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なんと!ブックマークが2件になっていました〜喜
本当に嬉しいです、ありがとうございます✨
どうでも良いことですが、作者は最近健康志向が高まっておりまして、野菜を摂るようになりました。皆さんも健康には気をつけて、頑張りましょう!
「今日は来てくれてありがとう。突然誘ってしまってごめんなさい、予定もあるでしょうに。」
「いえ、特にやる事も無かったので大丈夫です。お気になさらないで下さい。」
「「……。」」
き、気まずい。こういう時ってどうしたら良いのかしら。普通ならどこかの家がああで〜とか噂話に花が咲くんでしょうけど、私には友達がいませんから。そういう類の話は向かないのです。
美味しいカフェから帰った後、私は一通の手紙を受け取った。それがエメリア王女様からの手紙だと気づいて、恐れ慄くあまり手が震えた。
当日に返事をして、当日にお誘いの手紙をもらう事ってある!?ヴァンス様といい、エメリア様といい……兄妹は似るものなのかしらね?普通腹違いの兄妹といえば仲が悪そうなものだけれど、お二人は違うみたい。
これだけ早く手紙が来るなら、何か急ぎの用事でもあるのかも知れないと思って、すぐに返事を返した。という感じでトントン拍子に話は進み、次の週の休日に決まったため、今こうして馳せ参じているのだ。
女友達とどうこうというのは、「高校」以来で……ああ、「大学」では友達ができませんでしたので。勉強に必死になっていたら、いつの間にか大学生活を終えていました。だからどんな話をすれば良いのか分からず、つい無言になってしまった。
「あー……と、とても天気が良いですね….?」
「え、ええ……。」
「「……。」」
(ああ、本当に気まずいわ。これはどうすれば良いの?もういっそつまらないから帰りなさいと言われたほうが幸せだわ!何か、何か帰る理由はないかしら…。)
キョロキョロ辺りを見回すと、綺麗に咲いている薔薇しかない。赤、桃、黄色……これは、庭師の努力の賜物だわね。これほど見事に咲かせるなんて、きっと王国随一の職人に違いないわ。
頼んだら、一本くらい持って帰れるかしら?ーーいやいや、駄目よ。この王国のものは全て陛下のものと言われているのよ。そんな陛下の家にある花を摘んで帰ろうだなんて私はなんて愚かなことを……下手をしたら不敬罪だわ。
「……….薔薇に、興味があるの?」
「は、はい!貴重な席に座らせて頂いてるのに、気を取られてしまいました。申し訳ありません。」
「謝ることはないわ。ここの薔薇は私もお気に入りなの。」
「そ、そうなのですね。とても綺麗で、庭師の方が良く手入れされたのだろうなと感心していたのです。」
「ふふ、そうね。庭師の名前はトムソンというのだけど……彼は本当に凄腕なの。彼の手にかかればどんな植物も咲かせられるわ。」
い、良い感じじゃないかしら….!?良いわよ、良い感じだわ!
「私の屋敷にも腕のいい庭師がいるのですが……トムソンさんには敵いそうにありませんね。王女殿下は花がお好きなのですか?」
「そうね。好きだわ。王族としてはあまり良くないことだけれど。」
「ええと……花を好きになってはいけないのですか?」
「ううん、あらゆるものを。王族はね、何かに思い入れを持ってはいけないのよ。何かに固執することは、正しい判断を揺るがせてしまうから……私もお兄様たちも、勿論妹もそうやって教育されてきたわ。」
私は、何と言えばいいか分からなかった。王族という重い立場を私は知らないから、何も好きになってはいけないという考え方を否定したいのかもしれない。でも、彼女はそうやって生きてきて、それを正しいと思っているのよね。私が何を言ったところでお節介以外の何ものでもないでしょう。
ただ……何かを好きになれる幸せを知らない事は可哀想だと思う。誰かを、何かを好きになって分かることや、それを守るために頑張る力があるという事を。確かに何かに傾倒する事は正しさを失わせる事はあるかもしれない。けれどそれ以上に大事なことだと私は思う。ーーまぁ、言ったところでどうにかなる訳でもない。
「……….王族の方々は、厳しく教育されるのですね。」
「ええ、そうなの。勿論伴侶になる相手も同じように教育されるわ。間違っても夫や妻の愛を求めるような真似をしないように。」
「な、なるほど?それをどうして私に?」
「ーー今日貴女をここに呼んだ理由は分かる?」
「いえ、殿下にはただ会いたいそうだと言われましたので、私に何か用があるのだろうと思いましたが……」
「まぁ、そうだろうとは思ったわ。フレア様は何というか……純粋な方なのね。貴族の言葉をそのまま受け取るなんて。」
ここで、私は気づいた。彼女は私に警告をしに来たのだ。ただお喋りをしに来たわけでは無かったけれど、まさかそんな勘違いをされているなんて……。
「……….私がヴァンス殿下の妻の座を狙っているとお思いですか。」
「あら、意外と頭が回るのね。そういうことよ。」
「私は、ルイ様の婚約者です。」
「ええ。だから?婚約者がいるから婚約者に誠実だと?仮にそうだとして、どうしてお兄様に纏わりつくのかしら。」
「纏わりつくだなんて、」
「知ってる?お兄様は今、フレア・ヴァーミリアに懸想していると言われているの!ああ、貴女は友人の一人もいないから知らないでしょうね!」
ヴァンス様が、私に懸想……?
想像しただけで、武者震いがした。いつからそんな風に思われて……。そう考えた時、私は気づいた。学園で友人がいない私は何かあるたびルイ様とヴァンス様に頼って、食事も3人で取り……これでは怪しまれて当然だったのだ。
2人が結ばれる姿を見届けたかったとはいえ、外聞を気にして動くべきだったのに。私とルイ様は婚約者という関係性上特に問題はないけど、ヴァンス様は違う。彼は王族で、王子で……もっと考えるべきだったのに。
私のせいで、私なんかを好きだなんて噂を立てられてしまった。彼の名誉を傷つけるような事をしてしまった。ヴァンス様は知っているのかしら?ルイ様は……知っていたのかしら。
私はどうすればいいの……。
「今になって青ざめても仕方ないわよ。噂は学園中に広まっているもの。そんな馬鹿げた噂、間違っているに決まっているのに…火のないところに煙は立たないとはこういうことね。」
「申し訳……ありません。」
「私に謝罪するよりも、お兄様の不名誉な噂を早く消して欲しい物だわ。せめて貴女がお兄様に懸想していると噂されていれば……。」
そう、私に関する悪い噂なら。ーー確かに、普通はそういう風に噂されるはずよね。だって一国の王子が貴族の女の尻を追い回しているより、貴族の女が一国の王子相手に敵わぬ夢を見ていると言われる方が信憑性は高いはず。それに、噂好きの貴族はそっちの方が面白がるはずよ。
なら、どうして?
「私が何かを言える立場ではない事は分かっていますが、少し変ではありませんか?王女殿下のおっしゃる通り、私がヴァンス殿下に懸想しているならまだしも、その逆のことが信じられているなんて。貴族というのは、真実か嘘かは関係なく、面白いものを広げていくのでは……。」
「ーー確かに言われてみればそうね。」
「もし噂の元を辿って同じ人物に辿り着くなら、その人は故意にヴァンス殿下の悪評を広めようとしたという事になります。私の行動が思慮に欠けていたのは事実ですが、少し調べた方が宜しいかと思います。」
私が疑われるのは構わない。疑われるような行動をしたのだから仕方がないし、大事に思う人以外の私への評価は気にならないから。
でもヴァンス様に害が及んだとなれば話は違う。私は彼とルイ様をこの世界で一番大事に思っているし、彼らの“友人”なのだ。
私が表立って調べてもいいけれど、それは火に油を注ぐのと同じだ。父に頼むにも、心配性ゆえに暴走しかねない。であれば得策なのは、今ここでエメリア様に頼む事だろう。
エメリア様は少し思案した後、ため息をこぼした。
「ーーはぁ。そうね、客観的だし論理的な考えだと思うわ。個人の想いを選択に影響させてはいけないのに……ごめんなさい。」
「いいえ、王女殿下は私の事がお嫌いなのですから当たり前の事です。謝らないでください。」
「別に嫌いじゃないわ。お兄様が不利益を被っているのを見たくなかっただけよ。」
私からすれば、何かに気持ちを傾けてはいけないという割にヴァンス様のことを大事に思っていらっしゃると思いますが。ーーまぁ、言ったところでいい事はないわね。
「貴女の言う通り、こちらで少し調べてみるわ。今日の本題はこれだったから、もう帰って大丈夫よ。」
「はい、では私はこれで……。」
「ああ、一つ聞きたいんだけれど。貴女はお兄様をどう思っているの?」
「ヴァンス殿下をですか?ええと、表現が難しいのですが……大事な人、でしょうか。恋愛的な意味ではございませんよ?私には友人がヴァンス殿下とルイ様しかいないので。」
「ーーそう。ありがとう、もう行って良いわ。」
「失礼します。」
どういう意図の質問だったのかしら?私がヴァンス様を好きじゃない事を確かめたかったとか?もう説明したはずなのに……考えても仕方がなさそうね。
分からないことをぐるぐる考えるのは、疲れるだけだ。
私は頭をスッキリさせて、帰路についた。
♦︎♦︎♦︎
「ーーフレア?」
「ヴァ、ヴァンス様!?」
王城は大きいし迷いそうだわ、と朧げな記憶を頼りにウロウロしていると、偶然ヴァンス様と出くわした。
見たところ、今日の彼は少しオフモードだったようで、いつもは整えられた髪型が乱れている。…….それなのにかっこいいって一体どういうことかしらね?
「エメとの茶会が終わったのか?」
「はい。」
「そうか……妹は君に失礼な事をしなかっただろうか。」
「失礼だなんて、全くありませんでした。とても楽しかったです。」
「ーーそれなら良かった。」
ほっとしている様子のヴァンス様を見て、私は微笑んだ。今私のいる場所は、恐らく王女宮の一角。ヴァンス様がいつもいる場所といえば、ここから対角にある宮だ。二人は仲が良いから普段から行き来しているのだろうが、今日ばかりは妹が心配だったのだろう。
エメリア様は正義感が強く、正しいと思うことを曲げない。それ故に対応を間違え、貴族の反感を買うこともあったと言う。そして、第一王女という肩書きの曖昧さ……王位に着く事はないが、侮ってはいけないという地位を考えると、貴族達からは親しくすべきか迷う相手と判断されている。
権力が全てである貴族達は、真なる友情を築く事は稀である。損得勘定を抜きにした交友関係は無いに等しく、誰も彼も、この家柄の娘と付き合うとどうなるかだとか、私からすれば意味のないことを考えている。
けれど、彼らにはそれが全てなのだ。自身のアイデンティティを確立するに一番容易く、良い方法が家格であった。それだけの話だ。
「王女殿下はヴァンス様の事を大事に思っていらっしゃるようですね。お話ししていて伝わってきました。」
「そ、そうなのか。すまない、私の話など面白みがないだろうに……エメは兄離れが出来ないようで。」
いいえ、ヴァンス様の話なんてあればあるほど嬉しいのですよ。ーーそんな事を言ったら、引かれてしまうでしょうね。
「つまらないなんて。先程も申し上げましたが、とても楽しい時間でした。また誘って頂けたら嬉しいです。」
「ありがとう。エメにも伝えておこう。」
納得してくれたのか、ヴァンス様はそれ以上何も言わなかった。少し暗くなった雰囲気を変えようと、ルイ様との昔話をまた聞かせてくれた。
ルイ様との思い出話ばかりですまない、と謝られたが私はずっとその話でも構わなかった。ーー彼にとって大切な瞬間は、それ以外にない事を知っているから。幼少期から辛い思いばかりしてきて、ルイ様との時間を生き甲斐にしてきた事を知っていて、他の話をしてほしいなんて思えるかしら?
王様もお妃様も、第一王子も。口に出せはしないけれど、人間として欠陥があるとしか思えない。エメリア様に聞いたさっきの教育法も、正しい物なのか些か疑問が残っている。
生まれた事に、罪なんて無いじゃない。
「おー?出来損ないの、無能じゃないか。んで、そっちは……あー、無能のくっつき虫の婚約者か?はは、面白い組み合わせだな。」
瞬間、ヴァンス様の全身が固まった。全身から、表情から、ヴァンス様にとってこの人がどう言う存在なのか訴えかけられているようだった。
「ーー兄上。」
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