勇者の敵1
アヤカシが襲ってくることもなく無事トウゲンへと到着した勇者たち
襲ってくることはたまにしかないとはいえ警戒していた一行は拍子抜けした
「まああたしらに恐れをなして襲ってこなかったんだよきっとーへへへ」
ミリがそう言うが、次の瞬間そうでないことが分かった
突然勇者たちの前に現れた褐色の少女
少女はまるで野生動物のように首をかしげながら勇者たちを見つめる
「え、なに? なんかこの子すごく強い気配を感じるんだけどー!」
ミリは慌ててナナミの後ろに隠れる
「お前らつよいの! オリも強いから戦うの! いざしょうぶ!」
褐色の少女はいきなりオセルを掴むと投げ飛ばした
「ぐお!」
「オセルの体を片腕で!?」
少女は見た目は華奢だが、その力は勇者たちに劣らないどころか上を行っている
「なんなんですあなたは!」
エアルが植物を使い拘束しようとするが、ひらりひらりと舞うように華麗に避ける少女
「おお、すごいのそれ! オリそんなの初めて見た!」
興奮する少女だが、勇者たちはギリリと歯ぎしりする
すぐに分かった
彼らは逆立ちしようとも彼女に勝てないことが分かったから
「なぜこんなところに、ここまでの化け物が・・・」
「化け物? そうだ! オリは化け物! 今は違うけど、今はアヤだけど。オリはアヤカシ、アヤカシからアヤになったの!」
その言葉で勇者たちは驚いた
「アヤカシ!? 昔聞いた話では大きな龍のような魔物、いえ、妖魔だったはずです! 何故人型に?」
「さぁ? オリにもそれは分からないけど、ネネコがオリを殺してくれたからこうなったの! ネネコはすごい!」
「ネネコ姫が? アヤカシを人型に変えた? 意味が分からない」
そう話している間にもアヤはどう攻撃しようかと機会をうかがっているようだった
だが
「何をしているのです!」
ゴゲンと拳骨がアヤを襲う
「いったぁあああい! ママ痛い!」
「ママではないですが、はぁ、すみません勇者殿、私の家族が迷惑をかけました。アヤカシから人になってからはむやみに暴れないよう言い聞かせていたつもりなのですが・・・」
「やっぱりこの子、アヤカシなんですね」
ナナミは恐る恐る彼女に近づいた
「む、尻尾触るかの? オリの尻尾はスベスベで気持ちいいの」
「あ、触らせてもらうね」
お言葉に甘えたナナミはそのすべすべの尻尾をスリスリし始めた
「んひょぉおお! 尻尾ナデナデ気持ちいいの!!」
変な声を上げるアヤに割と引いている勇者たちと、お構いなしに撫で続けるナナミ
一応は同じ龍種であるからか、どうやらお互いに惹かれ追っているようだった
「ふむ! ママが怒るからもう襲わないの! オリと一緒に城に来いの!」
落ち着いたアヤ、そして頭を抱えるアマノと共に勇者たちは城へと招かれて行った
その間もナナミはアヤの尻尾をずっと持って歩いていた
アヤもまんざらではないため誰も止める者はいない
「皆さん、どうぞゆっくりとくつろいでください。それから弟子にあったようですね。あの子の匂いがしますから。弟子はどうでした?」
どうやらアマノは勇者たちについたネネコの匂いを感じ取り、出会ったことを察したようだ
可愛い弟子である。心配していたようだった
勇者たちはネネコの可愛さを存分に語り、アマノもまたネネコの努力性を語って聞かせたのだった




