勇者の旅4
衝撃の事実を勇者たちに話したラルズラール
勇者たちもその言葉を飲み込むのに時間がかかった
「取りあえずは個々の滞在許可を出す。協力はあまりできないが、情報は提供しよう。少し俺は用事があるから戻ったら書類を渡そう」
「今じゃ駄目なのですか?」
「書類の用意ができていない。色々な拠点に分散してあってな。それを集めて来るのにも時間が少しかかる。一週間ほどくれないか?」
「そうでしたか、分かりました。よろしくお願いします」
「これが滞在許可証だ。天死の連中に怪しまれないためにも、勇者と言うことは隠して通常の信徒として過ごしてほしい」
六人分の許可証を受け取り、部屋を出る
「一週間でありますか。少し時間がかかるでありますね。まあでも、まさか本物の勇者ラルズラール様だったとは思いもよりませんでしたよ。それに天死とかいう組織の話、これはきっと前教祖のこともかかわりがあるはずでありますよ」
トアは顎に手をやりうーんと考える
「本当に信頼できるかは正直分からないな。俺たちでは判断しかねる問題じゃないか? ここはクレナイ様を頼って」
「いえ、クレナイ様を巻き込むとなると恐らく大惨事になると思います。ラルズラール様のこととなると暴走し、一国が滅びかけたとの歴史もあるほどですから」
「それも、そうだな・・・」
ひとまず勇者たちはここに滞在してしっかりとラルズラールを見極めることにした
翌日、すでにラルズラールは国を発っていた
どうやら彼は転移の魔法が使えるようで、自在に場所を移動できるらしい
「さて、俺は東区の方を見て来る。住民区画のほうだな」
「じゃ、じゃあ私は西区を。商業区ですね」
「吾輩はミリ殿と南区の教会区周辺を見て回るであります」
「オッケー、あたしはトアと一緒ねー」
「では~、私とエアルは北区の~、病院のほうですね~」
オセルは住民たちの住む東区、ナナミは商店などが多い西区、トアとミリは大聖堂がある教会区、そしてアリアとエアルは病院が連なる南区を見て回ることとなった
来た時にすでに手分けして調べていたが、内部までは手が回っていない
しっかりと隅々まで自分達の目で確かめるため、散開して調査に向かう一行
調査後は大聖堂前で落ち合うことにした
とある国、とある場所
ラルズラールは天死にばれていない拠点の一つで書類をいくつか収納にしまい込んだ
彼の持つ収納袋は気密性が高く、彼以外に使用することはできない
機密書類を運ぶにはうってつけだった
「勇者か・・・。彼らは俺のいたときより明らかに・・・。だが、あの目。あの目は勇ある者の目だ。彼らならもしかしたら託せるかもしれん」
書類に目を通し、ふーと息を吐きながらまたしまい込む
「もし天死に俺の裏切りがばれれば、俺でも殺されるかもしれん。すまない当代の勇者たち。重荷を背負わせることになるかもしれん。それに、クレナイ・・・。あの子に会うために俺は」
当時深く愛し合っていたラルズラールとクレナイ
だが数千年前から二人は会えていなかった
ラルズラールが元の世界に帰った時も挨拶すらできずじまいで突如としてだった
そのため、彼にはクレナイのことが本当に心残りであった




