55 メスケモ、スネークマンの国へ4
グーンと伸びをするベル
「ふぅ、サクラ、君のおかげで私は力を取り戻せた。君の魔力、とっても優しくて心地よかったよ」
「ベル、しゃべってる・・・。わーい! ベルと喋れる!」
サクラはベルを抱き上げて思いっきり抱きしめた
「ぐ、ぐるじい・・・」
「サクラ、ベルが苦しそうだよ」
「ごめんね」
ベルはポンポンと埃を払うと再び話し始めた
「私は元々星詠み族の巫女だった。でも遥か千年前、心を闇に染めた魔族によって体を壊され、辛うじて魂のみで各地を彷徨ったんだ」
ベルの話はまるで御伽噺を聞いているかのようだった
彼女の本来の名はメグレズ・ポラート
千年ほど前、闇の魔王という魔王によって世界中が混乱していた時に星詠み族という種族が立ち向かい、天体魔法によって闇の魔王を討ち滅ぼした
その際星詠み族もほとんどが滅んだけれど、魂の保護という力を持つごく一部が狩りの体を渡り歩いて何とか千年を生きて来たらしい
彼女もその一人だけど、魔力が尽きて動けなくなったところを僕らに買われ、サクラの強大な魔力で動けるようになった
星詠み族、聞いたことのない種族だ
「星詠み族ねぇ、確かにむかーしそんな種族がいたってのは聞いたことあるんだけど、もはや歴史にすら残ってない種族ね。御伽噺にこそ出て来るけど、まさか実在していたなんてねぇ」
博識なリーリーでもそのくらいの知識しかなかった
「ふむ、私もかなり頑張って星詠み族を復活させようとあちこち回ったんだけどね。魂で彷徨ってる彼らを見つけるのは至難の業でね。ハハハ、もう、あきらめた方がいいのかな?」
「そんなことないよ。今からでも」
「いや、私はもう疲れたんだ。このままこの子のぬいぐるみとして、もう生を終えてもいいかもしれない」
相当疲れているみたいだ
「ねえ、だったら僕達と世界中を旅しようよ。サクラの魔力があるから活動もしやすいだろうし、色々回るからもしかしたら仲間が見つかるかもしれないよ」
「・・・、いいのかい? 僕は本来の体じゃない。占い魔法くらいしか使えないよ?」
「サクラの相手をしてくれるだけで充分だよ」
「そうか、ではその役目引き受けさせてもらおう! 任せてくれ、弟がいたから子供の世話は得意だよ。弟も私と同じく魂の保護ができるはずなんだ。見つけたい・・・。協力してくれるかい?」
「もちろん!」
星詠み族はすぐ近くにいると魂が共鳴して分かるらしい
ただその近くというのは十メートル以内とかなり狭い
ベルの小さな体じゃ見つけるのも大変だろう
「で、私の本名はメグレズだけれど、ベルと呼んでくれて構わない。私は今サクラのベルだからね」
ちなみに彼女が回った国は世界中
それでも見つからなかったため、彼女はもうあきらめかけていたそうだ
ベルが星詠み族だと分かり、僕らは新たな目標を設定してまた王都向けて歩き出した
王都までは残り五キロと浮遊看板に出ている
結構距離あるな
「ふふふ、人と話せるなんて何年ぶりだろうか。私感激」
「可愛いねベル、リボンを付けましょうね」
おままごとの人形のようにめかしつけられているベル
僕がキャンプ中に作っておいたフリル付きの服も着てすごく可愛くなった
「ふむふむ、この服もいいね。ネネコ、君は服を作るのが上手いね」
褒められて僕も嬉しい。魔物に襲われる時じゃなかったらね
今戦っているのはかなり大きな魔物スフィンクスだ
顔は牙のある人間、体はライオン、もちろん肉食
「剣術奥義、一刀合塵!」
フェディが剣術を披露してスフィンクスは真っ二つになった
「ねえフェディ、これって食べれ」
「ません。死にますよ。猛毒です」
「そっか」
食べれないけど素材は取れた
尻尾や内臓が薬や魔道具の材料になるらしい
「こいつはまだ弱い部類ですね。もっと成長するとこの倍は大きいですし、魔法なんかも使ってきます」
結構ヤバい魔物だったのか
それを一刀両断って、やっぱりSランクだけあってすごい人なんだな
普段はリーリーと僕のお腹吸ってるけど
一度夜を過ごし、そしてようやく王都についた
「ここが王都、すっごい大きな湖、それに真っ白で綺麗な王城」
観光名所だけあって街並みもすごくきれいだ
金のとれる国だけど、王都はキンキラしてなくて真っ白で統一されていた
世界でも有数の綺麗な都市と言われているらしい
「ここは何度来てもいいものですね。姫、王城へ行きましょう。国交を結んでおけばお父上も喜ばれます」
「え、でもそんなの勝手にやっていいの?」
「これ、委任状です。お父上から預かっておりました」
父さん僕が旅することを見込んで特使のようなことをついでにやらせようってことか
まあいいんだけどね
正直僕はそう言ったしきたりとか貴族らしさとか全く分からない
こんなことなら習っておくんだった
「それと、こちらにお着換えください。姫に合わせたドレスです」
「うへぇ、ヒラヒラだ」
「一応社交の場ですからドレスは必須です。姫は社交界デビューなどもしていませんし、この委任状以外に身分を証明するものがありません。せめて格好はらしくしなければ」
「確かにそうだね」
納得して僕は借りた宿でドレスに着替えた
「まー、馬子にも衣裳って感じね」
「ネネコすごくきれい」
「ああ、姫様、姫様ハァハァ、可愛い、好き」
弱冠一名反応が気持ち悪いけど、とりあえずこれで王様に会う準備は出来たかな
いきなりのことで緊張してお腹痛くなってきた




