78 メスケモと鬼人との友好4
山越えは順調
魔物もそんなに出てこないけど、大きな魔物が多い
肉食系の魔物が多く生息していて、当然のように襲ってくる
まあフェディと僕で殴り飛ばして撃退してるけどね
ここいらの魔物は美味しくないらしいから、素材だけ回収しておく
肉は肉食魔物あ食べてくれるから、そのまま残しておこう
スカベンジャー系の魔物もどうやらいるみたいだし
三つ目の山を越えて、さらに四つ目を超え、五つ目の山の中腹あたりで夜になった
今日も野宿でキャンプ飯
ロック鳥の肉を出して玉ねぎと炒めて、トマトをつぶしてその汁で煮込んでいく
味付けをして鳥肉のトマト煮込みができた
パンに乗っけたりつけたりして食べると最高だった
満腹で気持ちよく眠りについて、しっかりと休んだ
山越えも大詰めで、今日中にはディマラにつくはず
まあ何事もなければね
本当に何事もなければ・・・
「姫、見えてきました。あれがディマラです」
何事もなかった
山の中腹から見える街はかなり大きな港町だ
船もたくさん停留している
「あの船すごくおっきい!」
サクラが指さす方向を見ると、屋敷が乗りそうなほどに大きな船が停留しているのが見えた
普通に建物だと思ってたけど、よく見ると船
「あれに乗ります。あの大きさでなければアヤカシに簡単に沈められてしまいますからね」
あれくらいないと沈められる・・・
アヤカシってどれだけ大きいんだろう
「とりあえず、今日出発みたいだから手続しましょう。早くしないと乗れなくなるわよ」
「そうですね、急ぎましょう姫様」
少し駆け足になって斜面を降りきり、ディマラへと入った
一応検問はあったけど、ここもほとんど顔パスだった
見て回ることもそこそこに船に乗る手続きをして、割り当てられた大部屋へと入る
「広いね。でも他の人と一緒か」
「仕方ないです。ギリギリでしたのでここしか開いていなかったので」
すでに大部屋には何人か人がいる
なんかこう、ひと悶着付けてきそうな感じの
「おい、なんでこんなとこにビーストが二匹もいやがるんだ」
案の定だった
仲間らしき男たちの生死も聞かずに騒ぐ
「くせぇんだよ! 出ていけや!」
臭くないし・・・
いやしばらくお風呂に入れてないな
もしかして、臭い、のかな?
僕は自分の臭いを確認してみる
「姫様は臭くありません。すごくいい匂いです。だから私も嗅いでください」
「なんでだよ!」
「え、じゃあ私も」
「リーリーは入ってこないでややこしいから!」
「てめえら無視してんじゃねえ! いいからとっとと出ていけ! ビースト臭い臭いが服に移るだろうが!」
男たちが騒いでいると、もう一人の同部屋の人が立ち上がった
でかい。角の形から多分オルグ族の人だ
「うるさいぞ人間。臭いだのなんだの、そちらのお嬢さんに失礼だろうが」
オルグの男はガシッと騒ぐ男の頭を掴んで持ち上げる
「いててててて!」
そしてそのまま壁に叩きつけた
「騒ぐな、迷惑だ」
オルグはそのまままた寝転んで寝始めた
「おっきな人だね。まさか僕より大きいなんて」
そう、このオルグの男性、五メートルはある
僕より大きなヒト種は初めて見た
オルグは最大5メートルって話は本当だったんだ
彼に壁に叩きつけられた男はそのまましょぼくれて隅っこで大人しくなった
どうやらかなり酔っていたらしい
仲間の男たちが代わりに僕らに謝ってくれた
ひと悶着は終わって、僕はサンドイッチを取り出して食べ始め、一応濡れタオルを出して体を吹き始める
「ちょ、姫様、人前ではしたないです」
「あ、そっか」
あの男たちの方を見ると、何人かはやらしい目でこちらを見ていた
この世界結構ケモナーが多いね
まあ僕自身がそうなんだからいいんだけど
翌朝、昨日暴れた男が深々と謝って来た
「すまねえ、少し前に闘技場の戦いでビーストに負けてむしゃくしゃしてたんだ。酔っていたとはいえとんでもないことを言っちまった。本当にすまねえ。これは迷惑料だ。受け取ってくれ」
男は金貨の入った袋を渡してきた
闘技場で稼いだお金の一部らしい
「いえ、いいですよ別に。特に実害があったわけでもないですし」
「そんなわけにはいかねえ。頼むから受け取ってくれ」
男は半ば無理矢理袋を押し付けた
「そ、それとだ。あんたのこと臭いって言ったけど、すごくいい匂いだぜ。なんかこう、癖になるって言うか」
そこまで言って仲間にぶん殴られていた
「セクハラだぞバルギア」
トウゲンまでは船で三日ほど
順調にいけば、ね
取りあえずもう一度フラグは立てておく




