天を討つ者2
元勇者ラルズラールがアルスランドで救いを求める人々に手を差し伸べている最中
彼の所属している組織から呼び出しがあった
急ぎ組織の本拠地へと戻るラルズラール
「呼び出しとは珍しいな。何の用だ? 俺は割と忙しいんだが」
「うう、うう、ううううう」
「泣いていては分からんぞリエ」
ずっと泣いている女性はリエ・ル・ルールー
詞天と呼ばれ、詠んだ詞を現実にする力を持った天死だ
「う、ううう、エンドが、死にました」
「な!?」
ラルズラールは眼を見開いて驚く
彼ほど実力はないものの、エンドは元の天使族特有の力も相まって、この組織で二番目に強いラルズラールの次に名を連ねる実力者だった
その彼女が死んだのだ
衝撃を受けるのも当然だった
「なぜ、何があった?」
「さーね、油断でもしてたんじゃない? あの女増長してたし」
「それでも簡単に、ううう、破れるような方では、よよよ」
泣きじゃくるリエを尻目にラルズラールは監視用の魔物の目を使い、過去の映像を再生させた
そしてそこに映る映像に一同は驚く
「時間を操る力、なのか?」
「恐らく、うううううああああ、まさか最弱が、うううう」
もしそうならば彼らの計画にも支障が出る
なにせ彼女が完全にその力を扱えるようになれば、進めた計画も戻される可能性もあるからだ
「早急に勇者ナナミを消す必要があるんじゃない? 私がやってもいいんだけど? ナナミって、被虐心くすぐられる顔してんのよね」
「お前の趣味をとやかく言うことはしないが、今その趣味をナナミ相手に行うのは得策じゃないだろう? 生きていれば時間が戻り、また元の木阿弥になるんだからな」
「じゃあ普通にぶっ殺す。グチャグチャにしてあげる」
「ううう、ガブリエーラが行くなら、ワタクシも、行きますぅううう、あ、ああううう」
リエはガブリエーラを愛し、任務以外ではほぼ一緒にいると言っていい
「いいよリエ、一緒にやろうよ」
「ふむ、リエが行くならば大丈夫だろう。必ず殺せ」
「分かってるって」
二人は連れ立って勇者ナナミ殺害のため動き出した
「俺も急がなければな・・・。クレナイ、あと少しだ。待っていてくれ。俺は必ず」
ラルズラールは首から下げたペンダントを開き、その中にあるクレナイの絵を見る
そしてその絵にキスをし、大切に懐に仕舞いなおすとアルスランド王国へと戻って行った
そんな彼らをずっと見守る者
その者はポケットから懐中時計を取り出して時間を見る
その時計は壊れているのか動いていなかった
何を言うでもなく、その者は懐中時計をしまって七天死たちが腰かけていた椅子を見、その椅子から離れた位置にある椅子に座ってフーと息を吐いた




