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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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鬼の姫様と敵12

 馬車も順調に進み、三日後、アルスランド王国へと到着した

「うわーすごい! 山おっきい!」

「大きな山に囲まれていますね。姉様なら山を全部斬り飛ばして簡単に滅ぼせそうですね」

「駄目よクロハ、確かにできますが、むやみにそのようなことをしてはいけません」

 少しずれた説教をするが、この三姉妹の間では常識である

 アルスランド王国の巨大な神殿は国に入ると直ぐに見える

 真っ白なニャード教の神殿と違い、ヴァシュルア教の神殿は赤い

 アルスランドの神殿は他の国にあるヴァシュルア神殿とは違ってその赤さと巨大さは世界でも有名だ

 観光名所にもなっている

「すごい、真っ赤。血みたい」

「ほんと、綺麗な赤ですね」

 巨大神殿の前ではたくさんの信者がある男の説教を聞いていた

「試練とは人それぞれの心にあるもの。世界は試練であふれています。それを乗り越えたとき人は大きく成長できる。しかしそれは死を持って幸福に至るという話ではありません。試練とは死なないために乗り越えるべきもの。あなた達の命も、世界にある生命の命も、尊いもの。等しく美しいものなのです」

 しごく全うな話

 彼は本当に優しく、人々な話を聞き、相談に乗り、真摯に向き合っている

 理想的な教祖の姿だ

 宗教は人を救うためにある

 彼はまさしくそれを体現していた

 どこを切り取っても敬虔な神の信徒であり、人々を救済している聖職者そのもの

「聖人なみに慕われていますね。ですがやはりあの顔は、ラルズラールと同じ・・・」

 アマノはラルズラールをしっかりと見てみるが、普通の人間と変わらない

 むしろ一般的な冒険者と比べると弱い暗いの力しか感じない

(これが、かつての勇者ラルズラール・・・? ここにきて本当に勘違いだと思えてきました)

 ひとまず確認はできた

 あとはもう少し近づいてしっかりと顔を見ようと歩くが、ラルズラールが目端でこちらを見ていた

 その瞬間圧倒的な力の流れが見える

「く、これは、やはり間違いありませんね。勇者ラルズラール。なぜ現代に?」

 こちらに気づかれたためすぐに国を出た

 相手は強い

 このままでは妹たちに被害が出るかもしれない

「三人とも捕まりなさい! すぐ逃げますよ!」

「はい姉様!」

 三人がアマノに掴まると、アマノは力を使ってその場から逃げ出した


「ふむ・・・」

「どうしました? ラルズラール様」

「いえ、すみません少し考え事をしていました。相談を続けましょう」

 ニコリと笑って信者たちの話を再び聞き始めるラルズラール

 まだまだ世界は救われていない

 ラルズラールはそう思いながらため息を、信者にばれないようにつく

 勇者は世界を救う者

 宗教家は人々の心を救う者

 どちらも同じだ。人を救う

「すまないクレナイ。今しばらく」

 誰にも気づかれることなくその独り言は空へと消えていった

 自分の目的を完遂するためにはまだここを離れるわけにはいかない

 先ほど見つけた曲者も追う必要はない

 どうせ救いのあとにその魂は救済されて、世界から消えるのだから

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