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【団長SIDE】 団長の妄想・フェルノSランク昇格の噂を受けて。

 冒険者ギルドとは関係のない組織だが、新聞社が存在する。


 その新聞社の本部があるギフトネストでは、その新聞が一番に出回った。


『新たなSランク冒険者登場なるか!?』


 そんな見出しから始まり、トーラスが新聞社にタレコミを入れたので、詳細な情報が載せられることになった。


 大まかに論点は以下の五つ。


①:シーロカ騎士団を追放されたが、ギフトネスト支部長によって発掘された少年、フェルノ(18)が新しいチームを結成。彼が、地下大迷宮九十五層の中ボスを倒したこと。


②:九十五層はSランクの領域であり、単に探索するだけならまだしも、そこの中ボスをソロ討伐するほどとなれば、Sランク間違いなしであること。


③;支部長が確かな証拠を含めて、書類を本部に送ったこと。


④:質の高い冒険者を確保したい本部は、Sランク昇格に対して好意的であること。


⑤:この申請が通れば、王国で三人目となるSランク冒険者の誕生となる!


 このような内容で何部も発行されたのである。


 当然、これに対して驚く者、疑う者、様々な感情が出てくるが、中でも、一点目の『騎士団を追放された』という情報が引っかかったことで、そのシーロカ騎士団は『とーんでもないこと!』になっていた。


「一体どういうことだ!あの平民がSランクになるだと!?」


 シーロカ騎士団団長室。


 そこでは、団長のオルレイドが拳を机にたたきつけていた。


「ブフッハッハッハッハ!そりゃそうだろうよ!フェルノがその気になれば、これくらいやるだろうさ!」


 オルレイドの傍ではイマジナリーが爆笑している。

 腹を抱えて盛大に笑いまくっており、新聞を見て怒っているオルレイド以上に、何かを知っている様子だ。


「ふざけるな!この騎士団を出ていった後で実力を出すなど、狙ってやったとしか思えん。あの詐欺師め!」

「ん?てことは、あのフェルノってガキに実力があることを認めるのか?」

「そんなわけがないだろう!」

「そ、そうか……」


 イマジナリーとしてはオルレイドの論理的整合性の方が気になるが、それはそれ。


「あ、それと、面白い記事があったぜ」

「何?」

「さすがに新聞社だからいろいろ言葉を選んでるから、フェルノを軸にしてるけど、なかにはそうじゃないところもあるんだよ」


 そういいつつ、ページ数が薄い別の新聞を取り出して見せる。


 トップ面には、フェルノの顔写真付き『新しいSランク冒険者!?』と書かれている。

 その隣にはオルレイドの顔写真付きで、『シーロカ騎士団の失態!?』と述べられている。


 書かれていることもひどいもので、団長であるオルレイドに観察眼が全くないだとか、現場のことを全く分かってない箱入り貴族だとか、散々なことが書かれていた。


「な、なんだこれは!こんな出鱈目(でたらめ)を吹聴している者がいるというのか!舐めたことをしおって、これを作ったのは誰だ!今すぐに捕まえて目に物を見せてやる!」

「多分もう逃げてると思うぜ?その新聞作ったの個人だし。てか、普通にこの町に拠点を持ってるような新聞社が、侯爵家相手に暴言吐かねえさ」

「ぬうううう!くそがああああ!」


 自分をボロクソ言っている新聞をビリビリに破くオルレイド。


「私をバカにしおって、絶対に許さん!……そうだ。今はあの平民だ」

「どうするん?」

「アイツがSランク冒険者になるなど、認められるか!もしそうなったら、追い出した私が無能ということになるではないか!そんなことは絶対に許さん。アイツがなれないように妨害してやる!」

「……」


 イマジナリーは『すでに実力があることを証明したあとなんだけどなー……』と思ったが、言っても聞かないので置いておくことにした。


「アイツを(おおやけ)の場で叩き潰してやる。闘技場を用意しよう。そこでアイツを完膚なきまでに叩き潰せば、Sランクにはならないだろう」


 イマジナリーは『いや、完膚なきまでに叩き潰したら、それは戦った相手が強いって思われるだけじゃね?』と思う。


 Cランク冒険者あたりと戦わせて、それでフェルノが苦戦するようであれば『フェルノに実力はない』と言い切れる。


 イマジナリーであれば、『実力を偽って弱く見せている低ランク冒険者』を用意しつつ、当日にフェルノが本気や全力を出せないように工夫する。


 もちろん、その方が可能性が高いというだけの話だ。

 Sランク冒険者に任命できる審査員の目はそう簡単に誤魔化せないため、相当なコストをかける必要がある。


 仮にイマジナリーが考えたことをやったとしても、冒険者ギルドの審査員自らが闘技場に出てきて、何らかの『負荷を解除する魔法』を掛けられたうえで再審査になるのがオチだろう。


 ……まあ、オルレイドにそんな想定などできるわけがないのだが。


「クックック。観客席から、奴がじっくりと叩き潰されるところをじっくり観察してやる。奴に実力などないのだ。ククク……ハーッハッハッハッハッハッハ!」


 妄想を始めるオルレイドを尻目に、イマジナリーは思う。


 高ランク冒険者の中にも、一定の『馬鹿』がいるのは間違いない。

 だが、そこまで嗜虐(しぎゃく)的な奴はそう多くはないよ?と。


(ま、どうせ上手くいかねえか。『トラブル』のやつも元気そうだし、まだまだ観察するに値する組織ではあるんだがねぇ……)


 まだまだ、銀の揺籃とこの騎士団の間に秘密は多い。


 この団長の欠如した整合性は、予想もしない『結果』につながる可能性がある。


 イマジナリーは、とりあえずその『結果』を楽しみにすることにした。

続きが気になる!

団長の頭の中どうなってんの!?


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