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派遣社員で異世界の仕事してます!  作者: 縁乃ゆえ
日本の事を異世界の住人に教えよう! 高時給! 異世界にて長期のお仕事、パーティ付いてます!
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ロディアが決めたのなら

 何だか、ロディアまで連れて行かれた。

 キミは服を着ながら待っていてくれ……と、リアムの指示に従うわけではなかったが、そろそろ出ようか……と思っていただけだし……とティノが用意してくれたタオルで体を拭き、ロディアが風の魔法を使って乾かしてくれた服を四人から離れた所で着る。

 まあ、服を脱ぐ時だって、こうして離れた所で!! というクレアの命令でやっているんだし、パンツは乾かさなくても良い!! と言うのにパンツも乾かす!! というロディアの強引なお願いでやってもらってるんだし……俺は何も悪いことはしていない!!

 そうだ、あの二人のパーティメンバーとロディアが何を聞かされていようと、俺のどこどこが悪い……というのはないはずだ!!!

 そんなことを思いながら、着替え終わって待っているとリアムに見つけられ、話を聞かされたらしいパーティメンバー二人がこちらにやって来るのが見えた。

 案外短い時間だったがさて……。

 その顔はプンプン! と怒っているようで、クドクド何かを言っている白髪温泉女神、ツインテールの魔法使いの女の子はそんな女神をなだめつつもこんなことが起こるなんて!! という顔をしながら、内心は困ったなぁ……という顔をしている。

 連れて行かれたロディアも一緒に戻って来た。

 その顔は、まるで夢のよう!! という感じでキラキラしている。

 どういうことだ? これは。

 この三人の表情から分かること、それは……。

 望んでいる事と望んでない事が起きた……ということ以外ないだろう。

「じゃあ、ティノちゃんが言ってよ!」

「え! そ、それは……困りました……」

「おい、どうした?」

 ぶうぶうしている温泉女神からティノを救うべく、俺は声を掛けた。

「聞いてよ! ヨシキチ!!」

「リアムさんが言っていたんですが……」

「エトにぃ、聞いて!! ワタシ、ニホンのイナカ行けることになった!!! 農業体験、長期? 長い間、できる制度がこの度、この世界にできたんだって! だから!! 行ける!! オゥバオも許したって! 少しでも繁栄に近付くならって!!」

 わーい!!! と喜ぶロディアがとってもかわいい。

「ねえ、ちょっと、あんた!! こっち見なさいよ!! 今のティノちゃんの話聞いてた?」

「全然」

「はあ……、これだから……」

 もう一度言って……とクレアがティノを見る。

「あの、ですね……」

「君達の仕事はここまで、ということだよ」

 やっとやって来た!! という感じでパーティメンバー二人がリアムを見る。

「どういうことだ? それ」

「あそこで喜びの舞なんてのをやってるエルフさんの話は聞いたんだろ?」

「ああ」

「じゃあ、分かるだろ。彼女は決めた。サラ王女が始めた事に賛同したんだ」

「は?」

「だからね、私達に日本に慣れるまでの間、傍にいて欲しいって言うのよ! 今の仕事はなくなるからって」

「え?」

「ロディアちゃんがこのまま日本に行ってしまうとなると、日本の事を教える対象がなくなってしまうのは分かってる? ねえ、分かってるからロディアちゃんを見て、笑ってたのよね?」

「え……」

 何か今……、女神の声が遠くに聞こえた。

「あのさ、それって実質……」

「派遣切りです。きっと契約日まで働けることはありません。次の対象者の紹介もないでしょう」

「何でだよ!!!」

「だって、そうでしょう!! 前回やらかしてるし……、今回も……となると、期待しないで次を探すべきよ」

「そうです! ノイデフィからの次の紹介はない!! と思って頑張りましょう!!」

「おい、待てよ……」

 それじゃあ……、このままだと……エルフの樹に居れなくなってしまうのか?! 何もまだ楽しんでないのに?!!

 それに!!

「レナード侯爵のことはどうするんだ?!!!」

 それが問題だろうと俺はリアムの顔を見る。

「ああ、それね。だから農業体験なんだよ。サラ王女が密かに進めていた話だ。もし、王の許可がもらえなかった場合も考えてオレもこの仕事に同行していたわけだけど、こうなった今、その心配も少しばかりなくなる。何せ、相手はもう日本に行きたいとは願ってないだろう。これ以上、状況が悪くなることは望んでないだろうからね」

「だが!!」

「ノイデフィからの正式なのはまだないから信用できないって? よく考えてごらんよ。ここはどこなのか、エルフの樹だ。その場所に続く森の中だ。普通の所とは違う」

 俺はすぐに見てしまった。

 スマホの電源を入れる……ノイデフィからの電話はナシ!! って!! 当たり前か!! と失望した。圏外……使えないスマホ。電気もまともにない。

 この場所はそのくらいに人間との交流ができないようになっているんだった。

 ならば!!!

「おい、その『私達』に俺は?」

「入っていません。残念ながら……と言うべきなのでしょうか」

 ティノが俺の顔を見た。けれど、俺はその顔を見ることができず。

「だよな……何も使えないしな……、俺……」

 落胆がヤバイ。

「あら、分かってるじゃない。ヨシキチ、自分の状況が」

「ああ、分かってるさ……」

 こいつらだけにその話が行ったのだから、そうだと初めから考えるのが妥当で、俺は一人、日本に帰り、また一人で異世界の仕事を探すことになるだろう……。

 ん? その一人でやってる間に新しいパーティメンバーを探せば良い!! もう今度こそ、今のパーティメンバーより良い奴を探せば!!!

 あ、光明が一筋、見えて来た……かも!!!

「うっ!! ちょ、イタっ!!!」

「ヨシキチがちゃんと聞かないからでしょう?」

「だからって、腕をつねるなよ!!! 痛いだろうが!!!」

「目潰しの方が良かった?」

「いえ、滅相もございません!!!」

 ふ、フフフふ……とリアムが分からないように笑っているのが何とも嫌だった。

「じゃあ、もう一度言うわね? ヨシキチ、よく聞いて」

「ああ……」

 朗報です!! と言う言葉はもう聞き流していた。

 俺の頭はもうその新しいパーティメンバーをどういう子にするかでいっぱいだったからだ。

「てなわけで、あのサラ王女が決めたっていう、あんたを使わないでやばい子達を一時的にでも日本に避難させ、救うっていう方法に名案として乗れないわけよ」

「ん? 俺を使わないって言ったか?」

「ええ、言ったわ。ロディアちゃんの傍に居るよりも、あんたのパーティメンバーとしての方が良いっていうのが、私とティノちゃんの答え」

「ん?」

 頭をかしげてしまったのがいけなかったのかもしれない。

「目潰し!」

 ぶしゅって言ったぁ!!!!

「お!!!」

 両目……。俺の両目がぁ!!!

「あんた、聞いてなかったわね。二回目はないわよ。こんなことに時間を使わせないで」

「はい、ごめんなさい……あの、痛いんですが……」

天誅てんちゅうよ」

 もう嫌だ! こんなパーティメンバー!!! 変えてやる!!! 絶対!!!!

「ふ、くくくクッ……」

 変な笑いがさらに変な笑い方になった!!! 女神のせいでリアムがおかしくなりつつある……。

「でだ……くくくッ、失礼、気を取り直して、言うね。エトウ、君には申し訳ないが、この仕事を辞めてもらうことになった。これでレナード侯爵に狙われないとは限らないが、しばらくは手出しできないだろう」

「それは、お前の所属するアレが下したってことか? だから、日本の派遣会社もレナード侯爵さえも関係ないって?」

「ああ、王都特化部隊は君の安全を最優先するようにはなっていない。けれど、君には恩があるからね。少しくらい守らせてくれ。こちらのエルフ、ロディア嬢は選んだ。王都の姫はとてもお喜びになるだろう。もちろん、この話に乗った関係者達もね。だが、問題がある」

「何だよ? もうないだろ……」

「いや、あるんだ。さっき、伝書鳩がやって来て教えてくれた」

「伝書鳩? どこだよ」

「そこにいるのがそうだ」

 そう言われて辺りを見れば、一羽の青い小鳥がロディアの出したカタラータの水を少し飲んでいた。

「コルリか? でも、魔法で出した水なんて飲んで平気か?」

「ああ、心配はいらないよ。日本にいるコルリのように見えるけど、この鳥はこの世界にしか生息していないやつで魔法の力が強い水が好きなんだ。それで遠くまで飛べたりね、寿命も少し普通の鳥よりも長い」

「へぇ、それが何の問題を持って来たって?」

「まだね、正式には発表されてないことなんだ。これは」

 ん?

「まだまだいろいろと調整しなければならない事が多くてね、その間、この話が誰かに漏れてまた狙われるようになったら危険だろ? このエルフの樹にいれば大丈夫! と思っていたが、そうでもなさそうだし……、エトウ、最後に頼まれてくれないか、こちらのロディア嬢を長期の農業体験に入る前に日本に行かせて身の安全を確保してほしい。ついでに地方に行っても大丈夫な日本の知識を身につけさせてほしい」

「それって、俺にまたやらせるつもりか?」

「ああ、君はこういうのが得意なんだろ?」

 誰から聞いた!! 誰と繋がっているんだ? この男は……。

「まあ、良い。また行くって言ったような気がするし、そこでやらなきゃいけないこともあるし。レギナのことも気になる。日本に戻れば、さすがに派遣会社から電話が来るだろう。その時が俺の辞め時だ。何とか言いくるめるよ、ロディアが決めたのなら、尚更だ。でも、あんたにそうさせられたって言わない方が良いんだろ?」

「ああ、オゥバオ様には頼んである。困らないようになるならと、オゥバオの名前を使っても良いと言っていた」

 どこまで仕込んであるんだ? この男は。

「でもあれだな、こういうのは王都第四部隊所属のお前がすることじゃないだろう?」

「ああ、でもね、こういうのもやっていたからね……」

 そう言ってリアムがロディアの出したカタラータで出来た河に映る自身の体を見た。

 俺はそんなリアムを見てしまった。

「ここを離れればきっと、この現象も収まるんだろうね……」

「気にしてたのか? それ」

「ああ、だって、変だろう? 人間として生きていたいのに、神の力がそうさせて金髪とか……笑っちゃうね」

 にしては、苦々しい。

「けど、ま、この現象のおかげで、あの美人エルフさん達と仲良くなれたんだ。それはそれで」

 どこまで仲良くなったのだろう。一人は良い感じに優しそうで、もう一人はウフフ! と狩りが得意そうなお姉さんだった。

「うん、エトウが思っているよりも充実していたよ。のんびりとできた」

 とてもにこやか。

 サラ王女が知ったら何と言うのだろう……。それ以前にエルフ達の実年齢は気にならなかったのだろうか……。いや、俺だってもうロディアの実年齢とか気にしてないし!! それよりも『願いを叶える』という約束はどうなるのか? の方が気になるし!!

「エトにぃ、どうしたの?」

 ひょいっとやって来たロディアに少し驚いてしまった。

「いや、頑張れよ」

「うん、頑張る!! 美味しい果物とか作って、ここをもっと豊かにする!!」

「そうかぁ、それは素敵な事だな」

「うん!!!」

 悶々としたこの気持ちが笑顔のロディアやまだ不機嫌な女神達にバレないように俺は歩き出した。

 あーーーー!! もう!!!

 さあ、行こうじゃないか。切り替えろ!! また新たな仕事を見つけに!! 一度、日本に戻ろう!!!

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