54 メスケモ、スネークマンの国へ3
勉強も終わり、同じく魔法の勉強を終えたサクラたちと合流する
宿屋に帰って魔道具屋で買ったぬいぐるみをサクラに渡した
「わぁ、くまさんだ!」
「気に入った?」
「うん!」
サクラはぬいぐるみをギューッと抱きしめると、ぬいぐるみは苦しそうにもがいていた
自動で動くだけの人形だけど、こうしてみると本当に意思が宿ってるように見える
宿ってない、よねこれ? なんか怖くなってきたんだけど
こういうぬいぐるみや人形は結構魔道具屋で売ってるらしいんだけど、そのどれもが意思もなくただ同じ動きを繰り返すだけだ
ただ、アーティファクトの中には自分で動いて戦ったり働いたりできるものもあるらしい
まああそこはアーティファクトを扱ってるわけじゃないからそんなの置いてないはずだけどね
「くまさんのー、名前はー、ベル! 首にベルがついてるから」
「ほんとだ、おもちゃのベルがついてて可愛いね」
すっかり仲良しになったのか、ぬいぐるみに名前を付けて早速遊び始めるサクラ
フフ、やっぱり女の子ってこういうの好きなのかな?
僕も女性の体に引っ張られてるからか、母さんが作ってくれたぬいぐるみをいつも抱いて遊んだり、一緒に寝たりしてたかな
そのぬいぐるみは今も故郷の家の僕の部屋に飾ってある
ちなみに年一回母さんが作るから、その数は十個になっていた
翌朝
宿で簡単な朝食を取ってから王都を目指して出立することにしたんだけど、すぐにとはいかなかった
現在砂嵐が襲ってきていて出ようにも出れなかったんだよね
しかも直撃だから宿から出ることも叶わなかった
仕方がないので宿の中で過ごすことに
ちょこちょこと歩き回るぬいぐるみのベルを追いかけるサクラを微笑ましく見ていると、ベルがチョイチョイと手を上げて振った
「あれ? こんな動きできないはずですが・・・」
ちょっと、フェディが不穏なこと言ってるんですけど
「うーん特に変なところはないけど、魔力も普通に通ってるし」
リーリーに調べてもらったけど、やっぱり普通の動くぬいぐるみと変わらないらしい
まあ歩いた振動でたまたまできた動きだろうってことで解決した
いやぁでもあれって普通に動いてた気がするんだけどねぇ
そうしてベルの方を見てみると、なんだかこっちをジッと見ている気がした
まだ翌朝
砂嵐もすっかり止んで今度こそ出立だ
また砂漠を超えていかなければいけないから少しだけやだなぁって気持ちが・・・
いやこんなことで旅を諦めてちゃ世界中なんて回れないよね
街の北から出て、そのままずっと来たに向かうと王都らしい
当然空に浮かぶ看板もあるから迷うことはない
まあここからはいつ砂嵐が来るか分からないってのが怖いところだけどね
もしぶち当たったらどうしよう
「考えても仕方ないです。とにかく今は先を急ぎましょうか」
フェディの言う通りその一歩を進みだした
景色はまたも同じたくさんの砂山
この景色が変わらないって言うのも歩くのが億劫になる原因だと思うのよね
「暑さは何とかなったけど、魔物やっぱり多いわね」
街を少し離れただけであのサソリ魔物の群れが出て来た
まあ美味しいからいくらでも狩れるけど、それにしても多い
今では割と下級魔法も使えるようになったサクラも手伝ってくれる
「ファイアー、ファイアー、ファイアー」
この子の下級魔法、結構な威力が出てる
やっぱり魔力って威力にも影響するのかな?
「ライトジャベリン! エルライトアロー!」
リーリーの方も広域を攻撃できる魔法で攻撃してくれて、みるみる群れの数は減って行った
100匹近い数がいたけど、全部があえなく僕らの食料、保存食、売却用素材となったのでした
その先も砂漠の魔物は数多く表れて、見たことのない全身に棘があるアーマーリザードとか言うのも出てきたけど、僕の剣で簡単に斬り裂けた
一応Cランクの魔物だったらしい
素材もまあまあ高値で売れるらしいから当然袋に収納しておいた
味はと言うと、とんでもなく臭いから食べれなかったよ
そもそも食用にされない魔物らしい
「ふぅ、魔物多くて疲れた」
「そろそろ休みましょ。サクラも疲れてるみたいだから」
「そうしようか」
まだ日も高いけど一旦休憩と言うことで、魔物避けの結界を張って食事とした
しまっておいたサソリ肉を生でいただく
サクラに氷魔法で冷やしてもらっていたのですっきりと美味しくいただけました
休憩を終えてまた歩き出そうとすると、ぽてっと何かがサクラの手から落ちた。というよりジャンプした!?
ベルが地面にスタッと立って、こちらをジッと見ている
「ベルー、ダメだよ私の手から逃げちゃ」
「ごめんよサクラ、でも私は言わなければならない。君たち・・・、私を見つけてくれた君たちにね」
「うそ、しゃべってる?」
「何ですかこれは、こんなこと・・・。もしかして、アーティファクト? 姫、アーティファクトはどんな危険があるか分かりません。下がってください」
「ああそう警戒しないでほしいな。私は君たちに危害を加えるつもりはないよ」
ベルはそう言ってウィンクした
一体何なんだこのぬいぐるみは・・・




