕の体が光り、無理やり筋肉を動かす

「その体でまた立つか」

 走って、走って、音速を超えて、なんとかキンゲツ王に食らいついていく

「いいぞ! それでこそだ! たぎるな!!!」

 キンゲツ王が、僕の視界からまた消えた

 見えない。王の動きは僕じゃ見極めれない

 これが武術の達人・・・

「でも、まだ。絶対負けない」

 僕は呼吸を整えて相手の足が地面に触れて音が鳴る瞬間をしっかりと見た

 よく見ていると一定のリズムで襲ってきている

 段々とそのリズムに慣れて、王の拳がいつ繰り出されるかが分かって来た

 その拳を受けるんじゃなくて受け流す

「おおお、土壇場で成長を見せるか! 素晴らしいぞネネコ姫! 本気でやらせてもらおう」

 見えていた。見えていたのに反応できず、僕は滅多打ちにされて地面に倒れた

 痛みで意識が遠のいていく

「よく頑張った。が、これじゃあ認められないな。出直してこい。もっと強くなれ、この俺を倒せるほどに」

「いや、出直しなんてしない。今、あなたを打ち破る。オーバードライブ!」

 これは父さんにも止められていた最終段階

 筋肉の収縮と毛によって体に電気が走る

「フー、グルルルルルル」

 僕は自然に漏れる唸り声をあげ、王の繰り出す拳を掴んだ

「な!? 折れた腕で」

 そして王を持ち上げて、地面に思いっきり叩きつけた

「ぐおおお!」

 何度も、何度も、何度も

「そこまでです!」

 気づくと僕はギンカ王妃に止められていた

「ハァハァ、グルル、う、ぐあああ! うあ、グフッ」

 内臓に相当なダメージが出ていたのか、僕は血反吐を吐いて倒れた

 消えて行く意識のなかで、キンゲツ王を倒せたのかが気になった

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