77 メスケモと鬼人との友好3
翌朝特に何事もなくオルゲンを発って、ログの村、アシュの村を経由し、ようやく、本当にようやくディマラ公国へと入国した
入国前の停留所で馬車を降りて、山岳地帯の前の検問所を通る
どうやらすでに僕とフェディのことは知れ渡っているみたいで、ほとんど顔パスで入国できた
一国の姫が従者を連れての入国だからね、護衛を付けてくれようとしたんだけど、一応冒険者のパーティーだ。お断りして四人で登山を開始した
「この山には不思議な魔物が住むと言われています」
「あ、聞いたことあるわ。確かエルラーとかいう見ると幸せになるっていう魔物ね」
「エルラー? 知らないなぁ」
「そうね、この辺りでしか聞かない魔物かも。フワフワな毛につぶらな瞳、フヨフヨと空を浮いてて、願い事をすると願いが叶うって言われてるわ」
「そんな平和な魔物がいるんだね」
ただ、ここには危険な魔物も出るらしい
その一匹が、エルラーを捕食すると言われるロックバードだ
ロック鳥とも呼ばれていて、この辺りの岩石地帯に生息している
もちろん肉食で、エルラー以外にも人を襲って食べることもある
凶暴なためほぼ確実に襲われるため、この辺りではかなり警戒されているらしい
「ロック鳥は岩をおとして攻撃してくることもあるので、とにかく頭上には気を付けてください」
と、言われた傍から僕の目の前に岩が落ちて来た
「うわびっくりした。サクラは大丈夫?」
「うん、落としたよー」
「え?落とした?何を?」
サクラの方を振り返ると、岩をおとしたと思われるロック鳥がすでに地面に横たわって死んでいた
「なにしたの?」
「風魔法でびゅって」
「そっかー、びゅってしたんだー」
まあサクラならできるか
取りあえずまだまだ先は長い
何せ五つも山を越えないといけないからね
そこまで標高は高くないとはいえ大変だ
「あ、また来た」
ロック鳥は群れを成すってわけじゃないらしいけど、この辺りにはたくさん住んでいるからか、獲物と見るや襲い掛かってくるようだ
「よし、グーンッて伸びて、いっきに・・・」
僕は足に力を込めて飛び上がった
数十メートルは飛び、ロック鳥の背後を取るとそのまま背中を拳で殴って落としてやった
あ、因みになんだけど、こいつらかなり美味しいらしい
この辺りの人々には高級食材として重宝されている
となれば持って行くよね。食べるよね
から揚げ、から揚げにします
親子丼にするには卵がない。ロック鳥の巣を襲うのもなんだし、親子丼はまたの機会にとっておく
それからも襲ってくるロック鳥を殴り落としたり、斬り落としたり、魔法で落としたり、順調に食材が増え・・・、歩みが進んで行く
一日たつ頃には二つ目の山を超えれた
その日の夜
キャンプ地を作って僕らは野営の準備を始めていた
獲ったロック鳥の羽をもぎ、軽くあぶって残った細かい毛や羽を焼き、ぶつ切りにする
それに塩や香草なんかを揉み込んで、少し寝かせる
買い込んだ小麦粉や、片栗粉なんかをかけて熱した油に投入した
ブワァ!
「うわあああ!!」
溢れた油に火が引火して炎が上がる
「びっくりした、びっくりした」
少しハプニングがあったもの、一回目の揚げが完了。少しおいて二度揚げにする
こうすることでカラッと仕上がるって前世の動画で見た
揚げあがり
このから揚げ、見ただけでもう美味しいってのが分かる
匂いでやられる
涎が止まらない
「よし、食べよう」
皆でいただきますをしてから手を付け始めた
サクッ、ジュワァ
最高のから揚げがここにあります
ご飯、ご飯が欲しい
でもこの辺り、お米を食べる文化圏じゃない・・・
そう、これから向かうトウゲンにはお米が、お米があるんです!
それもトウゲンに向かう楽しみの一つだ
やっぱり米はソウルフードですしね




