12 メスケモランクを上げる4
???階層
階段を降りると薄暗くて、前方が見えにくい
まあたぶんここ真っ暗だ
僕の目は猫と同じで暗がりでも多少見える
だから薄暗い、くらいの見え方だ
「慎重に行こう。どうもこの迷宮、何かがおかしい」
ゆっくりと廊下を進んでいく
気味の悪い空間だ。幽霊でも出そう
あ、どうしよう。僕アンデッドの類に有効な攻撃手段、持ってないんだよね
ま、まあここってアンデッド系魔物が出る場所じゃないし、大丈夫か
そんな心配をしていれば当然のようにフラグが立つわけで
前方から白い靄のようなものが漂って来た
「アアアアアアアアア」
かすれた悲鳴のような声でそいつは近づいてくる
「げ、まさか本当にアンデッド系が出るなんて。もうどうしたらいいのよ」
取りあえず剣を構えて斬り抜いてみる
「ゲエエエ」
靄はあっさりと斬れて消滅した
「この剣、もしかして聖属性なのかな?」
アンデッド系の魔物に有効なのは、魔法、魔剣や聖剣や神剣、あとは聖属性が付与された武器や神性魔法なんかだ
僕は聖属性をこの剣に付与したことはない
父さんたちも代々受け継がれてるってことと、真の使用者が使うと、本来の力を取り戻すってことくらいしかわからないって言ってた
まあ今はこの武器だけが頼りだ
前方からたくさん来ているアンデッド魔物のゴーストたちを何とかしないと
「えい、この、消えろ!」
三匹を倒し、さらにそいつらの後ろから来ていた四匹を倒す
そこからさらに五匹を倒すと、ゴーストは打ち止めになった
「このフロアはアンデッドばかり出るのかな? にしても不思議だ。この迷宮どころか、この辺り一帯にはアンデッドが出るような場所はないし、そもそもなんで全五階層の迷宮にさらに地下が?」
考えても仕方ないし、今は先に進むことを考えよう
ゴーストの一団がいた場所から少し進むと、今度は前世の映画で見た通りのゾンビが出て来た
ジョージ監督のあの映画そのものみたいなのだ
「あああああ」
「うぉあああ」
一気に十体ものゾンビ
匂いに敏感な僕にとってこの腐臭は苦しい
「あああああああ!!」
次から次へと襲い掛かってくるけど、やっぱり動きって遅いんだ
まあ腐って骨も飛び出てるような死体が走るってのも不思議な話だよね
あ、僕は走るゾンビも全然アリ派です
まあこのゾンビくらいなら楽勝
首をポンポン撥ねてあっという間に全撃破
「う、生臭ーい」
剣が臭くなっちゃった
捨ててもいいようなぼろ雑巾でゾンビの血や肉片を拭き取って、ゾンビと一緒に焼いておく
一応マッチと油を持ってて良かった
さらに少し進むとゾンビの強化版、グールが現れた
ゾンビよりも知能とスピードが向上しているらしく、確かに動きがさっきのゾンビと違う
剣や盾、槍なんかを持った個体もいるし、多少戦えるみたいだけど、五階層のゴブリンに比べたら全然強くない
こっちもスパスパ首を撥ねてやったよ
グールはDランクの魔物らしいし、やっぱりここにふさわしくない
ゾンビと同じように燃やして先に進むと、道が左に曲がっていた
そこからさらに奥に進んでいると、壁から突然いかにもな幽霊が出て来て、笑いかけて来た
「アハァ」
「ひぃ!!」
かーなーりー怖い!
「怖いって!!」
ズバッと頭から一刀両断にすると、その幽霊は消えた
「こっわぁ、こんなのも出るんだ。こいつに比べたらゴーストやゾンビなんて怖くもなんともなかったな」
ホラー映画が好きでよくたしなんでいた僕だけど、それでもさすがにリアルは怖かった
ふぅとため息をついて正面を向くと、そこに血まみれの髪の長い女の顔があった
「あびゃっぱぁああああ!!!!」
驚きすぎて尻もちをつき、股が濡れる
「あわわわわわ」
ゆっくりとこっちに近づいてくる姿が、まさにホラー映画で見る幽霊の動きそのもの
「うわわわあ、来るな! 来るなぁあああ!!」
恐怖で濡れたパンツと防具のまま僕は後退した
あまりにも怖い!
一旦戻って入り口付近の階段で気配を殺す
「ひぃいい」
幽霊はどうやら追っては来ていない
ハァと安どのため息をついてからゆっくりと階段下を見てみるけど、どうやら奴はいない
階段を降りていき、先ほど霊がいた場所まで戻ってくる
もういない、かな?
恐る恐る廊下を進んでいく
もしかしてさっきのって徘徊型なのかな?
一定以上離れると追跡してこない、みたいな?
取りあえずは先に進めるし、警戒しながら進もう
ていうかどこかで下着と装備を変えたい
汚れたままそろりそろりと歩き、扉が見えて来た
「部屋?かな? 開けてみるか」
ガチャリと扉を開けてみると、六畳一間みたいな部屋が見えた
何だか神聖な感じがするから、もしかしたら休憩所みたいなものなのかも
とりあえず、下着と下の装備を変えるか
変えのパンツと、赤いマシラの毛皮で作ったスカートを再び取り出す
濡れた毛の部分を布で拭き取って・・・
うう、臭いが残るけど仕方ない。お風呂のあったとこまでは戻れないし
本当に仕方なくそのままパンツとスカートを履き、しばらく休憩することにした
あんな馬鹿みたいに怖い幽霊が出るなんて聞いてない
漏らすのも仕方ないよね




