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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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73 メスケモ翼人族の国へ7

 何もわからない

 ただ怒りが、そしてどす黒い気持ちが僕を包んでいる

 その怒りに飲まれてただ僕は暴れた

 その中で冷静に自分をふかんで見ている感じだ

 フェディはリーリーがいれば大丈夫なことくらいわかるのに、それでもフェディに大やけどをさせてしまったことが許せなかった

 相手を許せない。そして油断していた自分を許せない

(そうだ、怒りに身を任せろ)

 誰かの声が聞こえる

 この怒り、黒い暗い気持ち

 それに身を任せるのはとても心地いい気がしてきた

 そして僕はさらに深くその黒に染まって行った


「ネネコちゃん!」

 呼びかけようとも彼女は一切答えない

 それどころかさらに毛色が黒く暗く染まって、まるで闇そのものかのように周りに恐怖を振りまいているように見える

 それでもこちらに攻撃してこないということは、まだ自我が残っているのかも

 必死にこちらを視ないようにしているように見えたから

「う、く、リーリー、ありがとうございます。少し動けるようになりました」

「いえ、まだ動かないで。死んでもおかしくない火傷だったんだから、少しでも体力を回復させておきなさい」

「うぐ、ありがとう、ございます。ですが、姫様を」

「大丈夫よ。私が何とかする」

 私の予知ではこういった時何の役にも立たない

 だからこそ、私は神聖魔法を鍛えに鍛えた

 ネネコちゃんは今エンシェントドラゴンと戦っている

 エンシェントドラゴンはSランクでは測れないほどに強い

 知能が高いため人を襲ったという伝承もなく、危害を加えなければあちらからは絶対に攻撃してきたりしない

 むしろ対話を好んで、勇者を導くこともあるという存在

 それがなぜ一個人の言うことを聞いてこんなことをしているのかは分からない

 エンシェントドラゴンが操られるなんて話も聞いたことがない

「ともかく今は暴走状態のネネコちゃんを止めなきゃ。このままじゃ体が崩壊して死んじゃう」

 彼女はドラゴンの吐く火を素手で受けて弾き、そのままあのオリハルコンよりも固い皮膚を爪で切り裂いている

 その結果、彼女はどんどんボロボロになっていっている

 手からは血が噴き出し、あの可愛くて美しかった指がバキバキに折れて・・・

「エルフォトンサンクチュアリ!」

 彼女を捕らえるための結界を貼って攻撃を止める

 でもあのエンシェントドラゴンの体に傷をつけるほどの彼女の拳では、この聖域もそこまでもたない

「お願いネネコちゃん、止まって!」

 その時エンシェントドラゴンが動いた

「なんだかわからないけど仲間割れしてるなら好都合だよね! やれ!」

 口に魔力を溜めている

 これは受けたら、多分消し飛んじゃう

「ネネコ、ちゃん・・・」


 声が頭に響く

 大切な人、僕の大切な人が、嘆いている。悲しんでいる

 声が頭に響く

(怒りを、恨みを、憎しみを。増幅させよ、染まれ染まれ染まれ)

 でも僕は、大切な人の声を、その手を

 そして急に視界が光り輝いて、僕は迫るドラゴンのビームのような魔法を素手で受けた

「ぐ、うううううう、グルルルルルルルルルル!!!」

 唸り声を上げてその魔法を上に弾いた

 ビームは雲を突き抜け、空に大爆発を引き起こした

「いったああああ!! 痛い痛い痛い!! 手がぁああ!!」

「ネネコちゃん! 正気に戻ったのね!」

「う、く、いたたた、ごめんリーリー、これ、治せる?」

「任せて!」

 骨がバキバキに折れて、ドロドロに溶けた皮膚をリーリーがあっという間に治してくれた

 そして僕はドラゴンの方を向く

「気を付けてネネコちゃん。あれはエンシェントドラゴン。Sランクでも倒せない世界最強の生物よ」

「うん、多分そうなんだろうね。でも、なんか行ける気がする」

 神獣の力が僕を包んでいる

 どんどん力が溢れて来る

「これなら、行けるかも。ラストスパート!」

 ラストスパートは制限付きの力で、全ての能力がフェディ以上、つまりSランクを超える力を発揮できるようになる

 その代わり丸一日動けなくなるし、数分しか発動できない力

 でも今なら制限がない

 それがなぜかわかった

「よし、いっくぞおおお! 猫式格闘術、牙雅我(ががが)!」

 顎を数回連続で殴る格闘術だけど、それが今や数百回もの連続攻撃と変わってドラゴンの下顎を粉々に砕いた

「狼式格闘術奥義、孤狼! 一! 撃! 必! 殺!」

 顎を砕かれて倒れたドラゴンの胸を一突きし、心臓を、そして再生できないようその横にある核を砕いた

 古代竜ことエンシェントドラゴンは生物の範疇を超えている

 そのため心臓を貫いた程度では死なない

 核を完全に破壊しないと、たとえ骨になっても復活できる

 それをさせないための核砕きだ

「ふぅ」

 僕を覆っていた神獣の力が落ち着いていくのを感じた

 どうやら力のおかげで反動もない

「なんだ、なんだよこれ、偽物とはいえボクのエンシェントドラゴンがやられるなんて」

「君、誰なの? なんでこんなことしてるの?」

 僕は怒りに満ちた目でドラゴンたちを操っていた少年?少女?をにらむ

「ちっ! 作戦失敗か。しょうがない! 今回は引く。覚えとけ猫! ボクは天死の第六席、稚天のケリルだ! いつかお前もボクの手ごまに加えてやる!」

 彼もしくは彼女は迎えに来た大きな鳥に乗って去って行ってしまった

 天死・・・

 第六席と言っていたかな?

 何か大きなものが動いている気がする。それがもしかして、リーリーが予知した者なのかも

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