鬼の姫様と敵4
キノコの群生地兼養殖場に来ると、大きなキノコの化け物がアカツキノコをむさぼっていた
「何あれ、キノコがキノコを食べてる」
「ハクラ、そっちにもいる。私があっちを倒すから、ハクラはそっちをお願い」
「分かったクロお姉ちゃん」
クロハは黒刀クロアゲハを、ハクラは白刀白雪を抜き、キノコの妖魔に襲い掛かった
一瞬で輪切りにされるキノコ妖魔たち
「これ食べれるかな?」
「やめておきなさい。お腹壊すよ」
双子はツンツンとキノコ妖魔の死骸をつつく
一応他にもいないか養殖場を見回ったが、どうやら最初に見つけた数体のみだったようだ
「よくできましたね」
アマノは双子をよしよしと撫でる
「おお、ありがとうございました。これはお礼でございます」
村長はアカツキノコに似たキノコをアマノに渡す
「これは? クンクン・・・。この香り、これは、いいものですね!」
「さようでございます。そちらはアカツキノコを品種改良し、さらに香りとうまみ、食感を引き出したアオツキノコです」
「なんてことでしょう。これはいつから売り出されるのですか!?」
「まだ完全に生産方法が確立されておらず、アカツキノコの中から稀に見つかる品種なのです。そのため大量生産ができません。いずれ生産が安定した暁には優先的にトウゲンに卸させていただきます」
「ありがとうございます! 是非に!」
クロハハクラを可愛がる時ほどではないが、テンションを上げて受け答えするアマノ
よほどこのキノコが好きなのだろう
村でのトラブルも解決し、一行は貿易都市リオラナへと歩みを進める
ホリア村からは歩いても三日くらいの道のりであるため、この四人ならば一日で踏破できる
四人は駆けだし、車でも追いつけないような速さで山を越え谷を越え、時折丘を大きく飛び越えて進んだ
そして夕方、日が落ち始めたころに貿易都市リオラナへと到着した
貿易都市との名の通り、様々な馬車が行き交い、中には鳥の獣人が荷物を運ぶ様子も見られた
せわしなく人々が行き交う中を四人は歩いていく
ここは一応巨大都市であるため、旅館なども多数あり、その中でアマノが気に入っている宿へと向かった
「つきました。このほうき星という宿がこの街で一番いい宿です」
見た目は小さくて、古びた日本家屋と言った感じだ
「ここが? 姉様、うちより小さいよ」
「ハクラ、うちは普通の家より大きいので、大概うちより小さいです。それよりも、この見た目に騙されてはいけません」
中に入ると、素朴な古民家だった
だがどこも手入れが行き届いていて、木のいい香りが鼻をついて安らぎを与えてくれる
「いらっしゃいま・・・あらあらまあまあ、姫様、お久しぶりですねぇ」
出迎えてくれたのはこの旅館の女将で犬獣人のアマメ
アマノが幼いころ、両親に連れられてよく来ていたのがこの旅館だった
「お久しぶりですアマメさん」
「まあまあこんなに大ききなって、今は大英雄さん。すっかりすごい人になってしまいましたねぇ」
「いえ、わたしなどまだまだです。今日はお世話になりますね」
「おやまあ、そちらの方はもしや・・・」
「ええ、私の妹たちです」
双子はぺこりとお辞儀をする
「まあまあなんと可愛いのでしょう。幼いころのアマノ姫様を思い出しますねぇ」
双子は褒められて頬を染めて照れる
「こっちはコミネだよ。私達のお姉ちゃんなの」
コミネはクロハ、ハクラが生まれるより前に王家に拾われ、家族となっている
本人は恐れ多いと家臣としての距離を保っているが、王家は普通に家族だと思っているため、普段はアマノは妹として、双子は姉として接することが多い
四人はチェックインし、女将の手厚い歓迎によって大満足のうちに就寝した




