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大好きなメスケモになりました  作者: 香草(かおりぐさ)
2章

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鬼の姫様と敵11

 馬車は首都ハートを目指して再び進み始める

 ハートからはさらに馬車で三日ほどかけてようやくアルスランド王国につく

 アルスランドは周囲を山々に囲まれた土地にある巨大な都市国家だ

 山に阻まれているため未だかつて侵略されたことがない

 それもこれもヴァシュルア神の加護によるものだと信じられているため、この土地がヴァシュルア教本山となった

 現にヴァシュルアはこの土地を祝福し、元教祖のワズムに祝福を与えていた

 元々ワズムは敬虔な信徒であり、人々のためにつくしていたのだが、ある日を境におかしくなった

 試練で死ぬことこそヴァシュルア教の本分と勝手に解釈し、暴走した

 アマノはそれらのいきさつを加味して考えを巡らせる

(ワズムには私も合ったことがありますが・・・。一言で言うとお人好し。とても試練で死ぬことこそ正義、などという考えには至りそうにない男でした)

 馬車の中、今まで得て来た情報を自分なりに精査していく

(やはり、ワズムは何者かにそそのかされたのか、それとも、操られていたのか。今は大人しく捕まり罪に向き合っているそうですが・・・。報告には彼は段々とその思想に染まっていったと自白しています。あの優しい性格からどうしてあそこまで歪んだのかは分かりませんが、そそのかされたにしても方針が真逆すぎますし、やはり精神的な操作をされていたのかもしれませんね)

 双子は眠り、コミネもうとうとしている

 そんな三人の頭を撫で、コミネもスーッと眠りについてしまった

(しかしです。ラルズラールにそのような人を操る力などなかったはずです。それも、自分が操られていると気づかず、強力な探知能力を有するフワイの目すら欺くような、そんな力・・・。他に協力者がいると見ておいた方がいいでしょうね)

 アマノは窓の外を見る

 夕日に照らされてきらめく草原地帯が広がっていた

(もしラルズラールに協力する者がいるのだとしたら、彼と同格なのかもしれませんね。いえ、もしラルズラールをも操れる存在なのだとすれば・・・。全盛期のラルズラールほどには強くなれたと自覚してはいますが、それでも彼を操れるほどの者、もしくは彼を従わせれるほどの実力者だとすると、私でも勝てる見込みがない、のかもしれませんね)

 アマノは今までにないほど不安な表情を浮かべる

 だがそれはほんの一瞬、瞬きほどの一瞬だった

 彼女は戦いの覚悟を決める

 相手次第では自分は生き残れないだろう

 大切な双子と家族

 彼女らを守るために力を付けて来た

 世界でも最強と言われるほどの力を得た

 エンシェントドラゴンの力すらも凌駕している

 名実ともにこの世界最強の生物であるのはアマノだ

 その彼女をもってしても、全盛期のラルズラールと同程度なのだ

 もしその彼以上に強い相手がいるのだとしたら、引き分けともいかず、相手に手傷を負わせることもできず、死ぬかもしれない

 死ぬことは怖くはないが、家族を残して逝くことはできない

 アマノはさらに力を欲した

 その彼女の心に、声が一つ、響いた・・・

「染まる? 堕ちる? 飲み込まれる? ならばゆだねて、心を、ゆだねて」

 アマノはその声を心の中で消し飛ばした

 惑わせる声など彼女には効かない

 自分に声をかけた何者かを能力を使って追うが、声の相手は消えた

 自分から逃げきるほどの何かが接触してきた

 アマノは自身の考えをより確証として捉え、ラルズラールを操る何者かの存在を確信した

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