63 メスケモ、蛇迷宮へ6
その後何度も隙を見ては斬りかかったけど、鱗が固くて攻撃が通らない
牙は切れたのになんで?
次は作戦を変えて同じ個所を何度も狙った
それにしてもこれだけ硬い鱗を何度も斬っているのにこの剣刃こぼれ一つしてない
「ビーストテイル、こんなもんじゃないだろう君の力は、どうかもっと力を貸して!」
ビーストテイルに訴えかけると光だし、その形を変えた
「これは、大太刀?」
二メートルはある刃、まるで宝石のような輝きを放ち、高濃度の魔力を帯びていた
「ありがとうビーストテイル!」
飛び上がって今まさに噛みつこうとしていたジャーラの口を切り裂く
大きな口はさらに裂けて猛毒の血が噴き出す
その血を避けて首元に斬りかかった
ザクリと音がして、鱗が斬り飛ばされた
「獣剣技、猫狼!」
首からお腹にかけての鱗を全てきり飛ばし、再生する前にビーストテイルの形を元に戻して剣の腹で思いっきり叩いた
衝撃が全身を巡り、脳震盪を起こしたジャーラはその場にどさりと倒れた
「よし! なんとか殺さずに無力化できた」
「でもどうしよう。ジャーラは何かに操られているのか様子がおかしいし。元々ジャーラはおとなしい蛇なの。神獣の名にふさわしく人々を助けてたはず。それがどうしてこうなったのかしら」
「起きたらまた暴れるかも」
考えているとジャーラが目を覚ましたのか鎌首を持ち上げてこっちをにらんだ
「く、もう目を覚ましたのか。もう一度!」
「お待ちくださいネネコ様」
「え、しゃべった!?」
「はい、お救い頂きありがとうございます」
ジャーラはどうやらまともに戻ったようだ
それにしても低くてなんてイケボなんだこの神獣
ジャーラが言うには、自分が守っていたこの国と周辺国を循環していた所、突然衝撃を受けて、そこから記憶が途切れたらしい
気づいたら今この場にいたというわけだ
「私は神獣です。通常迷宮に入ることはありませんし、人を襲ったりなどもってのほか、ああどうか、ヴァシュルア様、私を罰してください」
落ち込むジャーラ
この神獣は操られていたのかな?
衝撃を受けてそこからの記憶がないのがその兆候な気がする
ジャーラはうなだれ、そのままなんだか小さくなっていった
「え? え? ジャーラ、縮んでない?」
「ああ、はい、大きいと体が詰まって動きにくいので」
そしてジャーラはなんと褐色肌の美しい女性へと変わった
しかも上半身が裸で、下半身にだけ白い服を着ている
「なんで服着てないんですか!?」
「あなた様に斬られたからです」
「え、鱗って服なの?」
「鱗を服に変えていたんです」
「それはほんとにすいませんですはい」
上着を着せた彼女を連れて僕らはさらに奥へ
奥の部屋には外に出るための転移陣と宝箱があった
一応宝を開けてみると、蛇が尻尾を加えている指輪だった
「あらまぁ、それは昔私が作ったものですね。遥か昔の神獣ウロボロス様をかたどったもので、永遠を誓う婚約指輪として作ったものです。効果は特にありませんが、貴重な鉱石で出来ているので売れば屋敷が建つくらいにはなりますよ」
「ねえネネコちゃん、はめてくれる?」
「あーうん、いいけど」
僕はリーリーの指にその指輪をはめた
「フフ、これで私とネネコちゃんは結ばれたわね」
「あ!」
突然言われたから何も考えずにはめちゃった
「冗談よ」
まあ指輪はリーリーにあげるかな
これでここの迷宮をクリアしたわけだけど、ベルの仲間はいない
「ねえベル、気配はまだあるの?」
ジャーラがいたからか、ベルは一切動かなくなっている
「大丈夫よベル、しゃべってー」
サクラがベルに呼びかけると、すっと顔を上げて地面に着地した
「ふーむ、確かにまだ気配がある。うーん、分かったここだ」
ベルが指さしたのはリーリーだった
「リーリー、その指輪を見せてくれまいか?」
「ええ、はいどうぞ」
指輪を外してベルに渡す
「サクラ、次は君だ。この指輪に魔力を頼みたい」
「はーい」
サクラがその指輪に魔力を流し始めた
すると蛇が尻尾を咥えるのをやめて動き始めた
「はうあー、何年ぶりかな動いたのは。いや何百年? わかんないや。えっと、魔力をくれてありがとうエルフのお嬢さん。僕はリウス・シーバー、星詠みの一族だ」
彼はするりと地面を這って自己紹介をした
そしてベルの方を見る
「やあメグ。久しぶりだねぇ、魂の色でわかるよ、君だって」
「リウス、久しぶり。会えてよかった、本当に、良かった」
千年以上仲間と会えなかったベルことメグレズは、今日、ようやく仲間の一人に再開できたのだった




