66 メスケモ、金鉱山へ2
トカゲは倒し終えた
でもなぜか不安がぬぐえず嫌な気配がする
「ふぅ、ありがとうな! これでみんなまた元気に働けるよ」
アチェにお礼を言われ、そのままトカゲの素材を回収した後はさっきの採掘場に戻った
ここでは本来観光客向けの採掘体験も行われていたが、トカゲの大量発生でその観光業もストップしていた
トカゲを倒したからようやく再開できるとアチェも喜んでいるんだけど、やっぱり胸騒ぎが収まらない
あのトカゲたちの巣から、何か気配が・・・
「皆さっきのグランリザードの巣から離れて! 何か来る!」
突如巣の入り口がさらに崩れ、何かの鼻先が出て来た
そこからさらに崩れ、大穴が開いてグランリザードよりも大きなトカゲが顔を出した
「これはボルカンリザード!? なんでこんなところにいるんだ!」
「ボルカン? それは確か溶岩に住む魔物、ここは火山でもないし、明らかにおかしいわね」
ボルカンはいきなり口を開いて、口から溶岩の塊を吐き出し攻撃してきた
「あぶな!」
正確に僕を狙って来たな
僕のいた場所でぐつぐつと岩が溶けている
「ボルカンリザードは特定危険魔物に指定されている文字通り危険な魔物よ。火山でこいつに出会ったほとんどの人が餌食になってるわ」
これは気を引き締めてかからないとこっちがやられそうだ
「本気で行くよ。ブースト!」
アクセルのさらに上の段階のブーストを発動させる
ブーストは制限時間付きの能力向上だ
およそ三分というあの巨大なインスタントヒーローくらいの戦闘時間しかとれない
「獣剣技、獅子の型、雷嗚煉流!」
怪我逆立って体に雷が纏われる
そしてボルカンの前に一瞬で移動すると、やつの顎を思いっきり蹴り上げた
ズガンと天井に頭が突き刺さる
「な、なんて脚力してんだよ。通りで太いわけだ」
「太くないよ!」
そのまま剣で喉元を斬る
でもとっさに頭を天井から抜いて暴れたボルカンに頭突きをされて後方に吹っ飛ばされた
「く、あと二分」
吹っ飛ばされた先の壁を蹴ってボルカンの前に戻ると思いっきり剣を叩きつける
ザシュっという音が響いてボルカンの鼻先が斬れた
直後にさらに空中で回転しながら目を斬る
まぶたが盾となって眼球までは切れなかったけど、ボルカンは痛みで暴れ始めた
「まずいぞ、このままじゃ崩れる」
「任せてー」
サクラが土魔法を使ってボルカンの周囲の壁を固める
おかげで崩れかけていた天井が元に戻った
「ありがとうサクラ! よしあと一分、さらに段階を上げるよ! ラストスパート!!」
ラストスパートは一時的にSランクを超えるほどの力を得れるけど、反動で体が悲鳴を上げて動けなくなる
筋肉も切れるからかなり痛い
それでも死ぬよりまし
「獣剣技、虎の型、猛虎龍撃!」
かつて伝説の龍を倒したと言われる剣技の奥義だ
猛虎のように襲い掛かり、一瞬で切り刻む
ボルカンはズタズタに切り裂かれ、倒れた
「よし! 倒せたぁ」
ドサリと僕は倒れ込んで、もう一歩も動けなくなった
「お疲れ様です姫」
筋肉が痛んでうめき声をあげる
でも強敵を倒せたという爽快感が僕を包み込んでいた
「これどうする?」
ボルカンの素材は相当重宝されるらしいけど、さすがにこのサイズは僕の袋にも入らない
「持ち帰りたいのか? それならこれに入れて帰るか」
アチェが手を翳すと、シュルシュルと異空間にボルカンが吸い込まれて行った
「うわすごいなにそれ」
「これか? これはアイテムボックスという能力だ。あたし含めてあんま使える人はいないな。珍しい能力だけど、あたしは金鉱石を運んだりするときに使ってるくらいだ」
容量は小さな国の土地くらいというとんでもない容量
おかげさまでボルカンは余すところなく収納でき、持ち帰れそうだ
「王都まではついて行ってやるよ。あたしも丁度道具を整備するために行かなきゃいけなかったしね」
結局観光はあまりできなかったけど、素晴らしい成果を持って帰ることができたよ
鉱山集落でもみんなに喜ばれて、トカゲの素材はほとんどを置いて帰った
僕らにはボルカンの素材もあるし、そんなにお金に困ってないしね




