56 メスケモ、スネークマンの国へ5
王城は大きくてきれいで、そしてプレッシャーを放っていた
緊張しすぎてお腹がゴロゴロとなってキリキリと痛む
「止まれ、王城に何用だ」
「怪しい者ではありません。私達はプラウディア王国の特使です。こちらを」
父さんが書いた任命書を見せる
「ふむ、これ本物ですか? プラウディアは復活したばかりの国、いくらでも騙せますからね」
「ちゃんと本物ですよ失礼な。私はかの国の王国騎士筆頭、王の盾にしてSランク冒険者のフェディ。これが冒険者証です」
「あ、あなたがあの有名な!? 確かに本物だ。すみません疑ってしまって」
スネークマンの男性の門兵は申し訳なさそうに門を開いた
さすがに冒険者証は世界中で身分証明書として使えるだけあって、信頼性が抜群だ
冒険者証は偽造がまずできない。そして犯罪歴のあるなしも分かる
Sランク冒険者という証はそのまま信頼に繋がるというわけだ
まあ世界に十人しかいないし、その誰もが国を救うほどの大偉業を果たしてるしね
「それで、お連れの方は」
「ああすみません、こちらの方はプラウディア王国王女、ネネコ・プラウディア様です」
「な!? 申し訳ありません! すぐにご案内いたします!」
「あの、僕はどうすれば?」
「そのままで大丈夫です。私とリーリーが対処しますので」
「え、私?」
「だってリーリー、あなたこういった場に出たことあるでしょう? たまに見せる所作は貴族とか、もしくは」
「あああ、分かった、任せて」
確かにリーリーは会話の端々、様々な所作に高貴な気配を漂わせてることがある
もしかしたら貴族なのかな? いや貴族にしては・・・
神聖魔法使いだから元々シスターだったのかも
シスターならそう言った所作を習うみたいだし
そのまま僕らは客室に通されて、すぐに謁見が許された
僕らの国は大昔に栄えていたとはいえ、現代ではまだまだ新参者の国
できうる限りこちらにいい条件で同盟が組めれば御の字ってフェディが言ってた
まぁこちらが出せるのはめったに手に入らない魔物の素材や肉、それとSランクに近い集落に住んでいた人たちの戦力
あそこの魔物たちを簡単に狩れる彼らの戦力を借りれるのはかなりの強みだろう
それに、攻めに来ることも難しい
元々危険な場所にあるうえに、そこを超えたとしても父さん筆頭に強いビーストがうようよいるような場所だ
誰も攻めようと思わないだろう
そして僕らはスネークマンの王の前へと来た
ヴァラガ王国の国王サルフ・ヴァラガさん
武闘派の王で、元々Bランクの冒険者だったとか
「おお、あなたがプラウディアの王女ですかな? 実に強靭な肉体、その鎧はかのトウゲン周辺に出るという凶悪な魔物、アヤカシの素材で出来ておりますな」
「あの、サルフ様、私は護衛です。王女はこちらです」
フェディより大きいのに見えてなかったのかな?
「申し訳ない。確かにその気品あふれる姿、それになんとお美しい。どうですかな? このあと食事でもぐえ」
横にいた王妃様に首をギュッとされてえ付いている
「ぐへ、ゲホッ。すまなかった。歓迎しますぞ王女とそのお仲間、今宵は歓迎会ですな」
かなりフランキーな感じの人だ
王妃様はなんか蛙をにらむ蛇みたいで怖いけど
その夜、言葉通り歓迎会が始まった
王様も王妃様もウワバミのようにお酒をたらふく飲んでいる
僕はと言うと、お酒は一切飲めない
成人しているとはいえ、まだ十年しか生きていない肉体、いやまあ肉体的にも大人なんだけど
ともかく僕はお酒が苦手だから、果実のジュースを飲んでいる
食べ物は香辛料をたくさん作ったものが多かった
主に胡椒が多いかな? 砂漠という熱い土地柄、こういったもので保存することが多いのかもしれない
そしてデザートに出たのは、この王都でしか取れないサンメロンという、果汁たっぷりであまーいメロンだった
よく冷えていてあまりにも美味しい
美味しすぎてしばらく時が止まったかのように動けなくなった
「はわぁ、美味しい・・・」
サクラは気に入りすぎてむさぼるかのように食べていた
行儀が悪いと注意しようとしたけど、王様も同じような食べ方をしている
どうやらそこまで作法を気にしなくていいみたいだ
あとで聞いたけど、美味しいものは手でかぶりつくのがこの国の作法だったみたい
そうして楽しい歓迎会も終わって、無事国交も結べた
あまりにもとんとん拍子だったからちょっと拍子抜けだったけどね
で、次の日の朝のことだった
「私の仲間がここにいるようだ。この王城に気配がある」
ベルがそう告げた




