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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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80/94

鬼の姫様の旅路4

 ラルズラール・ヘルステッドという名前

 これはアマノにとっても、この周辺国家にとっても特別な名前だった

 遥か昔、まだアマノも生まれておらず、トウゲンが建国されたばかりというほど前のことだ

 その頃はまだまだ差別も強く、ビーストや獣人、翼人、オルグやその他亜人と呼ばれる種族は奴隷や差別の対象となっていた

 それに異を唱えて世界から奴隷制や差別をなくすため尽力したのが、異世界からの勇者ラルズラールだった

 彼は神剣を携えて奴隷を介抱してまわり、そして世界をすっかり変えてしまった

 解放された奴隷たちの中の獣人たちは当時建国されたばかりのトウゲンへと逃れ、未開拓だったこの辺りの時を開拓していき、やがて様々な国家が生まれた

 その時トウゲン周辺国家を纏めあげたのが、当時トウゲンの王だったムラサキ・キビツというアマノたちトウゲンの王族の祖先だった

 そしてそのムラサキこそ、勇者ラルズラールと共に当時の魔王を倒した仲間であった

 だからこそトウゲンにはラルズラールの名前は伝わっており、当時の仲間の一人であった妖怪族王女の九尾、クレナイと共に英雄譚として語られていた

 

「まさか、間違いでしょう? 勇者ラルズラールはすでに元の世界に帰ったと伝わっていますし」

「いいえ、私も間違いだと思った。けど、確かな情報よ。間違いない」

「しかし、それが本人であるという証拠はないのでしょう? 名前が同じなだけか、語っているのか」

「そこも含めてまだ調査中。でも、多分本物。近くでは見てないけど、アルスランドには何か変な力の流れがあるみたい。それがどうにも英雄や大英雄が持つ雰囲気、そう、あなたみたいなオーラって言うのかな?」

「私のような?」

 アマノは少し考えこむようなしぐさをし、少し長く息を吐いてフワイに向き直る

「最強の名をほしいままにした勇者ラルズラール、ですか・・・。妹たちに害が及びそうですね。もしその心根が悪のものならば、斬ります」

「いいの? 元とは言え仮にも勇者よ」

 アマノはまたふぅと息を吹きだして刀を取り出した

「神刀アマカケルテンキュウ・・・。アマノちゃんの家に代々伝わる刀ね」

「この子の力は使ったことはありませんが、伝承に伝わるラルズラール相手であれば、これを解放しなければなりませんね」

 神刀、アマカケルテンキュウはかつての勇者の仲間、ムラサキ・キビツが神より賜ったものとして代々キビツ王家に伝わって来た

 その力は不明

 扱える者がムラサキ以来でなかったためだ

 そしてその力を知る者は現代ではアマノしかいない

 資料にすらその能力が残されておらず、長らく謎になっていた

「急ぎアルスランドへ向かいます。フワイ、また情報収集を頼めますか?」

「もっちろーん! スーパー隠密フワイちゃんに任せなさい!」

 隠密という役職柄、彼女は仕事中喋らず感情をあらわにすることはない

 だが普段の彼女はその反動なのか、おしゃべりで調子乗りである

 そのためか、彼女は幼馴染四人の中でもムードメーカーであった

 だからこそアマノは彼女のことを信頼している

「ではフワイ、また会いましょう」

「フフ、またね!」

 次に会うのはフワイがまた情報を持って来た時であろう

 フワイにも妖術が使える。それが(おおとり)の眼という力

 特定の物、人物をロックオンすることでどこにいても発見することができる力だ

 これでアマノをロックオンし、二人は別れた

「お待たせしました。さあ行きましょう」

「うん!」

「はい、姉様」

 アマノは双子とコミネを連れてまた旅発った

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