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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
1章

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34 メスケモ、教団と戦う8

 大きな扉があった

 僕でも見上げるほどの巨大な扉だ

 一体何トンあるんだろう?

「リーリー、アビィーさん下がってて、僕が開けてみる」

 扉に手をかける

「ふんぬぬぬぬ」

 ぐっと力を込めると割と労せず開いて行った

「うわっ!」

 ムワァと邪悪な気配が中からあふれ出してくる

「う、なにこれ、頭が痛い」

 ビリビリと肌に絡んでくるその気配は扉の先にあった

 それは人の形をした何か

「gキガぎゅyryryryryオド」

 何を言っているのか分からないけれど、何かを喋っている

 そいつが手を伸ばすと明らかに邪悪な気配が増して僕の体にまとわりついてくる

「うぐ、頭痛い」

「ライトルーン!」

 リーリーの魔法がそいつの手を吹っ飛ばした

 だけどその腕はすぐに再生して僕につかみかかってくる

「おっと」

 僕は大剣を出してそいつの手を受ける

 激しい金属音が部屋に響き渡り、僕はその腕を押し返した

「こいつなんなんだよ!」

「わ、わからん。あたしもこんなの見たことない」

 元冒険者のアビィーさんでも見たことがない魔物?

 魔物にしては人っぽい気もするけど、気配はヒト種じゃない

 そいつの攻撃は遅く、簡単に見切れるけど、かすっても危ない。そんな気がする

 攻撃方法もめちゃくちゃで、パンチしてきたかと思えば避けたはずの腕がグニャリと曲がってまた攻撃に転じる

 本当に遅いけど怖い

 人型なのにまるでそれを活かしていな戦い方

 あまりにも気持ちが悪い

「じゅgkレnオゴ、デレドmmオド」

 攻撃の手が止まり、こちらを指さし何かを喋っている

 そしてそいつは頭を抱え苦しんでいるように見えた

「いた、い」

「え!? 今確かに痛いって」

「ああ、あたしも聞こえた」

「痛い、助け、て」

 助けを求めている?

 一体こいつは何なんだ?

「お願い、誰か、g、kkkghああ、痛い痛い痛い痛い!」

「リーリー! これって」

「いいえ呪いや状態異常の類じゃない! こいつはヒトじゃないわ! もしかしたらヒトの言葉をまねているだけなのかも」

 でも次の瞬間そいつの顔が変わった

 小さな少女の顔に

「助け、て、痛いよ」

「ネネコちゃんごめん、間違ってたかも。こいつは、この子は・・・。今の一瞬だけだったけど、確実に、エルフの子供よ!」

 衝撃的だった

 ヒトの顔が出た時だけ、確かに僕もその匂いを感じた

 街で会ったエルフと同じ匂いと気配

「ねぇ、これどうしたらいい? どうやったら助けれる?」

「そんなの、私も分からない。こんな症例見たことないもの」

 アビィーさんも首を横に振る

「苦しまないよう殺してやれ、それがあたしらにできることだ」

「そんな」

 そいつはまたこちらに向かって攻撃してきた

 しかしやっぱりその攻撃は遅い

「ネネコちゃんこれって」

「うん、多分自我が消えたわけじゃないんだ。必死であの子が抵抗してるんだと思う」

 これなら救える可能性があるかも。でもどうやって

 子供が苦しんでいるのに僕は本当に何もできないんだろうか?

 僕の攻撃手段は物理攻撃のみ

 魔法が使えるわけでもないし、スキルも全て物理的なもの

 リーリーも自分で使える魔法ではどうしようもないと言っているし、アビィーさんにしても僕と同じく物理派だ

 なすすべなし何だろうか? 本当に、この子を救うこともできずに殺すしかない?

 そんなことはない。きっと救ってみせる

「とにかくできうる限りのことをしよう! 話はそれからだ!」

 僕は大剣で攻撃し、すぐに再生するけどそこを片っ端から斬る

 それでも彼女は痛ましく叫んで暴れる

 彼女を覆う黒いものはいったいなんだろう?

 それが分かれば対処できるかもしれない

 大剣からもっと早く動ける直剣に変えて黒いものを切り裂き続ける

「リーリーこれを調べて!」

 切り飛ばした一部を掴んでリーリーに投げ渡す

「うわっと。うへぇ気持ち悪い、うねってるよこれ。でも任せて!」

 リーリーは解析の魔法を使ってその黒いものを調べ始めた

 その間僕は彼女の相手をする

 斬っても斬っても再生するから効いているかもわからない

 しばらくそんな戦いが続いた後、リーリーの解析が終わった

「分かったわ! これはムモゥってCランクの魔物よ! でもおかしいの。人間に取りつくような魔物じゃないのに」

 黒いのが魔物?

「どんな魔物なの?」

「体を霧状にできるんだけど、普通に物理攻撃が効くはず。でもなぜかその子に取り憑いてるのは効いていないみたいね」

 魔物が何で取りついているのかは分からないけど、ともかく魔物なら倒せるはずなんだ

 それなのに一向に倒せる気配がない

 少女もさらに苦しそうに頭を抱えている

「どうにかして、どうにかして、どうにかして助けたい! お願い。この子を助けたいんだ!」

 すると僕の体の中から何か力が湧き上がってくる

 これって

「そうか、これが・・・。発動条件も大体わかった。女神の加護、神獣!」

 僕の体に変化が起こる

「ネネコちゃんが、光ってる?」

「なんだなんだ! 何が起こってんだこれ! あたいの知らないことが起きてるぞ!」

 僕は体が熱くなり、体毛が白から白銀に変わる

「ネ、ネネコちゃんなの? 何なのその姿」

 体毛の色が変わったのは分かったけど、他は自分では見えない

 でも体が軽いし、力が湧いてくる

「待ってて、今助けるから」

 僕は彼女を掴むと、お腹に手を当てて掴んだ

 靄を掴んだというより、なんだか本体を掴んだ感触

 そしてその靄から彼女を引っ張り出した

 なんだろう、取り憑いてるのを剥がしたって感じじゃなくて、分離を解いたって感じがする

「リーリーお願い!」

 少女をリーリーに渡して僕は手に残ったムモゥという魔物を握りつぶした

 弱っていたのかそこまで強くなかったな

 通常ならもっと苦戦していたと思う

「ここじゃ施設がないから一旦戻りましょう。他に何もないみたいですし」

「うむ、後で正式な調査隊を派遣しておこう。チッ、手掛かりはほとんど残されてなさそうだな」

 アビィーさんは悔しそうにしている

 ここは確実にヴァシュルア教団の研究施設があったみたいだけど、今は何かが書かれた紙がばらまかれているだけだった

 その内の一つになんだか不穏なことが書かれていたけど、今はこの少女を街に連れて帰るのが先だ

 調査隊も派遣されることだし、後で報告を聞こう


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