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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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鬼の姫様御出陣4

 アハルマまでは徒歩で三十分もかからない

 馬車ならなおさらだ

 十分ほどでアハルマに着くと、猿獣人たちが四人を出迎えた

「アマノ様だ! アマノ様がご来訪成されたぞ! 歓迎せねば!」

「おお、ちい姫様達もおられる。ありがたやありがたや」

 どうやら犬獣人経由ですでにアマノ達が来ることは伝わっていたらしく、猿山の人だかりができていた

 猿獣人は尻尾と体の毛以外はほとんど人間だが、武術の達人が多い

 遥か昔には武術の世界大会で優勝した者もいたほどである

「すみません道を開けてください。旅を急ぎますので」

 アマノの一声で猿獣人たちは一斉に道を開けて、まるでモーセのように人垣が割れた

「おお、姫さんじゃねぇか、久しぶりだな」

「ゴエンですか、相変わらず騒がしい人ですね」

「幼馴染だろう、ちょっとは俺のもてなしくらい受けてくれてもいいじゃねぇか」

「そうですね、甘い菓子はありますか? 妹たちが喜びますので」

「お、ちっこいのもいたか。久しぶりだな」

「ゴエンさん! お久しぶりです!」

「ゴエン嫌い」

 ハクラは友好的に人なつっこく挨拶し、クロハは真逆につんけんと、挨拶とは言えないあいさつをする

「クロは相変わらずだな。シロ、お前は本当にいい子だな」

 ゴエンはガシガシとハクラの頭を撫でた

 彼はゴエン・キンシュウと言い、かつて世界チャンピオンになった猿獣人の子孫である

 そしてこの国の王子だ

 アマノとは幼馴染であり、アマノ、ゴエン、そして犬獣人の王子ハケン、雉獣人の王女フワイの四人でいつも遊んでいた

 昔からの同盟ではあるが、今はさらに強固なものとなっている

 現在犬獣人の王子ハケンと雉獣人の王女フワイは魔物の素材採集のために遠征に行っているため、この辺りにはいない

「それでまた三姉妹と王付きの侍大将がそろってどこへ行こうってんだ? いや待て分かった。命狙われてんだろ? てことはだ、ヴァシュルア教総本山のアルスランドに行くんだろう?」

「さすがですねゴエン、その通りです」

「そうか、まあお前なら大丈夫だろうけどよ、国ごと亡ぼすなよ? お前ならやりかねん、つうかやるだろ」

「失礼ですね。そこまで壊しませんよ。黒幕が出るならですが」

「待て待て待て、罪もない民を殺すな。お前は過激すぎんだよ」

「・・・。すみません自重はします」

「それでよし、じゃあ俺はハケンとフワイのとこへ行くからよ。寝坊したから置いてかれちまったんだわ」

「あなたこそそのルーズな性格を直すべきでは?」

「ハハ、違ぇねぇ」

 ゴエンは豪快に笑いながら手を振って去って行った

「全く毎回毎回嵐みたいな人ですね」

「声おっきいから元気で好き~」

「私もです。あの方は尊敬に値する方ですよね姉様」

「そうね、良いやつだけど、声は大きいですね」

 この国は通り抜けるだけで、次なる国を目指す一行

 この先は雉獣人の国スピラがある

 幼馴染の王女フワイは不在のため、こちらも通り抜けるようにはなるが、山の上にあるため到着するまでには日がくれるだろう

 そのためスピラで一晩を明かすことになる

 山の道中にはマシラという猿妖魔やアカマガツチョウという鳥の妖魔などなどが出る

 妖魔と魔物との違いはひとえに魔力を操るか、妖力を操るかの違いである

 魔力は人間含め様々な種族も使えるが、妖力は鬼人や妖魔、妖怪族にしか扱えないものだ

 妖力と魔力は力の流れが違い、魔力を使えば魔法が、妖力を使えば妖術を使えるようになる

 ちなみにアマノ含めた鬼人たちはたいていがこの妖術を使える

 そしてスネコスリ族という妖怪族のコミネの人を転ばせるという能力も妖術である

 四人は普通の冒険者や旅人にとっては割と危険な山に分け入り、スピラを目指してさらに歩みを進めた

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