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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
1章

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28 メスケモ、教団と戦う2

 たどり着いたのは山の崖壁面にある大きな穴

 その穴はどこまでも続いているような虚空となっている

「真っ暗だよ中」

「ライト」

 リーリーが光で内部を照らしてくれる

「ありがとう。蝶は、えっと」

 光る蝶は律儀に待っていてくれた

 再び案内を開始してくれたのでその後について穴の奥へと入って行く

 しばらく進むと何かの羽ばたき音が聞こえてきた

「リーリー何かいるよ」

「たぶんエッジバットね。風魔法が得意なコウモリ魔物よ。そんなに強くないんだけど、噛まれたら病気になっちゃうから気を付けて」

 前世でもコウモリに噛まれると狂犬病になる危険性があるっての聞いたことあるな

 何にせよ野生動物、というか魔物は危ないか

「来た!」

 羽ばたきの音が激しくなり、100匹近いコウモリが襲って来た

 こいつらは血を吸うタイプのコウモリじゃなくて、獲物を襲って喰らうタイプらしい

 ところどころから風魔法のウィンドブームという超音波攻撃が襲ってくる

 リーリーが神聖魔法の結界で防いでくれるおかげでこっちまで攻撃は届かない

 そこを大剣で斬って斬って斬って、とにかく斬って倒す

 一匹一匹はまったく強くないけど、集団で来るからやっかい

 100匹以上倒してようやく打ち止めになった

「大丈夫ネネコちゃん? どこかかまれたりは?」

「安心して、噛まれてないから」


 コウモリの群れを超えて蝶を追い、さらに奥へ

 それにしてもこんな危険なところへどうやって入って行ったんだろう?

 子供一人じゃ無理だよ

 何かに攫われたとか?

 分かれ道もあり、結構入り組んでるし、虫の魔物も出るしでなかなか大変だけど、子供の命がかかってるから臆さず進む

 ちなみに虫の魔物、そんなに強くないけどとにかく気持ち悪い

 Gみたいなのやカマドウマみたいなのとかね

 それが体長1メートルほどの大きさになって迫ってくるんだよね

 リーリーもさすがに引いてるし

 そして、蝶が洞窟の奥にある大きな空間へと到着した

 そこで蝶が消える

「おーい、トールくーん! ここにいるのー?」

 大声で男の子の名前を呼ぶ

「う、うぅ、助け、て」

 か細い声が聞こえて来た

 そっちの方に明かりを向けて見ると、両手両足を鎖でつながれた男の子を見つけた

「トールくん?」

「うん・・・。僕、森で花を、取ってたら、急に袋を被せられて、うっ」

 体のあちこちに傷がある

「私が見るわ。ネネコちゃんは周囲を警戒してて」

「分かった」

 耳を澄まし、鼻で嗅ぎ分けて安全確認をする

 今のところ僕ら以外の匂いはない

「これでよし、とりあえず多九処置はしたから、連れて帰って安全な場所で手当てしましょう」

 僕はトール君を抱えて広間から出ようと立ち上がった

「その子を返してもらおう。大事な生贄なのでね」

 声はなぜか他に誰もいなかったはずの広間の奥から響いていた

「え!?」

 警戒していたはずなのに、僕の鼻も耳もすり抜けてそこに立っている

 陰気な雰囲気のする男だ

 そいつはニタッと笑うと僕の目の前にいきなり現れた

「あぐっ」

 そして、お腹に鋭い痛みが走った

 お腹を見ると短剣が深く刺さっていた

「あ、れ?」

 殺気もなかった

 あり得ない。ビーストは気配に敏感だ

 この僕が全く反応もできなかったなんて

「特製の毒が塗ってある。神聖魔法も聞かないやつだ」

 お腹からどんどん痛みが広がって行って、胸が苦しくなる

 口から血が溢れてきてどろりと流れ出した

「ネネコちゃん!」

 リーリーが解毒魔法と回復魔法をかけてくれたけど、治る気配がない

「あ、リー、リー、ごめ、僕」

 意識が遠のいていく

 まだトール君を救えてないのに

 それにまだ僕、10年しか生きてないのに

 目の前が暗くなって何も見えなくって来た

 でもそんな中、なぜか小さな光が見えて来る

 その光に手を伸ばすと、何かに手を掴まれた

「ふぅ、危ない所だった」

 声がし、視界が開けて、知らない女性が立っていた

 美しい銀色の髪に猫耳!? 尻尾もあるけど、ビーストじゃなくて人間とビーストのハーフ、獣人みたいだ

「あれ、ここは?」

 さっきまでいたはずの洞窟じゃなくなっている

 目の前の女性はどこか神聖な感じがして、見ているだけでなんだか幸せな気分になって行く

「さて、ここをこうしてこうやって、はいはいははいと」

 その女性は僕の体をいじくりまわす

「よし、じゃあ行ってらっしゃい!」

 何か言う暇もなく背中をポンと叩かれて、僕は再びあの洞窟の中で目を覚ました

 目の前には涙でぐしゃぐしゃのリーリーの顔があった

 胸も苦しくないし、傷すらなくなっていた

「え? 僕、生きてる?」

「何なんだお前、その毒は俺の特製だぞ! なぜ生きている!」

 立ち上がるとなんだか力も漲っていた

 男はまた視界から消えたけど、今度は男が何処に行ったのかすぐわかった

 後ろに出現した男を掴み、地面に押し倒して顔面を殴る

 ゴシャッという音がして、男の鼻が折れた

「ぐあああ!!」

 痛みでもがいているところをさらに投げ飛ばして気絶させてやった

 なんだろう、あの女性にポンってされてから体がすごく軽いし、すごく力が溢れて行く

「ネネコちゃん、大丈夫なの? お腹は? 毒は?」

「よくわかんないけど大丈夫っぽい。とりあえずこいつも連れて行こう」

 まだ怯えているトール君はリーリーに背負ってもらい、僕は男を担いで無事洞窟から脱出した

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