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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
1章

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44/94

44 メスケモ、教団と戦う17

 僕の加護、神獣はどうやら願いの力に反応するらしい

 願いが強ければ強いほどにその力を増す

 女神様に教わらなくても分かった

 それが僕の神獣の加護、いや、神獣としての力なんだ

 それを理解し、改めてこの力を振るう

 力の名は神獣ではなく、キャトラニェリア

 そして正しく理解した

 僕は神獣キャトラニェリアなんだ

「よーし、これならいける! 皆僕に任せて!」

 願いの力は目いっぱい溜まった

 何でもできるような気がしてくる

「ネネコちゃんがまた、光って・・・」

 リーリーの言う通り、僕の体は前この力を使った時みたいに輝き始める

「な、なんだそれは、邪悪、あまりにも邪悪な力! やはり君たち、いや君は邪神ニャードリーアの使いか!」

 教祖の男が恐れるかのように叫んでいる

 でも関係ない

 まずはあの可哀そうな人たちを救わなくちゃ

「キャトララヴァルア」

 この世界の言葉で女神の慈愛

 ウネウネと蠢き僕の手を掴もうとする彼ら

 その手をはねのけると、そこから被害者の人々が崩れ落ちて元の人の姿に戻って行く

「嘘だ! 僕のジュアコザが!」

 僕の力がジュアコザと呼ばれる彼らに流れ込んでいき、かためられていた人々が続々と人の姿に戻って行く

「よし!」

 男は頭を抱え、信じられないと言った表情で僕を見る

「なぜだ! ここからだった。ようやくジュアコザも完成したのにどうして! ヴァシュルア様の加護が僕にはついているって言うのに! ありえないありえないありえない!」

 男は顔を大きくゆがめて地面に拳を打ち付けている

「もうやめろ、ヴァシュルア教団教祖エルド・リーヴェルトの息子、ワズム」

 アビィーさんがこの男の名前を告げる

「エルドは真にヴァシュルア教を信仰する信者だったはずだ。なのになぜおまえはここまで歪んだ」

 そう言えば教祖が変わってからおかしくなったって言ってたっけ

 元々教団の教えは厳しい人生を生きるために試練を乗り越えて成長する

 その結果人々は幸せを得れるというものだったはずだ

 それが今では試練が厳しく辛く苦しいものであればあるほど死後幸福に至るというものにねじ曲がっていた

 そしてその試練の結果死を迎えることこそが最大の喜びだという

 そんなもの、本当にそんなことが幸せにつながると、この男は本気でそう思っていたのだろうか?

 いや思ってたからここまでおかしくなったのかもしれない

 ただ、教団の信徒たちも深く信じていたってことは、少なからず人の心を救っていたのかもしれない

「まだだ。僕のヴァシュルア様に対する思いはこんなものじゃない。ヴァシュルア様は言ってくださった。試練こそが人を救い、死を持って完結することこそが幸福へ至る道だと」

 ワズムは何かをブツブツと言っている

 だけどもう終わりだ。これでヴァシュルア教は元の正しい教義を持った宗教に戻ることだろう

 戻るといいけど・・・

 だってヴァシュルア教だって本当は人々を救い導くためのものなんだから

「まだだまだだまだだまだだまだだまだだまだだまだだまだだ・・・・・・。まだ、終わっていない!」

 突如ワズムが立ち上がると、祈るように天を仰ぐ

「ヴァシュルア様! どうか僕に力を!」

「何言ってんだ。ヴァシュルア様が教義を捻じ曲げたお前に力を貸すわけないだろう」

「いや待ってアビィーさん! 様子がおかしいよ!」

 ボコリとワズムの背中が盛り上がる

 そしてその背から禍々しい異形の手が複数生えて来る

「ああやはりやはり、神はそこにおいでなのですね。我が信仰心は間違っていなかった。僕こそが、神の代弁者だったんだ」

 おかしい、何もかもが

 ヴァシュルア様はそもそも彼を止めようとしていたはずだ

 止めるために声を上げていたけれど、力を与えるなんてことはしていない

 それはニャードリーア様の言葉からも分かる

 じゃあいったい誰が彼に力を!?

 明らかに何か力を得ている

 そしてワズムは人ではなくなり、完全に異形の怪物へとなり果ててしまった

「あああああ!これは! 神の力に間違いない! 僕はこの力で世界中の人々を導き、幸せにしてあげるんだ!」

 こいつの思う幸せは人が死を持って得るというもの

 じゃあ

「さて、まずは君たちから天に返し、幸福を与えようか」

 見た目は本当に人とかけ離れた化け物だけど、その見た目で普通に話してくるのがさらに不気味だ

 大きさは十メートルはあるかな?

 でも今の僕は負ける気がしなかった

 ワズムが多腕で攻撃してくる

 こいつの攻撃方法は力任せに殴るだけで、しかも大きくなった以外に力は感じなかった

 その攻撃を避けて大剣で腕を斬り飛ばす

「グアアアア!! なんだこれ! 僕の腕が!」

 それでも向かってくるけれど、新たに生えて来た腕は全て斬り落とした

「ねえワズム、君は何がしたかったの?」

「僕は人を救いたい! 人々を! 僕みたいに悲しみに暮れる人を救いたいだけなんだ!」

 それは彼の心からの叫びに思えた

 また攻撃をしてくるけどそれを受け止めた

 その時彼の記憶が僕に流れ込んできた

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