3.
3話です!楽しんで読んで頂けたら幸いです。
「わぁ……やっぱり、煌びやかねえ。」
いつもなら、そうでございますね、と答えてくれるヴィラが隣にいるはずだけど。今はいないため、私の言葉は独り言として空気に溶けていく。
お屋敷から帰ったあと、ドレスの新調やら私のコンディション調整だとか、本当に目まぐるしかったわ……。
♦︎♦︎♦︎
「ではお父様、使用人の待遇改善も宜しくお願いしますね。」
「ああ、あんなに熱烈にアピールされたからね。しっかり整えておくよ。ヴィラについてはひとまず保留でいいかな?お前には他に侍女がいないから、新しく侍女を選ぶまでは手当を出す形にしようと思っているんだ。」
「私はヴィラの判断に任せます。ヴィラ、良い?」
「勿論です。私的にはお嬢様付きであることを何よりの誇りに思っていますので、このまま休日返上でも良かったのですが……お嬢様の願いとのことですので。」
「と、いうことで大丈夫だそうです。」
「うう…..本当に戻るのかい?」
あらかたやる事は済ませてしまったので、学園の寮に戻るために荷造りを終わらせて、私は今正面玄関にいる。実は昨日戻るはずだったのだが、お父様がどうしても、と言うので仕方なく一日延長したのだ。
まったく、お父様は私のことが大好きなんだから。
「学園を1日お休みしてしまっているのですから、戻らないと。お父様も私がいたら、公務が進まないでしょう?ジャンが代わりに頑張ってくれているの、知ってますからね。ジャン、お父様の代わりにありがとう。」
「お嬢様…….勿体無いお言葉です。」
「皆も、短い時間だったけど色々ありがとう。久しぶりに会えて嬉しかったわ!」
ジャンの他にも、屋敷内にいる使用人が総出で出てきてくれた。数は他家より少ないけれど、立派な使用人たちだ。少ないからこそ、個人個人との思い出も多い。
「お嬢様、今度はお嬢様のお好きな林檎パイをお焼きしますからね〜〜!」
「あらマーシャ、それは楽しみね!」
「お嬢、俺ら庭師もお嬢好みの庭園を作って待ってるぞ!」
「テッド、お父様のお屋敷を私好みにしてどうするの……。」
相変わらずだわ、皆。
「はいはい、皆そろそろお別れの時間だよ。フレア、気をつけて行っておいで。私たちはいつでもこの屋敷で待っているからね。いいかい、もし誰かに虐められたりしたらすぐに連絡するんだよ?たかが子爵家だからといって、何の手立てがないわけでもないし、」
「お父様、落ち着いてください。」
「………落ち着いていられると思うかい?こんなに寂しいのに…。」
お父様の瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。まったく、うちのお父様は昔から泣き虫だわ。私に何かあるたびにこうやって泣いて……私だって、寂しいのよ。
「…ふふ、私も寂しいです。たまには帰ってこられるようにしますから、お父様もしっかりお勤めを果たして下さい。」
「はは、そう言われてしまっては何も言えないなぁ。」
道中、気をつけて。お父様は念を最後に念を押して、別れの挨拶をした。思いっきり強い抱擁と、愛情のこもったキスを頬に一つ。
まるで恋人みたい。お父様がこれなら、私の夫になる人は大変ね。
これから出来るかもしれない夫のことを心配するフレアだった。
♢♢♢
「ま、待って。これを着るの?」
「はい。旦那様が送ってくださったもので間違いありません。」
「こ、これを…….?」
どういうセンスしてるの?と言いたくなるようなドレスを目の前に、私は呆然としていた。
1日学園を休んで戻ってくると、授業がちょっぴり進んでいたみたいで今週は忙しかった。1日4コマあるから、4人の先生を捕まえて、休んだ部分の解説だったりテストの振り返りだったりをするのに思ったより時間がかかってしまった。
だから私の頭からすっかり週末の歓迎会ことなんて抜けてしまっていて、ドレスがない!って気づいたのは前日。行かなくていいかも?なんて期待したけど、お父様からドレスが丁度届いてしまったから……。
「お嬢様、時間がありません。さっさと準備しますよ。」
「ヴィラ。他のドレスとかは……」
「ありません。屋敷にはかろうじて残っていますが、ここへ来る際いらないと仰っていましたから。」
「………こんなの似合うわけないじゃない。」
「そうですか?私はお似合いになると思いますよ。」
「ヴィラはなんでも似合うって言うから信用できないわ。」
「はいはい。信用しなくてもいいので取り敢えず準備させてください。」
ぷんすか文句を私が言っている間に、ヴィラは私の服を引っぺがしてコルセットを思いっきり後ろに引っ張る。そう、脱がしてくれたんじゃなくて、引っぺがしたのよ。服を破る勢いだったわ......、
「ぐ、ぐるしい.......、」
さっき食べたケーキが余計に私を苦しめる。まだ時間があるわ~、と思ってヴィラに苺ケーキを用意してもらったのだ。私はとにかく甘いものが大好きで、小さい頃から色々な甘味を試そうと色々なところから取り寄せてもらっていた。あ、でも自分では作れないのよ?「二ホン」でよくある「チート」は出来ないの。
「次はドレスです。」
「あれ、本当に着るのね。」
「他に選択肢がないので仕方ありません。」
「ねえ、貴女本当は似合わないって思ってるんじゃ、」
「あー、時間がありません。」
なによ、とむっとしてしまう。ヴィラとは小さい頃から仲良しで、主従というよりも友人や姉のような気の置けない仲だ。にしても私の扱いが酷くないかしら?
少し不満に思った私の様子に気が付いたのか、小さな飴玉をくれた。まったく、こんなものにつられると思う?ええ、私はつられます。甘いもの大好き!
「ふぃら、まらゆるひてなひからね。」
「うっ......どうしてこんなに........」
「ろうしたの?」
「いえ。」
一瞬顔を歪めた私の侍女は、瞬きをする間に元に戻っていた。何事もなかったかのように私の髪を編む。本日はハーフアップのようだ。三つ編みを端に二つ作って、後ろでまとめるやつ。見た事もない速さで綺麗に編んでいくけど、昔はこんなに上手じゃなかったわ。私の髪をぐちゃくちゃにして、当時の侍女頭に怒られていたんだっけ。目にいっぱい涙を浮かべるヴィラに私は抱き着いて、気に入ったわって言ったの。そしたらヴィラが毎日私の髪をいじるようになって.........こんなに上手くなったってわけ。
そんな事を思い出している間に、私の髪の毛は完成したようだ。元々癖毛なので自然なカールが出来ていて可愛い。ヴィラったら、天才だわ!
「どうでしょう?」
「すごく可愛い!この癖毛は嫌いだけど、良い感じに纏まってるわね。」
ありがとう、とヴィラを抱きしめると、チャンスだと言わんばかりにドレスを頭の上からかぶせてきた。私が嫌がっていることを分かってくれて先延ばしにしていたのかと思ったけれど、ただタイミングを見計らっていただけだったみたい。やるわね。
私の着ているドレスは、端的に言えば「ぶりぶり」だ。ちがう、ちがうのよ。汚い擬音じゃなくて.......装飾品が、何というか。子どもっぽいリボンだったりレースだったり....そういうのをぶりぶりって呼んでるのよ。
私の好みは綺麗系のお姉さまが着るような、例えばマーメイドドレスのような、そういうドレスだ。でも実際に似合うのは、真反対のドレスだった。いかにも、"かわいらしい"と言われるようなドレス。「二ホン」には沢山のドレスがあって、着てみたいものも沢山あったけれど......私はただの「カイシャイン」だったから。ぼんやりとしたイメージだけしかない。
それに加えて、私のドレスはピンク!確かに髪の毛は桃色だけど、全身桃色じゃあ目立ちすぎだわ。お父様はこういうセンスが本当にないから......お母様が屋敷にいてくれればもっと素敵なドレスだったでしょうね。
「お嬢様、出来ましたよ。あとはお化粧だけです。」
「ドレスがこんなに派手で、お化粧までするの?」
「このままでも十分お美しいですが......化粧は女の武器ですので。」
"化粧は女の武器"
そういえば、「二ホン」でもそう呼ばれてたわね。女性にとって化粧というのは自分の外見、そして内面さえも変えてしまう武器だった。どれだけ元の自分が嫌いでも、お化粧をすれば自信をもって堂々と歩ける。かくいう私も、その一人だった。
ヴィラは手慣れた様子で私の顔に筆をのせる。ほんのりと肌の色が明るくなり、頬に赤みを入れる。目元はドレスに合わせて可愛らしく仕上げてくれた。口元は、私の髪色、ドレスと合わせて薄桃色だ。
♦♦♦
「さあ、完成です。鏡の前に立ってみてください。」
「..........わぁ。意外とぎらぎらしすぎてないわ!ヴィラ、すごい!」
どうなる事かと思ったけれど、ヴィラの技術で落ち着いた雰囲気になった。ぶりぶりした可愛らしさではなく、大人っぽい可愛さと言うか.......ああ、語彙力がもう少しあれば良かったんだけれど。とにかく、思ったよりも良かったってこと!
「時間も丁度ですね。間に合ってよかったです。」
「ふふ、流石ヴィラだわ。」
「......当然です。折角素敵に仕上げたのですから、楽しんできてくださいね。ああ、当主様が仰っていたことは無視しても構いませんから。」
「婚約の話?無視なんてできないわよ。ヴィラは第一王子と婚約してほしいの?」
「いいえ!.......そうですね、これは私の我儘です。お嬢様には心から愛する方と幸せになって欲しいのです。」
「......そうね、私も出来る事ならそうしたいわ。でも曲がりなりにも公爵家に生まれてしまったから...。けれど諦めてはないのよ。突然素敵な王子様が現れるかもしれないじゃない?」
「ヴァンス王子と結婚したいのですか?」
「ち、違うわよ!ヴァンス殿下は......なんというか、応援したい方なの!ルイ様もね!」
ヴィラが突然二人の名前を出すから、驚いてしまった。そう、驚いただけなの。だからそんな怪しい目で私を見ないで....。
「じゃ、じゃあ行ってくるわ。お父様に良い報告が出来るように、殿方を見定めてくるわね。」
「私はお嬢様が本来の目的を忘れて、会場の美味しい料理に魅了されてしまう事に賭けます。」
「.........そんなわけない、とは言えないのが悔しいわ。」
「では、いってらっしゃいませ。」
♦♦♦
と、いうのが先程の出来事。今私は、新入生歓迎パーティーの会場に足を踏み入れている。こういう夜会のようなものは本当に久しく参加していなかったので、シャンデリアの光や、騒がしい会場、踊りに合わせて鳴る楽器たちの全てが新鮮に感じる。
「人酔いしそう。」
今年の新入生は例年よりも多い。王子が生まれた年は、貴族家の出生率が高くなる。理由は明白で、ご学友や婚約者の座を狙う貴族が多いからだ。貴族であれば端くれであっても嫁ぐことが可能である、というのが大きな夢を抱かせるようだ。
辺りを見渡すと、既に仲の良い集団が出来てしまっている。実は私、学園で友人が一人もいないのだ。お茶会などの付き合いを避けてきた結果だと言われればそうなのだが、私自身が人見知りというのも大きい。
(私、こんな場所で婚約者が出来ると思い込んでいたのね。)
正直無理だと思ってしまう。同じ歳の子たちは既に婚約者がいる子が多く、会場内にも男性とペアで過ごしている子が複数いる。この中で、婚約者がいない方と言えば.........
「ねえ、見て!ヴァンス様とルイ様よ!」
「いつ見ても素敵よねえ。お二人とも婚約はされていないのよね?」
「ええ、だから女性があんなに囲んでいるじゃない。でもあの方たち分かってないわよね。お二人の目は全然笑っていないわ。多分お二人が選ぶのは、もっと大人しい方よ。」
「一理あるわね。はあ、私にも良縁はないのかしら?家格も身なりも悪くないと思うのだけど......何故か誰も寄ってこなくって。」
「私もよ。」
同じ学年らしい二人のご令嬢が話している通り、この会場で目立って婚約者がいないのはヴァンス第二王子と、ルイ公爵令息だ。惜しいのは、お二人が選ぶのがお互いであるというところ。
驚いたのは、ご令嬢2人が婚約者がいないという事。なのにヴァンス殿下とルイ様を囲んでいる方たちのように、殿方に群がっていない事。正直私は、殿方をしつこく追うような人は苦手だ。お茶会に参加していた子たちのほとんどがそういう部類だった。だから友達になりたい、だなんて思わなかったし、いらないのではないかとも思っていた。
でも、あの二人だったらお友達になりたいかも。......私に話しかける勇気がありさえすればだけれど。
話しかけるきっかけはないものかとそわそわしていると、突然、辺りがどよめきだした。先程のご令嬢方お二人も大きく目を見開いている。
気づけば私の周りには誰もいなくなっていた。いや、私を囲うように円ができていた、の間違いかもしれない。近くにいたはずの令嬢2人もいつの間にか居なくなっていて、なんだか嫌な予感がする。
「私もここから離れないと……」
「どこかにご移動されるのですか?」
「ええ、テラスの方へ移動しようと思いまして。」
「成程。では僕もご一緒しても?」
んん?何だか聞き覚えのある声ね……。ああ、そうだわ。しばらく聞いていなくて忘れていたけれど、これはルイ様の……って、え?
「るるるるる、ルイ様!?」
「そうとも、僕はるるるるる、ルイ様だよ。」
動揺しすぎじゃない?と笑うルイ様の何と可愛らしいことか。ああ、神様。私は前世でどれだけ徳を積んだのでしょう。まさかルイ様とこんなに近くに、それにお話しできるなんて。
私に話しかけて下さったということは、何か用事があるのよね。大事なヴァンス様と離れてまでお話しされたいことって一体……。
考えるだけで身震いしてしまう。
「それで、君は今からテラスへ行くんだよね。なら是非ご一緒させて貰いたいんだ。」
「そ、それは構いませんが……宜しいのですか?その…何というか、勘違いされる方もいらっしゃるかもしれません。」
「あー、まあ大丈夫だよ。ほら、取り敢えず行こう?」
あああ、ルイ様それは反則です!そんなうるきゅるな瞳で首を傾げられて断れる人間はこの世にいません。これは私が見ても良いものなの?ヴァンス様だけの特権だったらどうすれば……自害した方が良い?
「おーい、聞いてる?……仕方ない、ちょっと手を借りるね。」
「手?」
「野次馬がついてくると面倒だからさ。」
ニヤリと好戦的な笑みを浮かべたルイ様は、私の差し出した手を取って走り出した。男性にしては小さめな体の彼だけれど、実は運動神経は並外れている。
そんな彼の全力疾走に私がついていけるはずもなく、途中からあろうことか姫抱えで連れて行かれた。もちろん拒否したわよ?当たり前じゃない、ヴァンス様に見られたら殺されるわ。でも私があの顔に弱いのを知ってか、上手いところで使われたの。私の負けは最初から決まってたってわけ。
「……ふぅ。何とか巻けたみたいだね。」
「あの、ここは庭園では?テラスというのは……」
「ああ、ハッタリだよ。」
「では私は、ルイ様の手助けになれたのですね。私にお話があるというのもご冗談だったのですか?」
「いや、君に話があるのは本当だよ。ていうか、もしこれも嘘だったら僕最低な人間じゃない?フレア嬢はお人好しなんだね。」
「あ、名前……」
さらっと言われたけど、私の名前覚えて下さっていたのね。流石はルイ様。きっと会場に来る貴族の方の名前を全て把握されているんだわ。
「ゲーム」でもルイ様はとても細やかな方で、どの夜会に行く時も必ず招待客の名前を覚えている。だからこそ彼には人望があったし、同性婚という大きな壁を壊すことができたのだ。
「名前?そりゃあ覚えているよ。かの有名なフレア・ヴァーミリア嬢だよね。」
「わ、私は有名なのですか?それは一体どういう理由なんでしょう……?」
「えっ、知らないの?………そうか、それはそれで面白いね。ふふ、僕が教えなくてもいずれ分かると思うよ。」
意味ありげな感じで言われても…….いずれ知るなら今教えてくれても良いじゃないですか、という当然の事もフレアの頭には浮かばない。
何故ならそう、彼女は今目の前の存在に圧倒されてしまっているのだ。
(目の前に、ルイ様が……!私同じ空気を吸っているのだわ!ここの空気って持ち帰っても良いのかしら!?もしくは私の息で汚さないように息を止めるべき!?)
「それでね、フレア嬢。話というのはね、僕が君と婚約したいって話なんだ。」
「はい。」
(ルイ様のまつ毛はどうしてあんなに長い上に光り輝いているの?世の女性の誰も彼のまつ毛には敵わないわ……。)
「あれ?意外と冷静だね。もっと驚くかと思ったんだけど……まぁいいか。で、今度侯爵家に伺って正式に打診したいと思ってるんだけど…フレア嬢がもし他に想い人がいないなら、婚約の話を受けて欲しい。良いかな?」
「はい……はい?今、婚約だとか、」
「わぁ!良かった、僕はてっきり断られるものだと思ってたんだ。」
「……?」
「婚約、してくれるんだよね?」
「こ、婚約ですか?ええと……」
しまった、レオ様の素晴らしさに圧倒されて話を聞いていなかった。婚約?一体どういう流れでそうなったのだったか。うわ、大変。思い出せない。話を聞いてませんでした、なんて失礼な事……..。
「まさか話を聞いてなかった、なんて言わないよね?」
はい、言えませんよね。先手を打たれてしまったわ。こういう一面も素敵なのよね……ってそんな事言ってる場合じゃなかったわ。
「も、勿論聞いていました。婚約のお話ですよね。」
「そうそう、それで君は了承の返事をくれたんだ。だから来週末、ヴァーミリア侯爵家に伺おうと思って。予定は空いてる?」
「…….来週末なら、何もなかったかと。」
「そうか!じゃあ諸々の事はまた学園で会った時にでも話そう。ほら、僕たちまだお互いのことをよく知らないじゃない?」
「……そうですね。」
「じゃあ、決まり!何だか疲れているようだし、フレア嬢は先に帰った方が良いと思うよ。女子寮まで送って行くよ。」
返事をする暇もなく、流れるようにエスコートを受けた私は呆然としたまま歩き始めた。
ルイ様が、これ以上羽虫がついたら困るとか何とか言っていたけれど、私は今起きていることで頭が一杯だった。
ルイ様と長い時間話しただけではなく、婚約?婚約ってなんだっけ?食べ物?現実逃避をしたくて頬をつねっても痛いだけで、そんなに強くつねったら痛いよ、とルイ様が心配してくれた。
「それじゃあ、次は学園で会おう。」
「はい。……送って下さってありがとうございました。」
遠ざかるルイ様の背を見つめて呆然としてしまう。
「……私、婚約者できちゃいましたよ、お父様。」
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