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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
1章

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30/94

29 メスケモ、教団と戦う3

 トール君は無事家に送り届けた

 何故彼を狙ったのかはまだ分からないけれど、親子の再会を果たした二人を微笑ましく見つめる

 依頼達成のサインをもらってギルドへ戻った

 ちなみに彼が生贄にされそうになったことをギルドに報告したところ、しばらくの間護衛を立ててくれることになった

 ここのギルドマスターが子供好きで、何としても守るようにお達しがあったのよね

「それで、その男がぁ、先ほど言ってた卑劣な誘拐犯ですかぁ? ギルドマスターが怒ってましたぁ、すごーくすごーく怒ってましたぁ」

 ちなみに護衛に着いたのはそのギルドマスターらしい

 ちらっとしか見てないけど、多分ドワーフの女性で、巨大な槌を持ってた

 元Aランクだとか

 取りあえず担いでいた男をそのまま渡す

 一応こいつもリーリーに呪いを解いてもらっている

 というか解けたってことはヴァシュルア教の教徒に間違いない

 でも今までの奴らと実力がまるで違う

 この僕の目で追えない速度で動いたんだから・・・

 いやたぶん違う。あれは速度じゃなくて転移のようなものだ

 動くときまるで気配がしなかった

 男自体の気配はあるのに、急に目の前や後ろに気配が現れたんだから

 どういうことだろう? 魔法には一応転移魔法と言うものがあるらしいけど、それは魔方陣を書いて、書いた場所と場所を繋ぐもの

 魔方陣なしに転移する魔法は遠い遠い昔になくなった魔法で、今は多分もうない

 いや、もしかしたら復活させたのかもしれない

 古代の魔法は今の魔法より優れていたとされているけど、研究が進んでいないせいかほんの一部しか復活させれていない

 その復活した魔法も役に立たないものばかりだ

 まあ男の捜査が進めば色々と分かることもあるかな


 ギルドで報酬をもらって外に出る

 銀貨をピンと指ではじいて上に飛ばし、落ちて来た銀貨を袋に入れた

 ちなみに男の情報は僕にも教えてもらえることになっている

 クラウベルさんを守ることにもつながるからね

 取り調べはギルドの人に任せて僕はトール君の所へもう一度行くことにした

 助けたからかすごくなついてくれてたしね

 彼の家に行ってみると多分ギルドマスターと思われる小さな戦士が立っていた

「誰!? ここの子はあたしが守ってんの! ぶちのめされたくなかったらどっか行って!」

「待ってアビィーさん! その人が僕を助けてくれた人だよ!」

 トール君が出てきて僕に抱き着く

 ヤダこの子僕のお腹を吸ってるじゃない

 いやまあいいんだけどね

 彼の頭をなでなですると、アビィーと呼ばれたギルマスも警戒を解いてくれた

「なんだあんたがこの子を助けた猫ちゃんか。いやぁでっかいねぇ」

 彼女は僕の脛あたりをポンポンと叩く

 あまりにも身長差があるからそこまでしか手が届かないんだよね

「見ての通りこの子はあたしが守ってるから大丈夫!」

 自分の背丈よりも大きな槌をくるくると軽々回して地面にドスンと置く

 地響きがしたところを見るに、相当な重さの槌みたいだ

「お、この大槌に目が行くってことはあんたも好きだねぇ」

 槌を僕の方に向けると、その説明をし始めるアビィーさん

「これはディトリッパって特殊な大槌でね。地面に打ち付けると敵を確実に穴に落とす。穴の深さは任意でね、どこまでも深く深く落とすことも可能だよ」

 なんか怖いこと言ってるけど、とりあえずすごい、さすが、なるほどで聞き流しておいた

 この手のタイプの自慢話は長い


 トール君も大丈夫そうだったから今日は宿に戻った

 そしてその夜

 夢の中に死に瀕したとき見た女性が現れた

「ハロー。ハロー。ハローってば! この!」

 ガツンと拳骨される

 夢だってはっきりわかってるのになぜか痛い

「えっと、あなたは?」

「何で覚えてないの!? え、あったよね私たち」

 僕は考えこんで彼女のことを思い出そうと必死に頭を回転させた

 そしてうっすらと思い出し・・・

 誰だろこの人

「おい!」

 女性はべたなツッコミを入れて来る

「すみません全然思い出せなくて」

「おかしいなぁ、転生するとき記憶回路がおかしくなっちゃったかな? 色々詰め込んだし」

「へ?」

「おまけにバカになってる」

「おい!」

 女性はなんだか妖艶な笑みを浮かべて僕を見つめる

「じゃあ改めて自己紹介でもしよっかな。ハロー! 私は皆のアイドルニャードリーアちゃんです!」

 女性は僕の予想だにしない名前を口にした

 彼女こそ、ニャード教の御神体にして、光と豊穣の女神ニャードリーアだった


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