9 メスケモランクを上げる1
翌朝
「お、来たねぇ。しっしっし、強大な力を持つ者よぉ。我の試練を受け、見事ランクを勝ち取るのだぁ」
「それなんですか?」
「なんとなくぅ。やりたかっただけぇ」
メメリィさんはカウンターの下から紙を一枚取り出して僕に渡した
「これが今回のターゲットでぇ、こいつを倒すのが目的ぃ。でも気を付けてねぇ。こいつがいるのはぁ、迷宮の奥だからぁ」
「迷宮?」
「ダンジョンだよぉ。初級ダンジョンだからぁ、そこまで強い魔物は出ないと思うけどぉ、油断大敵ぃ」
「ダンジョンかぁ。よし! 行ってきます!」
迷宮がどういうところなのか分からないから、一応本で調べてから行くことにした
その情報によると、迷宮は迷路のようになっていて、階層を降りて行って、最終階層のボスを倒すと外に出れるようになるらしい
外に出る方法は三つで、一つはボスを倒して自動で転送されるもの、二つ目は来た道を戻って入り口彼でる方法、そして最後の三つ目は、死んで吐き出されること
死なないように気を付けよう
街から出て、地図の通りにダンジョンへ
歩いて行くしか方法がないのよね
まあそんなに遠くないから、鼻歌交じりに歩いてあるいて、30分くらいで到着した
「ここがダンジョン、迷宮・・・。ゴクリ」
生唾をのみこんでいざ迷宮内へ
「慎重に、死なないように、着実に進もう」
第一階層
ここにはゴブリンなどの比較的弱い魔物がはびこっていた
「ぐるぁあああ!!」
とびかかって来たゴブリンを大剣で一薙ぎして倒す
外と違って、倒した魔物は消えてお金や素材、アイテムが落ちるようになってるみたいだ
いちいち買い取ってもらったりって手間を考えると結構便利
大剣ビーストテイルの切れ味も良好良好
「お、階段だ」
本の情報だと、迷宮は入り組んでるって書いてあったけど、ここは初級ダンジョンだからなのか、ほとんど一本道だった
階段を降りてから二階層へ
第二階層
全五階層あるこのダンジョン、二階層目はあのラピッドマイマイや、触手を持った魔物が多かった
ギルドで読んだ魔物図鑑に載ってたローパーとかいう魔物もいる
こいつらに掴まると、女性は目も当てられない目にあうらしい
でも油断さえしなければ大丈夫
ラピッドマイマイのスピードにももう目が慣れたし、危なげなく第二階層もクリアして次の階層への階段を下った
第三階層
ここにはなんだか変な匂いが漂っていた
ゆで卵が腐ったような臭い
あとなんだか熱い
毛皮があるせいで僕、熱さに弱いんだよね
まあそれを言うなら毛皮を持ったビーストはだいたいそうだけどね
換毛期なんか抜け毛がすごい
今は夏じゃないから僕の毛並みももこもこしててほんとあっつい!
しばらく進んでこの暑さの理由が分かった
ドロドロとした溶岩が、左右の壁を流れているんだ
このゆで卵が腐った感じの匂いってなんだろう?
その匂いの正体はさらに進んだ先にあった
「お、温泉!?」
温泉には一匹の魔物がのんびりと浸かっていた
猿に似た魔物。そういえば図鑑に載ってたな
マシラって魔物で、人間に悪戯をする魔物らしい
そこまでの害はないけど、引っ掻きや噛みつきは痛いって書いてた
「でもあのマシラ、記載と違って体毛が赤い」
マシラはこっちに気づいて温泉から飛び出した
「ぎゅああああああ!!」
意外と甲高い声で、いきなり僕に襲い掛かって来た
引っ掻き攻撃が来て、僕はそれを躱す
「結構身軽だな。よし」
相手の大きさは僕より少し大きいくらい
3メートルちょっとかな
奴が掴んできたから、僕はその腕を取って力比べのように組み合う
「ふん!」
僕とマシラの筋肉がモコっと盛り上がって、お互い引かない比べあい
「負けないぞおおおお!!」
「ぐぎゅぎゅぎゅ」
「ふんぬ!」
僕の方が力が強かったね
マシラを持ち上げて放り投げ、大剣で斬りつける
「ぎゅあ!!!」
浅かったのか、すぐに体勢を立て直すマシラ
今度は飛び蹴りを放って来たから、その足を掴んで地面にたたきつける
そのまま大剣で胸を貫いて、マシラを無事倒した
「ふぅ、意外と強かったかも」
でも不思議だ。マシラは茶色の毛並みなのに、こいつは真っ赤だった
それに、Fランクの冒険者でも倒せる魔物しかここにいないはずだけど、この赤いマシラは明らかにCランクくらいはあった
まあ気にしても仕方ない
マシラを倒した後に出たアイテムを拾っておく
赤い毛皮。結構綺麗な毛皮だ
「よし、次の階層へ・・・。その前にこの温泉、入ってもいいのかな?」
一応魔物がいないか確認して、装備を脱いでたたんでから温泉に浸かった
「おふぃ~」
間抜けな声があふれ出るけど、誰もいないしいっか
あ、思わず入っちゃったけど乾かすこと考えてなかった
そうだ、少し戻って溶岩で乾かせばいっか
装備も持って溶岩の所に戻り、冷えてる岩の方に腰かけて乾かし始めた
「お、これならすぐ乾きそう」
熱いけどどんどん毛が渇いていく
そろそろ渇くかってところでとんでもないことに気が付いた
「あ、あああ、なんてことだ・・・」
未だかつてないほどの危機が僕に訪れていた




